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コロナ禍の38人、念願のステージ「宝塚音楽学校108期生文化祭」

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文化祭プログラムより


©️スポニチ

コロナ禍の38人、念願のステージ「宝塚音楽学校108期生文化祭」

 2020年6月5日、コロナ禍で合格発表から2か月遅れて入学した108期生、授業も2年間ずっとマスク越し、成果を発表する文化祭も直前にコロナ感染者が発生、開催が2週間遅れとなるなど、コロナに振り回された学年となった。その文化祭(三木章雄総合演出)が3月11日から13日まで三日間、宝塚バウホールでようやく実現、38人の本科生による日舞、歌、演劇、ダンスのパフォーマンスが披露され、13日の昼の部を観劇することができた。

 第一部のオープニングは恒例の日本舞踊「清く正しく美しく」から。黒紋付に緑の袴の正装による群舞で、娘役の声楽首席がソロを務める。今年は岡原ゆづきさんと北山花音さんの二人が分けて歌う異例の構成。二人の美しい歌声に合わせて優雅でありながら力強い群舞が繰り広げられた。

 例年なら、日舞のあと予科生のコーラスをはさんでクラシックヴォーカルへと進むのだが、今年は楽屋が密になるという理由で予科生の出演は見送られ5分間の休憩、続いてクラシックヴォーカルに。

1人目は岩崎杏珠さんの「カタリカタリ」2人目が糀屋美咲さんの「星は光りぬ」で岩崎さんも好唱だったが、糀屋さんの深くなめらかな声質が素晴らしく、ここ数年来ここまで聴かせてくれた歌唱はなかったように思う。見事の一語。

続くポピュラーヴォーカルは岩崎さん、大塚あかりさん、佐々木結萌さん、元木ひかるさんの美形男役4人を中心に全員が勢ぞろいして「アイ・ラブ・レビュー」からスタート。それぞれのソロがあったがメンバーの中では小柄だが安蘭けいを思わせる目力が魅力的な元木さんに注目。

歌の実力では「皇帝と魔女」の「愛の歌」を歌った山本美南子さん「さよならは夕映えの中で」を歌った糀屋さんがここでも白眉だった。最後は全員で「TAKARAZUKA FOREVER」を合唱して幕となった。

第二部の演劇「オーロラの歌声」(谷正純作、演出)は、フランス革命時のスウェーデンを舞台に、皇太子クリストフによる平民から募集した近衛兵候補生の訓練風景を描いた作品。2年間の音楽学校での生活ともダブる内容で、何年か前にも見た作品。

A組の配役はクリストフに川上凛オディセさん、ヒロインのエルヴィラに山本さん、近衛隊員候補生班長ヤンに伊勢谷和香さん、ヤンの恋人でエルヴィラの姉フェリシアに岩永佳奈子さん、候補生の中で一番のしっかり者ルーカスに岩崎さん、候補生の指導将校ファーレン少佐に糀屋さん。川上さんは品のあるすっきりとした個性の持ち主で皇太子役にはぴったり。王道の二枚目といった感じ。演技的には伊勢谷さんの包容力、岩崎さんの強い個性が際立った。元木さんは候補生の一人ラージュを演じセリフは少なかったがここでもきらりと光るものがあった。

冒頭に登場する脱走兵のエリクの山下歩美さんとその恋人レーナの岡村美佑さんも熱演だった。

ちなみにB組はクリストフが田中百映さん、エルヴィラが北山さん、ヤンが奥山映美さん、フェリシアが梶原捺さん、ルーカスが大塚さん、ファーレン少佐が瀧田あかりといった配役。

第3部のダンスはタップダンスはじめジャズダンスで娘役の島見茜さんのダイナミックな動き、クラシックバレエでは井上絢心さんのぶれないピルエットが素晴らしかった。

総合首席が娘役の岩永さんで全体的に娘役が優勢、上位6人すべて娘役が占め、ダンスでも娘役上位の108期という印象。卒業式は14日。4月23日からの星組公演で口上とショーのラインダンスで初舞台を踏む。

©宝塚歌劇支局プラス3月13日記 薮下哲司
 


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