Quantcast
Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

アンフィシアターが宇宙空間に!月組公演「Rain on Neptune」ライブ配信

$
0
0


©️宝塚歌劇団

月組トップスター、月城かなとを中心としたドラマティック・ショースペース「Rain on Neptune」(谷貴矢作、演出)が舞浜アンフィシアターで公演中、23日、全国の映画館でライブビューイング、ならびにライブ配信が行われた。

「元禄バロックロック」という快作が記憶に新しい谷氏による新作で、荒廃した地球から遠く離れた近未来の海王星を舞台に人間とアンドロイドがつかの間の饗宴をくり広げるファンタジー、いかにも谷氏らしい世界観のステージだ。

戦争と疫病で荒廃した地球に汚染された雨が降る。孤児院で育った少年シャトー(蘭尚樹)は思いを寄せる少女ベルメール(海乃美月)にガラスのかけらをプレゼント、いつか本物のダイヤモンドを贈ると約束する…とここまでがプロローグ。少年が青年に入れ替わり大人になったシャトー(月城)が登場。地球を離れトレジャーハンターとして宇宙を探索するシャトーは、金髪にグレーの戦闘服、なんとも凛々しく成長。宇宙船の外を眺めながら少年時代を回想していたのだ。

舞台が客席に半円形に突出、その周囲を取り囲むように客席が広がるアンフィシアターの舞台中央にしつらえられた宇宙船に月城が登場すると客席全体が宇宙空間のようにみえるのが面白い。

宇宙船は宝石の星、海王星に不時着、宝石のリーダー(千海華蘭、佳城葵)に案内されて宝石の王トリトン(鳳月杏)に謁見することに。ここで登場した鳳月トリトンの圧倒的な存在感、まさに大トリといった雰囲気。トリトンはシャトーに、ダイヤモンドとネプチューン(海乃)に手を出さなければ何をしてもよいと歓迎するのだが…。

シャトーはネプチューンがベルメールに瓜二つだったことからトリトンとの約束を破って恋に落ちてしまう。とまあこんなお話が歌とダンスで展開していく。はっきりいってストーリーはほとんどどうでもよくアンフィシアターの空間に身をゆだねて月城、海乃、鳳月の美しいトライアングルを眺めているだけで幸福感に浸れる、そんなファンタジーだ。シンプルだが凝った装置や衣装が独特の世界観を作り上げている。ラストにもう少しスペクタクルな見せ場があればストーリー仕立てのメリハリがついたように思う。

しかしそこは宝塚、話が一段落したところで、鳳月トリトンの「さあショータイムを」の声でステージは一気にボルテージアップ。

まずは「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」から「セーラームーン」の「ムーンライト伝説」までおなじみの宇宙アニメメドレー。月城、海乃の「ムーンライト」が楽しい。

次いでアンフィシアターならではのディズニーメドレーは鳳月の「「オーバー・ザ・レインボウ」からスタート。「リトル・マーメイド」の「アンダー・ザ・シー」などを歌い継ぎ。宝塚メドレーにバトンタッチ。

月城が「るろうに剣心」から「最後という名の華を添えて」を二刀流で披露すれば、鳳月が「1789」から「誰のために踊らされているのか」を、続けて「ME&MYGIRL」「ロミオとジュリエット」から「世界の王」と連続すると場内最高潮。最後は「ル・ポワゾン」「ヒートウェーブ」そして「アパショナード」と月組ショーメドレーで盛り上がった。

最後は月城がSEKAI NO OWARIの「rain」をしっとりと歌い収めて幕となった。
こういう祝祭空間では細かいニュアンスの芝居は無理があり、こんなファンタジーがちょうどよかったのかも。芝居巧者の月城ならではのショーパフォーマンスだった。とはいえ鳳月の存在の大きさを改めて証明したようなショーでもあった。海乃はネプチューンの衣装がゴージャスで魅力的。ピック夢奈瑠音、トレフル英かおと、クール彩みちるの宇宙船クルーの3人の活躍も適材適所だった。

©宝塚歌劇支局プラス5月21日記 薮下哲司


Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>