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ポスト実咲凜音は誰?宙組公演「バレンシアの熱い花」「HOT EYES‼」全国ツアー開幕

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    ©宝塚歌劇団

 

 

ポスト実咲凜音は誰?宙組公演「バレンシアの熱い花」全国ツアー開幕

 

娘役トップ、実咲凜音が来年4月末で退団を発表しているなか、実咲が出ない宙組全国ツアー公演、ミュージカル・ロマン「バレンシアの熱い花」(柴田侑宏作、中村暁演出)とダイナミック・ショー「HOT EYES‼」(藤井大介作、演出)が18日、大阪・梅田芸術劇場メインホールから始まった。今回はこの公演の模様をお伝えしよう。

 

「バレンシア―」は、19世紀初頭のスペイン、バレンシア地方を舞台に、元領主の父を現領主に殺された青年フェルナンドが、ロドリーゴやラモンら仲間たちと復讐を果たすまでを、それぞれの恋模様とアクションを交えてダイナミックに描いた愛憎劇。第一次ベルばらブームの余韻がさめやらない1976年に榛名由梨、順みつき、瀬戸内美八の主演によって月組で初演、再演が待望されていたが2007年に大和悠河のトップ披露として31年ぶりに宙組で再演、同年の全国ツアーに次いで9年ぶりの再々演となった。初演以来40年の記念公演でもある。

 

宝塚のスペインものの代表的な作品のひとつで、柴田氏と作曲の寺田瀧雄氏のコンビにとっても「情熱のバルセロナ」「哀しみのコルドバ」と続くスパニッシュ三部作の最初の作品でもある。柴田氏ならではの濃いドラマ展開と寺田氏の一度聴いたら忘れられない演歌調のベタな主題歌、蘭このみ振付の本格的なスパニッシュとまさに定番中の定番である。初演は柴田氏が、榛名ら出演者に当て書きしたこともあってファンの熱気はものすごいものがあり、オープニングで榛名、順、瀬戸内がでてくるたびにファンからの拍手合戦があり、そのあまりのすごさに爆竹拍手が禁止になったきっかけになった作品でもある。

 

31年ぶりの再演は、それから比べるとずいぶん大人しい公演だったが、フェルナンドの大和とイサベラの陽月華のコンビの美しさにみとれたものだ。今回はそのフェルナンドに朝夏まなと、イサベラは伶美うららという大和、陽月に負けないくらいのゴージャスな配役。オープニングから朝夏の切れのいい動きと伶美の見事な脚線美によるスパニッシュデュエットに見惚れた。

 

「エリザベート」のトート役を終えたばかりの朝夏にとってスペインものは掌中の珠といった感じ、復讐に燃える貴族の青年という宝塚ならではの主人公を、凛々しさに加えて男役としての色気もにじませながら肩の力を抜いて余裕たっぷりに演じ、舞台姿がずいぶん大きくなった感じがした。

 

真風涼帆は、妹のローラ(華妃まいあ)を殺され、フェルナンドの仲間に入るラモン。酒場の歌手という設定で、かっこいいスパニッシュダンスの場面から登場。おとなしい役が続いた真風の久々の濃い役で、こちらも水を得た魚の如く生き生きとした舞台姿だった。

 

許嫁のシルビア(遥羽らら)を領主に奪われ、復讐の燃える貴族の青年ロドリーゴには澄輝さやと。澄輝の品のいい個性がこの役にぴったりあって、まるで澄輝のために書かれたような適役だった。酒場でのラモンとの決闘のくだりは、品のよさが邪魔をして熱っぽさが足りないようにも見えるので、ここはもう少し押し出しが強いほうがいいだろう。

 

娘役は、ラモンの思い人だが、フェルナンドと身分違いの恋に落ちるイサベラに扮した伶美が、黒塗りに美貌が映えてヒロインとしての存在感を示した。特に花の祭りの広場での再会からダンスシーンに発展していく幻想シーンは、朝夏と伶美の息の合った呼吸で宝塚ならではのロマンチックな場面となった。早くから抜擢されてきたが、ようやく大輪の花を咲かせたといっていい。歌はかなり向上しているが、やや不安定でまだ課題あり。

 

一方、フェルナンドの許嫁マルガリータに扮した星風まどかの好演も見逃せない。研3という若さにも関わらず、すでにバウ公演や新人公演のヒロインを経験、そのどれもが舌を巻くうまさで注目されているが、今回もフェルナンドの心が自分に向くのをひたすら待って耐えるという薄幸のヒロインをけなげに演じた。伶美とは対照的な清楚な雰囲気があり、何より歌がうまいのが高得点だ。

 

ショーでも伶美と星風は、前半が伶美、後半は星風とほぼ半々のウェートで登場、パレードでは二人並びという異例の階段降り。どちらも甲乙つけがたく、実咲退団後の朝夏の相手役選びは、至難の技になりそうだ。一人と決めずに、ダブルヒロインと言う形で、作品によって相手役を変えるというのもいいかもしれない。この作品は娘役に大きな役が多くほかにもロドリーゴの許嫁シルビアの遥羽やラモンの妹ローラの華妃などが印象的。なかでも研4の華妃は、朝夏と伶美が踊る幻想シーンで歌手の役を務め好唱したほか、ショーでもフィナーレのトリプルデュエットの一人に大抜擢、要注目の存在となりそうだ。

 

ほかには、フェルナンドの復讐に力を貸す盗賊カルデロに扮した瑠風輝が、長身を活かした柔軟な演技で目を引いた。ルーカス大佐の蒼羽りく、バルカの凛城きら、ホルヘの星吹彩翔らの中堅、ルカノール公爵の寿つかさ、セレスティーナ侯爵夫人の純矢ちとせ、レオン将軍の松風輝とベテラン勢もそれぞれの立ち位置できっちりと仕事をこなし充実した舞台に仕上がった。若手ではホルヘの部下ミゲルの留依蒔世のさわやかな演技も印象に残った。

 

「HOT EYES」は正月公演のショーを少人数で再構成した作品。瞳がテーマだが、オープニングのレディ・アイに扮した伶美を中心にしたダンスで伶美の美しさにノックアウト。

とはいうもののショーは、朝夏と真風が中心で二人の場面がメーン、それに娘役がからむといった感じだった。朝夏と星風はジャンピングアイズの場面でデュエット、伶美はダークアイズの場面で妖艶にからむ。星風はスタイリッシュアイズの場面で瑠風や留依らとJポップナンバーを歌い踊る場面がアイドル風でかわいい。

 

もちろん朝夏のソロのダンスジーンはそのままの形であり一番の見せ場だった。どの場面も宙組の若手、中堅が各場面全力で疾走して朝夏、真風をサポート、気持ちのいいショーだった。公演は12月11日鹿児島まで続く。ポスト実咲の発表はそのあとになりそうだ。

 

©宝塚歌劇支局プラス11月19日記 薮下哲司

 

 

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参加費は22,500円(消費税込み)。先着40名様限定(定員になり次第締め切ります)チケット難が予想される公演です。まだ間に合います。席が確保されているこのツアーのご予約をおすすめします。

 

 


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