楊琳を中心にOSKレビュー「Road to 2025‼」開幕
2025年4月から開催される大阪・関西万博に向けたOSK日本歌劇団によるレビュー「Road to 2025‼」が14日、大阪・森ノ宮のクールジャパンパーク大阪TTホールで開幕した。
レビューは楊琳を中心に桐生麻耶らOSK選抜メンバー31人の出演。日舞レビュー「春・夏・秋・冬」(山村友五郎作、演出、振付)と洋舞レビュー「HEAT‼」(平澤智演出、振付)の二本立て。2年後に迫る関西万博を盛り上げようと大阪府、大阪市はじめ協賛各社がバックアップする公演とあって、短期間の公演ながら普段より衣装や装置などずいぶんゴージャス、パンフレットも分厚く豪華そのもの。初日には吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長が開幕前に登壇、「関西万博、絶対間に合わせます」と客席に向かってあいさつ、楊琳らとの写真撮影タイムをサービスするなど、地元のレビュー劇団OSKを万博のシンボルにしたい熱いエールがうかがえた。
一部の日舞レビューは、チョンパーで舞台がパッと明るくなると、若衆姿の楊琳を中心に桜満開、春爛漫の華やかな元禄絵巻へと展開。定番ながら安心して見られるオープニング。衣装が色彩豊かで照明に映え、「鴛鴦歌合戦」の幕開けよりずっと豪華に見えた。
つづく「春/鶯宿梅」はカラス(桐生)が鶯と偽って梅(千咲えみ)に一夜の宿を所望するが本物の鶯(楊)があらわれて退散するというコミカルなスケッチ。OSKならではののどかな和物が楽しめる。
夏は大阪ならではの「天神祭」楊を中心に全員でにぎやかに総踊り、ここで客席おりや色とりどりのテープが客席にふりそそぐという驚きの趣向もあって、大いに盛り上がった。
「秋/観月祭」は大きな満月をバックに楊と期待のホープ、椿りょうによる優雅な連れ舞。椿の長身できりっとした顔立ちが印象的。「冬/道行」は思わず「心中・恋の大和路」を連想させる雪山の男女の道行。何組かのあと最後の二人が楊と舞美りら。しっとりと締めくくった。
エピローグは関西万博のテーマソング「この地球の続きを」。桐生が歌い始め、楊ら全員が浴衣姿で勢ぞろい「ニーゼロニーゴー」と大合唱、これが一度聞くと耳に残る楽しい曲想。
万博コラボを巧みに取り込んだ。
二部の洋舞レビュー「HEAT‼」も、オープニングからずいぶん垢ぬけた印象。楊を中心としたスタイリッシュな群舞のあと桐生が登場してソロを歌うという流れが実に自然で、娘役だけのヒップホップにつなげるという憎い展開。
第二章はドリームシアター。オペラ座のようなバックで繰り広げられる優雅なダンスシーンが洒落ていて、普通に踊っていたメンバーがいつのまにか一列になりラインダンスになるというのがユニーク。衣装が引き抜きになっていればもっとびっくりだったのだが、そこまでは望みすぎか。とはいえなかなかのアイデアだった。
そして第三章はすっかりOSK名物となった「JUST SING」&「JUST DANCE」。男女とも黒い帽子に黒の衣装でタイトに踊る。楊もすっかり体になじんできたよう。
激しいダンスのあとは桐生がソロでつなぎ、再び「イチかバチかで踊ろうぜ」と激しいダンスシーンへと展開するのがOSK。ウチワをもって客席をまきこんでの楽しいシーンもあり、まさにOSKパワー全開といったレビューだった。アンコールは万博テーマソング「この地球の続きを」で「ニーゼロニーゴー」と連呼、万博応援レビューをしっかりと印象付けた。
万博とのコラボという格好のチャンスを得て、椿をはじめ有望な若手スターも育ってきており、秋にはOSKが生んだブギの女王、笠置シヅ子をモデルにしたNHKの連続テレビ小説「ブギウギ」の放送がきまるなど、OSK完全復活を印象付けるような公演だった。公演は17日まで。
©宝塚歌劇支局プラス7月14日記 薮下哲司