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花組のホープ、希波らいと二度目の主演「うたかたの恋」新人公演

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花組のホープ、希波らいと二度目の主演「うたかたの恋」新人公演

 

花組の男役ホープ、希波らいとが主演したミュージカル・ロマン「うたかたの恋」(柴田侑宏脚本、小柳奈穂子潤色、演出)新人公演が2日、東京宝塚劇場で行わ、ライブ配信された。宝塚大劇場での公演がコロナ禍で中止となり、ようやく東京で実現したものだが、花組が東京で新人公演を行ったのはなんと3年ぶり。出演者全員の熱いパワーがみなぎる緊張感あふれる新人公演だった。

 

「元禄バロックロック」以来二度目の新人公演主演となった希波103期)177㎝の長身と甘いマスクで早くから注目されている劇団希望の星。宝塚王道の名作「うたかたの恋」のルドルフはイメージ的にもぴったりとはまり、まれに見る美しい皇太子が登場した。ただ、今回のルドルフは柚香光にあわせて書き直され、これまで以上に人間的な描写、崩れた部分の表現が必要で、かなり難易度の高い役になっていることが希波のルドルフを見てよくわかった。彼女なりの懸命の努力は買えるものの明るい笑顔が似合う希波からはハプスブルク家の重圧がのしかかるルドルフの陰の部分の表現がどうしても出にくく、マリーとかくれんぼをする無邪気さの裏にある苦悩みえてこないもどかしさがあった。歌唱の弱さもやや気になるところ。期待の星だけに現状に満足せず、もう一歩踏み出してほしい。

 

星風まどかが演じたマリー役の七彩(なないろ)はづきは107期。星組の藍羽ひより続いての新人公演ヒロイン抜擢となった。恋に恋する初々しくかわいいマリーを、そのまま自然体で表現、希波と並ぶと絵のようなカップルだった。

 

水美舞斗が演じているジャン・サルバドルは104期の天城(あましろ)れいん。立ち姿の美しさに軍服姿がよく似合い、冒頭のセリフも聴きやすく、主演の希波をよくサポートした。役が格段に大きくなったフェルディナンド(永久輝せあ)は106期の鏡星珠が起用された。すっきりとした容姿が印象的で演技も的確。やや小柄な印象だったが確かな存在感があった。

 

ルドルフの父、フランツ・ヨーゼフ(峰果とわ)は前回「巡礼の年」新人公演で主演した侑輝大。さすがの実力で場の空気を変えた。母エリザベート(華雅りりか)の朝葉ことのもマリーとの出会いの場面で圧倒的な存在感を、バウ公演「殉情」の春琴役とはまた違った引き出しの深さを出してくれた。この二人の存在がこの新人公演の一方のハイライトでもあった。

 

娘役ではすでに主演経験のある美羽愛(104期)が朝葉のラリッシュ公爵夫人、星空美咲105期)は歌手ミッツィ(詩希すみれ)にまわって脇を支え、美羽の達者な演技、星空の華やかな個性が舞台を彩っていた。

 

ほかにフリードリヒ(羽立光来)の海叶(かいと)あさひ(103期)の確実な演技も舞台を支え、ルドルフの従者ブラットフィッシュ(聖乃あすか)に扮した美空真瑠105期)の役を楽しんで演じている様子がみていて心地よかった。主人公を支える周囲の頑張りが舞台を盛り上げた熱のこもった新人公演だった。

 

©宝塚歌劇支局プラス3月3日記 薮下哲司


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