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元雪組娘役トップ、咲妃みゆ、初の里帰りディナーショー「Reunion」開催

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元雪組娘役トップ、咲妃みゆ、初の里帰りディナーショー「Reunion」開催

元娘役トップスターで、女優として歌手として各方面からひっぱりだこの咲妃みゆが、8月6日、宝塚ホテルで「Reunion」(再会)と題した退団後初めての里帰りディナーショーを行った。宝塚時代の思い出の主題歌はじめ退団後のミュージカルからの曲など20曲を披露、初々しいトークとは裏腹な表現力豊かな歌の実力に魅了された2時間だった。

咲妃は2010年初舞台の96期生。月組に配属され、2012年、「ロミオとジュリエット」新人公演でジュリエット役、続いて明日海りお主演のバウホール公演「春の雪」のヒロイン、綾倉聡子役に大抜擢。その後も、珠城りょう主演のバウホール公演「月雲の皇子」のヒロイン、衣通姫役、北翔海莉主演の「メリー・ウィドウ」のハンナと次々に大役に起用され、雪組に組替え、早霧せいなのトップ就任と同時に相手役に迎えられ「伯爵令嬢」でヒロイン、トップ披露公演「ルパン三世」ではマリー・アントワネット役を好演するなど、実力をいかんなく発揮、その後も「ローマの休日」のアン王女役など次々と大役をこなし「幕末太陽伝」を最後に早霧とともに2017年に退団。退団後も「GHOST」を皮切りに「シャボン玉とんだ宙までとんだ」など様々な話題の舞台にヒロイン格で出演、今最も注目のミュージカル女優だ。


 ディナーショーはそんな咲妃の充実した宝塚時代と退団後の出演作から主題歌を一気に聞いてもらおうという欲張った企画、それにしてもそのセットリストを見ただけでなんと恵まれたスターであることか、改めて彼女の実力のほどがわかる。

 「伯爵令嬢」のメインテーマをオープニングに、退団後に出演したミュージカル「ラブネバーダイ」のメグ・ジリーの歌からオープニング。シックなグレーのドレスに透きとおった歌声で一気に観客を咲妃の世界に誘った。

続いて退団後に出演した「GHOST」「シャボン玉とんだ宙までとんだ」「NINE」と全く違ったタイプの三つのミュージカルの主題歌を披露、その表現力の豊かさに驚かされる。

さらに昨年、古田新太から是非にと請われて出演したオリジナルミュージカル「衛生」から2曲。宝塚時代には絶対できない汚れ役2役に果敢に挑戦したが、本人は「出演できてよかった」と最も気に入った作品だとか。そしてガラリ変わってディズニーミュージカル「ニュージーズ」から共演した京本大我がらみの主題歌を2曲。これも大好きなミュージカルだという。

そしてことし4月から7月まで出演していた「千と千尋の神隠し」の主題歌を披露。公演途中でコロナに罹患し「千秋楽に出演がかなわなかったので心を込めて歌います」と「いのちのなまえ」をじっくり歌いこんだ。

続いてはお待ちかねの宝塚コーナー。「春の雪」「月雲の皇子」「星影の人」「星逢一夜」「るろうに剣心」をメドレーで。「春の雪」は「明日海さんの相手役ということだけでも緊張なのに明日海さんより年上という設定で手も足もでず生田(大和)先生には大変お世話になりました」と述懐、自分の作品は見ないというポリシーを持っているそうだが、最近「春の雪」だけは見直して「自分の原点を改めて思い出してこれからの糧になった」と話していた。

続く挑戦のコーナーでは「ティファニーで朝食を」から「ムーンリバー」を情感たっぷりに、間奏では珍しくタップダンスを披露。「これが挑戦でした」と笑わせた。「ドレスアップドール」など2曲のあとジョニー・ミッチェルの名曲「青春の光と影」をしっとりと歌いこんでショーを締めくくった。

歌の表現力の巧さに反して初々しいトークがアンバランスで、それはそれで咲妃らしくて魅力的だが、きちんとした台本を作った方がさらに引き締まったものになるかなあとは思うが、咲妃の充実した活動ぶりは十分にうかがえた素敵なディナーショーだった。

©宝塚歌劇支局プラス8月6日 薮下哲司


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