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亜音有星ら宙組若手が大暴れ!「HIGH&LOW」新人公演

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宙組新人公演プログラムより抜粋転載 ©宝塚歌劇団

 

亜音有星ら宙組若手が大暴れ!「HIGH&LOW」新人公演

 

LDH JAPANと宝塚歌劇のコラボで話題の宙組公演,TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE「HIGH&LOW THE PREQUEL」(野口幸作脚本、演出)新人公演(樫畑亜依子担当)が宙組のホープ、亜音有星の主演によって13日、宝塚大劇場で上演された。もともと高校生が主人公のお話なので、新人公演メンバーのフレッシュな配役でちょうど似合い、しかも全員元気はつらつ、宝塚版「HIGH&LOW」の世界が大劇場に再現された。

 

新人公演で再見すると、喧嘩が命のバトルアクションシリーズを巧みに宝塚に落とし込んだ野口脚本が非常によく書けていて、全体的にもよくまとまっていることが再認識できた。とはいえ「町を守るため」とか崇高な目的を掲げてもしょせんは喧嘩集団の縄張り争い以上の何物でもないので見ていてどこか違和感があったのは本公演と同じだった。客席は結構沸いていて手拍子も起こるほどなのでファンの方たちはあまり気にしていないのだろうか。男たちのファンタジーとしてみられる人には幸せな舞台なのかも。

 

 本公演で真風涼帆が演じたコブラには103期生の亜音有星が「シャーロックホームズ」以来二度目の新人公演主演で挑戦。甘いソフトな個性は真風と通じるところがあり、腕っぷしの強さのなかに優しさがあるというコブラにはうってつけ。やや優しさが勝っていた感じもするのでリーダーとしての逞しさを出すところでもう少し押しだせばさらによくなるだろう。

 

相手役のカナ(潤花)に扮した山吹ひばりは、105期の娘役ホープの一人。昨年の「夢千鳥」でのみずみずしい好演が目に焼き付いているが、今回も本役の潤花を手本に、さわやかで魅力的なカナを創り上げていた。「形あるものは永遠ではない」カナのセリフがなんとも切なく聞こえた。

 

Swordチームの筆頭、ホワイトラスカルズのROCKY(芹香斗亜)は風色日向、コロナ禍で新人公演がなかった時期があったので、気が付いたら新人公演の長の期になってしまったという感覚。すでに二度の新人公演主演を経験しているので安定感は抜群、ROCKY役は安心して見ていられた。金髪とサングラスが風色には芹香ほど自分のものになっていないような気がしたのでその辺の工夫は必要かも。

 

音邪高校の番長、村山役(鷹翔千空)の奈央麗斗(107期)、達磨一家リーダー、日向役(瑠風輝)の泉堂成(105期)そしてRUDE BOYSのリーダー、スモーキー(桜木みなと)の大路りせ(105期)といったswordメンバーはこれからの宙組を担う期待の男役。それぞれ立ち位置をかっこよく決めて見せ場を盛り上げた。なかでは大路の溌溂とした動きとヒップホップな歌が印象的。

 

彼らと対峙する苦邪組の頭リン(留依蒔世)に扮したのは真白悠希。留依に負けず劣らずの貫禄で悪の存在感をしめしていた。各チームにナンバー2がいてやたらに役が多く、それなりに見せ場もあって、そういう意味ではやりがいのある舞台なのかも。ただし一度見ただけではほとんど誰が誰だかわからない。

 

娘役がヒロインと床屋の仁花(山吹)以外はすべて宝塚の娘役とは思えないダーティーな役ばかり、その仁花には美星帆奈が扮して初々しいところを見せていたが、ほかはそれこそ男勝りな苺美瑠狂やバイフーたち。純子(天彩峰里)が春乃さくら、バイフー(小春乃さよ)が花宮沙羅といった具合。いつもの窮屈な舞台とは違って大いに発散している様子で、華々しい喧嘩シーンまであって全員が楽しそうなのはよかった。

 

ということで、宝塚版「HIGH&LOW」新人公演、出来はいいし楽しめたのだが、物語の基本ベースに納得がいかないまま見終わったのは本公演と変わりはなかった。

 

©宝塚歌劇支局プラス9月14日記 薮下哲司


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