和央ようか 因縁の舞台に16年ぶり登場「Dramatic City”夢”」開幕
シアター・ドラマシティの開場30周年を記念、麻路さきらゆかりのスターが集結した「Dramatic City”夢”」(中村一徳構成、演出)が16日、同劇場で開幕した。
1992年11月、大浦みずきを中心としたニューヨーク、ジョイスシアター公演の凱旋公演を落としとして開場したシアター・ドラマシティ、以来30年の間に数多くの宝塚歌劇の公演を行ってきたが、それらを振り返って主題歌を歌い継いでいこうというコンサート。
オープニングはこけら落とし公演だった「TAKARAZUKA夢」の映像からスタート。在りし日の大浦みずきさんの華麗なダンスシーンが映し出され、そこへ当時、出演していた風花舞が同じ振付で登場、映像と共演するという驚きの趣向から開幕。30年前と寸分変わらない風花のダンスのキレのすばらしさが感動ものだった。
出演は68期の麻路さきを最上級生に、稔幸、和央ようか、風花、大鳥れい、北翔海莉、愛月ひかると羽純るい、夢妃杏瑠、星吹彩翔、彩月つくしの、4人がコーラスに入るアニバーサリーコンサートにふさわしい幅広いメンバーが集まった。
なかでも和央は2006年1月、退団前のコンサート「W-Wing」上演中に起きた事故以来16年ぶりの同劇場への出演、主題歌「W-Wing」を歌う和央にファンはスタンディングで手拍子するなど因縁の舞台への登場を祝福していた。
麻路や稔はドラマシティ開場まもないころに主演舞台をつとめており、懐かしさもひとしお。主題歌「ライト&シャドウ」や「クリスマスストーリー」を歌うと一気に当時のさまざまな状況が思い出されて感無量だった。北翔は「風の治郎吉」愛月も「不滅の棘」とそれぞれのドラマシティ出演作の主題歌を熱唱。
休憩をはさんで第二部は劇場の創始者、小林公平氏の13回忌にちなんで、作詞された「宝塚行進曲」や「夜明けの序曲」「コインブラ物語」などゆかりの曲を歌い継ぎ、麻路らがトークで故人をしのんだ。
そして最後は出演者たちが歌いたかった曲を1曲ずつ披露。大鳥が「ファントム」からカルロッタの歌う「This Place Is Mine」を、和央エリックと愛月キャリエールで「You
are my own」などなどコンサートならではの選曲で楽しませた。ラストは全員で「タカラヅカフォーエバー」「宝塚我が心の故郷」の大合唱でしめくくった。
基本的にドラマシティで上演された作品の中から主題歌を歌いつづるという趣向だったが、短期間の公演の作品の主題歌はやはり耳になじみが薄く、あまり覚えていない曲ばかりだったこともあって特に一部はやや面白みに欠けるコンサートではあったが、ドラマシティという劇場がタカラジェンヌたちにとってかけがえのない場所であったことがよくわかったコンサートでもあった。
©宝塚歌劇支局プラス9月16日記 薮下哲司