久世星佳×未沙のえる×憧花ゆりの 異色のトークライブ開催
元月組のトップスター、久世星佳を中心に元専科の未沙のえる、元月組の憧花ゆりのという珍しいトリオがジョイントしたライブプレイショー「Non Stop Dream」(ステージング伊賀裕子)が7月25日、宝塚ホテルで行われた。もともとは昨年3月に新阪急ホテルで開催されるはずだったトークライブだが、コロナ禍で延期に次ぐ延期、紆余曲折、急きょ場所を変えて約1年半ぶりに実現にこぎつけた。これがまた通常のトークライブとは一味違った凝った構成で見ごたえ聴きごたえ十分のおしゃれなライブパフォーマンスだった。
久世は、天海祐希退団後の1995年から97年まで月組のトップ。「銀ちゃんの恋」の初演を成功に導くなど芝居巧者として記憶に残り、退団後も「out」の好演など女優として幅広い活躍を続けている。そんな久世の退団後初めてといえる里帰りライブは、本人が台本を執筆、練りに練った構成。
場内が暗転、音楽監督の𠮷田優子さんがピアノの前に座って「スワンダフル」を弾き始めるところからオープニング。そこへホテルのスタッフのような制服姿で登場した久世、後から登場した燕尾服姿の美沙のえると何やらひそひそ話、どうやらホテルの従業員控室の雰囲気。久世はソムリエ、未沙はウェディング担当で、未沙はこの日、新婦の父親の代役を仰せつかったことから燕尾服を着ているという設定。そこへ、ホテルの誰かに呼ばれたらしい憧花がやってくる。
そんな設定で久世が「ME&MY GIRL」や「グランドホテル」「ガイズ&ドールズ」などからの懐かしい歌を次々に歌い、未沙も極めつけの代表曲を久々に披露、詳しい曲目は12月に東京公演があるため書けないのが残念だが、なんともユニークな構成。久々に聞く久世の男役の澄んだ低音、未沙の達者な演技、現役の香りが残る憧花の華やかさ、それぞれがノーメイクに近い化粧と、普段着のようなシンプルな衣装にもかかわらず、内面からにじみ出る宝塚への思いが十分に伝わった素敵なステージだった。
久世は「二年越しの企画。いろんな方のご努力でこうやって実現することができました。感謝の言葉しかありません。久々に宝塚の世界にもどって私にとっても幸せな時間でした」と感無量の面持ちであいさつしたのが印象的だった。
一方、憧花は会場となった宝塚ホテルの支配人。「待っていてくださったお客様の笑顔を見てやってよかった。一生の思い出になりました」と久々の舞台の感想、終演後は、笑顔で来場者をお見送り、すっかり支配人の顔にもどっていた。
©宝塚歌劇支局プラス7月25日記 薮下哲司
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