礼真琴元気に復帰 笑顔に涙ひとすじ、星組公演「1789」千秋楽
公演中に体調不良で休演していた星組トップスター、礼真琴が元気に復帰、ミュージカル「1789」~バスティーユの恋人たち~(小池修一郎潤色、演出)が、27日、東京宝塚劇場で千秋楽を迎え、ライブ配信された。
8月15日、一幕終了後に体調不良を訴えて、急きょ公演中止。以降、19日から暁千星らによる代役によって公演が再開。礼の休演が長期化するかと思われたが、急転、24日から礼が復帰、この日の千秋楽となった。休演から復帰までさまざまな情報や憶測がとびかい、ファンや関係者を心配させたが、この日の礼は元気はつらつ、病後復帰とは思えない明るい笑顔で伸びやかな歌声とパワフルなダンスを披露、ファンの不安を吹き飛ばした。
今回の「1789」は、宝塚大劇場での公演前から体調不良者が続出、6月2日の初日は開演時間をずらせて開幕にこぎつけたが、翌3日から2週間休演、新人公演も中止となるなどアクシデント続きだったが、公演自体は、初演の月組とは違ったアプローチが功を奏し、非常にレベルの高い作品となり、今年前半の作品群の中でもひときわ抜きんでた成果を上げた。革命前夜のフランスを背景に礼扮する農民の青年ロナンと王太子の養育係オランプの偶然の出会いから恋に落ちていく経過をストーリーの芯としたことが成功の要因。礼は正義感にあふれるロナンを熱く誠実に演じぬき、新曲「愛し合う自由」を情感込めて歌いあげた。
この日は千秋楽とあって専科に異動する瀬央ゆりあと天路そら、有沙瞳、音咲いつきの3人の退団者の挨拶があり、礼は、そのあとにマイクに立ち「たくさんのご心配とご迷惑をおかけして心よりお詫び申し上げます。舞台を見て楽しんで幸せな気持ちになってもらわないといけないのに心配をかけてしまい、主演という立場でありながら舞台に穴をあけてしまいなんとも情けない思いでいっぱいです」とまずはお詫び。
「その間、最強の仲間たち、アリちゃん(暁千星)が代わりにロナンを演じてくれ、星組一丸となって公演をつないでくれました。心強い仲間たち、スタッフの皆さん、心を寄せてくださる皆さまには、おわびとそれ以上の感謝の思いでいっぱいでございます」と深々と頭を下げた。その表情は笑顔を崩さないが、この公演で星組から専科に異動する同期生の瀬央ゆりあを「17年間一緒だったから、もう自分でしかない」と紹介したときは「プロだから泣かない」といいながら自然と涙が一筋頬を伝った。
礼の復帰を祝福するかのようにカーテンコールの拍手は鳴りやまず、最後は上手から礼が1人で登場。「舞台に立てることの幸せをいま実感しています」と切り出し、公演途中で休演したことで様々な憶測が飛びかったことについて「宝塚は私にとって唯一無二、大好きなところ。自分の意思でここに戻ってきました。生まれてこのかたポリープができたことはありません」と笑顔で言明、「次の公演は皆さんに1ミリのご心配をかけることのないよう元気に頑張りたい」と12月の「タカラヅカスペシャル」での再会を約していた。
礼の笑顔満面の元気な姿とあふれんばかりの宝塚愛、星組愛にこちらまで幸せな気持ちになり、なにより安堵した素敵な千秋楽だった。
©宝塚歌劇支局プラス8月27日記 薮下哲司