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Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
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花組・月組100thAnniversary「Greatest Moment」開幕

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©️梅田芸術劇場(撮影:岸隆子)

花組・月組100thAnniversary「Greatest Moment」開幕

花組・月組が誕生して100年にあたる今年、ゆかりのスターが大集結したスペシャルイベント「Greatest Moment」(三木章雄構成、演出)が11月3日、梅田芸術劇場メインホールで開幕した。月組の初風醇を筆頭にトップスターだけで20人が集結、安寿ミラ、真矢ミキのヤンミキコンビの復活など記念イベントならではの懐かしい場面が続出、約3時間半にわたる夢の祭典となった。

何しろ男役、娘役あわせてトップスターだけで20人、これに退団したばかりの瀬戸かずやとアンサンブルメンバー16人、現役から専科(元月組)の凪七瑠海と紫門ゆりやを加えて39人が出演。100年分の2組の主題歌を歌い継ごうというのだから到底覚えきれないほどの盛りだくさんな内容、プログラムをもとに記憶の限り再生してみよう。

各回出演者が入れ替わり、様々な組み合わせが用意されているが初日は1、2部を通して花組・月組のそれぞれの作品やシーンの中から、出演者とゆかりの深い楽曲を歌、ダンス、トークをまじえたコンサート形式のショー。

幕開きは花組が高汐巴、月組は剣幸を筆頭に各世代の男役トップスターが勢ぞろい。テーマ曲「Greatest Moment」を歌い継いで始まった、ソロ一曲目は最上級生の初風醇による「ラムール・ア・パリ」の「白い花がほほえむ」からスタート。彩輝なおの「飛鳥夕映え」涼風真世の「PUCK」とまずは月組が続き、真矢ミキの「SPEAKEASY」安奈淳の「あかねさす紫の花」と花組、続いて榛名由梨が月組の「バレンシアの熱い花」から2曲、花組、月組でさながら紅白歌合戦の様相。

続く花組コーナーは凪七と紫門の「花詩集」から始まってヤンミキコンビの極めつけ「メランコリックジゴロ」から「飲め飲め」。100周年イベントの軽妙な司会以来のOGイベントへの出演となった真矢だが、本格的な男役芸を見るのは退団以来23年ぶり。現役時代と全く変わらないキザりぶりでオーラ全開。そのまま残った安寿は代表作「ブラックジャック」につなぐ。マダム貞奴に扮した若葉ひろみのモノローグから愛華みれの歌に続けた「夜明けの序曲」は初演、再演コンビ。

月組コーナーは真琴つばさの「黒い瞳」から。ダンスは風花舞。久々のコンビ復活となった。「グレートギャツビー」の「朝日の昇る前に」は瀬奈じゅん。剣の「ラ・ノスタルジー」などショーの主題歌集は瀬奈と珠城りょうの新旧二人による「アパッショナード」で締めくくり。

花組のショーは高汐の「ジュテーム」から始まり、安寿が珠城、瀬戸かずやをバックに「メガヴィジョン」の名ダンスシーン「サードヴィジョン」を再現、安寿のキレのいいダンスはいまも健在。続けて真矢が「ダンディズム」から「パラディッソ」をかっこよく披露。元祖ダンディズムの貫録を示したと思えば、次が安奈の「ノバ・ボサ・ノバ」から「アマールアマール」。変わらぬなめらかな美声に聴き惚れる。

榛名の「ラ・ベル・タカラヅカ」をはさんでミュージカルコーナーは月組が「グランドホテル」を珠城、麻乃佳世、涼風の新旧3人で3曲、涼風は眼鏡と衣装にも凝って再現した。花組の「キス・ミー・ケイト」をはさんで「エリザベート」は月組バージョンの彩輝トートと瀬奈エリザベートの再現、瀬奈は彩乃かなみと「アーネスト・イン・ラブ」も再現。ラストは剣幸を中心とした「ミー&マイガール」メドレー。剣の「街灯によりかかって」のあとこだま愛、麻乃佳世、風花舞、彩乃かなみと4人のサリーが登場というスペシャルな趣向も。最後はもちろん「ランベスウォーク」を全員で歌って1幕を閉じた。1幕だけでたっぷり1時間半。次から次へと懐かしいシーンが連続、初演当時のさまざまな思い出が走馬灯のように駆け巡るととともに、退団後のスターたち誰もが在団時より歌のスキルが上達していて、一番だけの短い曲も多かったがどの曲も聴かせた。

2幕は特別出演の凪七と紫門のデュオから再開。2024年に月組初演以来50年を迎える「ベルサイユのばら」コーナーでは初風が「青きドナウの岸辺」を歌い、安奈、涼風、彩輝そして榛名ら全員で「愛あればこそ」を大合唱。榛名、安奈、初風での初演時代の思い出トークで話が弾んだ。

続いて「風と共に去りぬ」では真琴つばさと愛華みれがスカーレット1,2に扮して「私とあなたは裏表」愛華のドレス姿に注目。安奈がスカーレット編にしかない「真紅に燃えて」を歌ったのが貴重だった。

花組の誇るレジェンド越路吹雪を偲んでのシャンソンコーナー、大浦みずき追悼のタンゴシーンではアストロリコ四重奏団が特別出演、安寿がブエノスアイレスのマリアを踊った。

花、月名シーンはまだまだ続き、「エンター・ザ・レビュー」や「エキサイター」「カルーセル輪舞曲」「小さな花がひらいた」などなど。瀬奈の「セラヴィ」から始まった「琥珀色の雨にぬれて」では高汐、若葉の初演コンビが復活、高汐のハスキーな低音による主題歌が懐かしく耳に響いた。そして「テンダーグリーン」から「心の翼」を全員が大合唱、感動のフィナーレとなった。

フィナーレは安奈と涼風による「宝塚我が心の故郷」初風の「すみれの花咲くころ」と続いて全員で「フォーエヴァータカラヅカ」を大合唱、約3時間半のスペシャルイベントの幕を閉じた。

MCはできるだけ短くということでほとんどないに等しかったが安寿と真矢の四半世紀ぶりのコンビ復活には本人たちもびっくり、まるで昨日まで組んでいたような息の合い方はまさにタカラヅカマジックだった。真矢が「ヤンさん全然変わりませんね。若手バックにダンスすごかった」といえば安寿が「初演はマミ(真琴)とタモ(愛華)だったんだけど、二人に頼むのは気が引けて、やめたばかりの珠城と瀬戸に頼んだの」のくだりには大爆笑。真矢は「退団してから宝塚関係のお仕事はあまりお呼びがかからなかったので23年ぶりぐらいですね」と久々のタカラヅカの世界にどっぷりはまっている様子だった。

この催し、本来は4月に宝塚大劇場で行われる予定だったが、折からのコロナ禍で中止、この度、梅芸と東京国際フォーラムでの公演で実現した。このため何人かの出演がスケジュールの関係でキャンセルとなったのが残念だったがプログラムには甲にしき、古城都、大地真央のインタビューが掲載されるなど気遣いもあり、100周年にふさわしい豪華なイベントだった。東京公演は13日と20日にライブ配信が行われることが発表されている。

©宝塚歌劇支局プラス11月4日

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