柚希礼音、退団後初コンサート「REON JACK」開幕
9年ぶり!陽月華との名コンビ復活!
昨年5月退団した元星組トップ、柚希礼音の退団後初コンサート「REON JACK」(稲葉太一作、演出)が、11日、大阪・梅田芸術劇場メインホールからスタートした。今回はこの模様を報告しよう。
場内が暗くなると巨大なスクリーンが出現。怪盗REONが、アフリカの星と名付けられたダイヤをまんまと盗み出す様子が映し出される。影絵を使ったダンスや後姿など柚希なのだがなかなかこちらを向かない、満員の場内のじりじりが最高潮に達した時に、アップの柚希が登場、ウィンクすると場内は大歓声。そこへゴンドラに乗った本物の柚希がシルバーのマントを翻して降りてくると、興奮は早くも最高潮となった。いきなり客席おりもあり、なかなか心憎いオープニングだ。
ペンライトを使ったお遊びや、振付指導など在団中のコンサート「REON」のテイストを残したまま、男性ダンサーも加えた、退団後ならではのコンサート。なかでも星組の下級生時代に新人公演などでコンビを組んでいた元宙組トップ娘役の陽月華との9年ぶりとなるコンビ復活が今回の大きな目玉。かつての名コンビぶりを知るものとしては、最後のコンビ作、バウ公演「ハレルヤGO!GO!」からもう9年にもなるのかと感慨にふけりながらも、まさかと思っていた復活がかない、楽しみも倍増といったところ。しかも演出は「ハレルヤ―」の稲葉氏だ。
その陽月、こういうショーに出演するのがなんと退団後初めて。しかし、もともとダンサーとして切れのいいダンスで柚希と踊っていたこともあり、ブランクを感じさせないダイナミックな動きは健在。トークコーナーでも鶴美舞夕、音花ゆりとともに柚希をがっちりささえた。退団後ならではの顔合わせが実現、しかも柚希の男役テイスト満載で、限りなく宝塚テイストにあふれたショー。退団後にしかできない場面もあり、これはもう柚希ならではのコンサートだった。
白眉はなんといっても「REON TANGO」。アルゼンチンのタンゴダンサー、クリスティアン・ロペスとのデュエットは、なんと柚希が男性に扮しての男2人のタンゴ。男性と少年が踊っているような錯覚を覚えるほどで、クリスティアンの豪快なリフトにあわせて踊る柚希のしなやかな動きは思わず見惚れるほどだった。続いて、陽月が登場して男性ダンサーとのセクシーなタンゴ、陽月の見事なプロポーションが際だった。鶴美も絡んで、音花がソロを聞かせるツボを押さえた配置もいい。そして、柚希がスリットの入った黒のドレスに着替え、今度は女性としてクリスティアンと踊るタンゴも素晴らしかった。アクロバティックなリフトで柚希が宙に舞う。見たことのないタンゴだった。柚希が「見よう見まねで踊っていた宝塚時代のタンゴとは違い、踊りながら作っていく本当のタンゴの楽しさを味わいました」と話していた通りの見事なタンゴだった。
宝塚の主題歌メドレーもA、B両バージョンあり、初日はAで「太王四神記」「オーシャンズ11」と続いた。柚希が2階客席まで上がって盛り上がる場面もあって客席はおおいに盛り上がるが、陽月らとの毎回変わるトークも聴きもの。初日は新人公演時代のキスシーンの裏話で大爆笑だった。
フィナーレは柚希自身が作詞、いまの自分を歌った「希望の空」を歌い上げ、裸足でのソロのダンスを披露、緩急自在、女性役という枠が広がっただけで、基本的には何も変わらない、まさに最初から最後まで柚希にしかできないコンサートだった。
©宝塚歌劇支局プラス3月11日記 薮下哲司