©️劇団四季
劇案四季のアンドリュー・ロイド＝ウェバーコンサート
元花組の真瀬はるかが出演、2オクターブ半の美声を披露
「キャッツ」「オペラ座の怪人」などの天才作曲家アンドリュー・ロイド＝ウェバーのデビュー曲から現在までの数々の名曲を本人の解説によってつづっていく「劇団四季のアンドリュー・ロイド＝ウェーバーコンサート～アンマスクド～」（クリストファー・キー演出）大阪公演が29日、オリックス劇場で開幕、元花組の男役スター、真瀬はるかが「オペラ座の怪人」のクリスティーヌに扮し歌の実力をいかんなく発揮した。
コンサートはアンドリュー・ロイド＝ウェバー本人が映像で登場、生い立ちから作曲家としてのデビューから現在までを振り返り、劇団四季のメンバーが歌い継ぐヒットメロディーの合間にその楽曲にまつわるミュージカル創作の裏側を紹介していくというミュージカルファンなら垂涎のコンサート。故浅利慶太氏との出会いや親交にも触れ、ロイド＝ウェバーと四季の繋がりの深さもうかがえる。
劇団四季のなかでも歌唱に優れたよりすぐりのメンバー10人が出演、生オーケストラをバックに次から次と登場する名曲の数々を休憩はさんで2時間40分、圧倒的な歌唱力で本邦初披露となる「スクール・オブ・ロック」まで40曲あまりを歌い継ぐ。
オープニングは、劇団四季とロイド＝ウェバーの記念すべき出会いとなった「ジーザス・クライスト＝スーパースター」から「スーパースター」を白瀬英典ら出演者全員でパワフルに歌い上げてスタート。まずは出世作となった「ヨセフと不思議なテクニカラードリームコート」メドレーから。続いて「ジーザス・クライスト」「エビータ」と初期の作品群から数曲ずつ。
ロイド＝ウェバーによると「エビータ」は作詞のティム・ライスがやりたがった企画で、気乗りがしなかったが、エバ・ペロンという女性がなぜこれだけ人気があったのか、タンゴで表現したら面白いのではと「共にいてアルゼンチーナ」が生まれたのだとか。谷原志音が熱唱したこの曲、もともとのメロディーはディズニーからの依頼で「リトルマーメイド」のために書いた曲だったそう。
ショー形式の「ソング・アンド・ダンス」のあと、チェロのために書いた曲「遙かな調べ」を歌ったのが真瀬。低音から高音域まで２オクターブ半あってあまり聞ける機会のない曲だが、ロイド＝ウェバーも絶賛する真瀬の見事な歌唱で久々に甦った。
続いて、ご自慢のラブソング集は「アスペクト・オブ・ラブ」からの「ラブ・チェンジズ・エブリシング」など3曲。そして、ミュージカル界の記録を塗り替えたヒットミュージカル「キャッツ」へ。「ラム・タム・タガー」「スキンブルシャンクス」「マキャベティ」そして「ミストフェリーズ」と続きラストは江畑晶慧による「メモリー」の絶唱。
ロイド＝ウェバーは「キャッツ」の原作であるT・S・エリオットの詩集は子供のころからの愛読書だったそうだが、ストーリーのないミュージカルは画期的で、開幕前は何が何だかわからない状態だったと振り返る。舞台は20年以上続いたが映画はすぐに消えたと皮肉交じりに苦笑したのがおかしかった。
2幕は、日本では川崎麻世を中心としたメンバーで上演されたローラースケートミュージカル「スターライトエクスプレス」から。続いて現在ロンドンで上演されている新作「シンデレラ」から「バッド・シンデレラ」。
そして「サンセット大通り」「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド」「ラブ・ネバーダイ」と四季以外で上演された演目からの曲を、江畑ら四季の誇る歌手陣が歌い継いだ。
クライマックスは「オペラ座の怪人」。ファントムに飯田洋輔、ラウルに飯田達郎の飯田兄弟。クリスティーヌに真瀬が扮し「オール・アイ・アスク・オブ・ユー」と「ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト」を歌い、真瀬が２オクターブ半の広音域の歌声を存分に聴かせた。
真瀬は2006年宝塚歌劇団で初舞台。現宙組トップの真風涼帆と同期生。2012年に退団、劇団四季には2015年「キャッツ」のグリドルボーン役で客演したが、このほど正式に入団。音域の広い歌声はロイド＝ウェバーお墨付きで、今後の四季での活躍が期待される。
「オペラ座の怪人」は3月6日から大阪四季劇場で13年ぶりに再演されることが決まっており、真瀬のクリスティーヌ役も夢ではなさそうだ。
このコンサート、大阪公演のあと1月2、3日が京都劇場、1月26、27日が神戸国際会館こくさいホールでも開かれる。
©宝塚歌劇支局プラス12月29日記 薮下哲司
↧
劇案四季のアンドリュー・ロイド＝ウェバーコンサート 元花組の真瀬はるかが2オクターブ半の美声披露
↧