凰稀かなめ、退団後二度目のコンサート「THE Beginning2」大阪で千秋楽
元宙組トップスター、凰稀かなめの退団後2回目のコンサート「THE Beginning2」が9月30日、大阪。森ノ宮ピロティホールで千秋楽を迎えた。今回はこの模様と10月1日にOBP円形ホールで開幕したOSK日本歌劇団の新作レビュー「レジェンド愛の神話」の模様などをお伝えしよう。
凰稀のコンサートは退団後2度目だが、前回は見られなかったので今回が初見。退団して早くも1年半、すでに「1789」で悲劇の女王マリー・アントワネットをスケール感豊かに好演、女優としても順調なスタートを切った凰稀のコンサートは、自分らしさ全開のプライベートライブだった。
構成、演出は前回と同じくTETSU。関ジャニやsmapなど人気グループのコンサートの振付を担当する人気ダンサーだ。二時間ノンストップのショーで、凰稀が赤と黒のパンツスーツで登場するオープニングから場内は早くも総立ち。
続くロングヘアにサングラス、ゴールドメタリックのミニワンピースにパンツというスタイルで黒いスーツの男性ダンサーを従えての「シネマイタリアーノ」が、なんともゴージャスかつ男前なダンスでかっこいいことこのうえない。
このあとはゴールドのロングドレスと少しずつ女っぽくなっていくところがなかなか憎い計算。すっかり女に戻ったとおもったら、今度は客席から男役のスーツ姿で登場。歌は「風と共に去りぬ」から「愛のフェニックス」を歌いながら登場。そのまま舞台上の「バーフェニックス」のバーテンダーとなって、出演者とコントを繰り広げるという趣向。元宝塚のトップスター凰稀かなめがバーテンをしているという設定で、客の男性の人生相談に「死ねばいい」とアドバイスしてそのまま「最後のダンス」を歌うというにくい演出にファンは大喜び。出演者の一人で凰稀との共演作も多い元星組の娘役スター、白華れみが相談に訪れるという場面もあり、ここで二人のデュエットダンスが見られたのは何とも懐かしかった。千秋楽はここでおまけがあって凰稀が「ロミオとジュリエット」からティボルトの歌をサービス。満員のファンの興奮は最高潮だった。
ほかにもメガネにグリーンのジャージー姿の凰稀が、ウェデイングプランナー会社の新入りのダメ社員を演じる爆笑コントもあるなどバラエティーに富んだ構成。客席を巻き込んでのカラオケコーナーなど楽しい場面も盛り込みながら、最後は、オリジナル曲の「明日」でしっとりと締めくくった。
客席は宝塚時代からのコアな凰稀ファンでほぼ埋め尽くされ、一般のファンの姿はほとんど見られなかったが、凰稀の自然体の雰囲気が巧みに伝わってくるコンサートで、いましかできないゴージャスなコンサートだった。新人時代から知っているだけに、宝塚を卒業してようやくここまで来たかという感慨深いものもあった。
OSKのトップスター、高世麻央を中心とした「レジェンド愛の神話」は、福井県のたけふ菊人形で上演される恒例のレビューの大阪先行公演。今回はベテラン、北林佐和子の演出で高世含めて17人、約一時間のコンパクトな作品だが、なかなかうまくまとまった見やすいレビューだった。ゼウスを中心にしたプロローグから、天使の涙、ルパン三世、ヤマトタケルの白鳥伝説と続き、OSK名物ラインダンスへとつないでいく。武生での公演が大ホールになることから円形ホールもきちんとステージを組んでの公演で、少人数とは思えないなかなか本格的なレビューだった。高世のなめらかな歌唱も絶好調、相手役の折原有佐の清楚な美しさも際立った。また二番手スター、桐生麻耶のルパン三世もよく似合っていた。6日から11月6日まで越前市文化センター大ホールで公演する。
©宝塚歌劇支局プラス10月2日記 薮下哲司