©️宝塚歌劇団
瀬央ゆりあ&花組8人で「宝塚巴里祭2024」開催
瀬央ゆりあが、専科入りして以来初めてとなる宝塚のステージ「宝塚巴里祭2024」(三木章雄構成、演出)が7月22、23日に東京・ホテルオークラ、同29、30日に大阪・ホテル阪急インターナショナルで開かれ、30日の千秋楽昼夜がライブ配信された。
2019年に愛月ひかるが中心となって開かれて以来、コロナ禍で中止が続き、5年ぶりの開催となった「宝塚巴里祭」。パリオリンピックの開幕「ベルサイユのばら」雪組公演とも重なってフランスブーム真っただ中、グッドタイミングな開催となった。
吉田優子さんの指揮で始まったショーは、瀬央を中心に出演者7人がラインアップして華やかに歌う「パリパナム」からオープニング。続いて瀬央と女役で登場した一之瀬航季がデュエットで歌う「愛の讃歌」そして糸月雪羽ら娘役4人も加わっての「Boum!」とつづくとムードはすっかりパリ祭。いずれもジョセフィン・ベイカー、エディット・ピアフ、シャルル・トレネの代表曲だ。
羽立光来ら男役3人による「ラ・ビ・アン・ローズ」瀬央の「オー!シャンゼリゼ」などなど巴里祭定番のシャンソンの名曲がこれに続く。巴里祭は3度目の出演という羽立の滑らかな歌声が耳に心地よい。メンバーにこういう歌の達人がひとりいるだけでどんなに場が潤うかしれない。瀬央がメインのショーではあるが羽立のソロも「サントワ・マミー」「夜霧のモンマルトル」があって絶大なるサポート力を示してくれた。
瀬央は「市民革命」と題したフランス革命にちなんだコーナーで「レ・ミゼラブル」からマリウスが歌う「カフェソング」そして「スカーレット・ピンパーネル」から「ひとかけらの勇気」と続けてスターオーラをまき散らし、追い打ちをかけるように「seocci time」コーナーでは「ロミオとジュリエット」から自身が演じたベンヴォ―リオで歌った「どうやって伝えよう」ティボルトで歌った「今日こそその日」そして「バレンシアの熱い花」全国ツアーのラモンで歌った「瞳の中の宝石」新人公演で主演した「ガイズ&ドールズ」からの「ラック・ビー・ア・レディ」をつるべ打ち、さながらサヨナラショーの様相を呈したが、コーナー最後は自身が選んだというバルバラで有名なシャンソン「黒いワシ」を情感たっぷりに歌いこんだ。
クライマックスは「雨の凱旋門」「セ・シャルマン」そしてアンコールで「セ・マニフィーク」と宝塚オリジナルの巴里祭定番の名曲で幕を閉じた。星組から専科に異動、外部出演で力を磨いた瀬央の宝塚での復帰初ステージだったが、ずいぶん貫禄がついて一回り大きくなった感があった。11月には雪組公演「愛の不時着」に特別出演が決まり、次なる飛躍に注目が集まりそうだ。
一方、花組メンバーは羽立、糸月、一之瀬のほかに高峰潤、龍季澪、鈴美椰なつ紀、朝葉ことの、湖華詩という歌の得意なメンバーをそろえ、それぞれソロもありMCも瀬央を中心にひとつにまとまっていて非常にアットホームでいいチームだった。
©宝塚歌劇支局プラス8月3日記 薮下哲司