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亜音有星、さわやかに初主演 宙組「シャーロック・ホームズ」新人公演

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新人公演プログラムより抜粋転載

亜音有星、さわやかに初主演 宙組「シャーロック・ホームズ」新人公演


研5のホープ男役、亜音有星(あのん・ゆうせい)の初主演となった宙組公演、Musical「シャーロック・ホームズThe Game is Afoot!」(生田大和作、演出)新人公演(中村真央担当)が20日、宝塚大劇場で行われた。コロナ禍で新人公演が休止されていたため、宙組としては「イスパニアのサムライ」以来の新人公演。研8のメンバー4人も出演して脇を固めたが、全体的には一気に若返り、フレッシュでういういしい新人公演だった。

「シャーロック・ホームズ」はコナン・ドイルのホームズ・シリーズのいろんな作品からインスパイアされながら実際にあった切り裂きジャック事件を絡めて生田氏が書き下ろしたオリジナル。大英帝国の軍事機密に関わる秘密文書の争奪戦をメーンにした狐と狸の化かしあいのような愉快な展開がなかなか凝っていて最後まで楽しめる。シャーロキアンには原作に登場するおなじみの人物が次々に登場、それぞれがストーリーにうまくはまっているのがこたえられない面白さだろう。

脚本がしっかりしているので、新人公演メンバーも、書かれてある人物を本公演の本役の演技をなぞるだけで、それなりの舞台が出来上がってしまう。そんな典型的な舞台だった。

初主演となった亜音はそのアイドル的な美貌で早くから注目されていたが、「イスパニアのサムライ」のアレハンドロ(本役・芹香斗亜)を経て、初めての主役を射止めた。浮浪者に変装した姿から一瞬にして英国紳士に早変わりする冒頭の鮮やかな変身ぶりが見事だったが、本役の真風涼帆をお手本にした、寄りつきがたい奇人ながらどこか憎めないかわいいホームズ像を新人公演らしくさわやかに演じて終始、好印象だった。なかでも事務所で「退屈だ、退屈だ」と駄々をこねるあたりがなんとも微笑ましかった。歌唱の安定も頼もしく今後の活躍に期待がかかる。

ホームズが「あの人」と呼び、ラストでもからくりを見抜いてしまうアイリーン役(潤花)には「夢千鳥」での好演が記憶に新しい研3の山吹ひばりが抜擢された。ホームズを向こうに回して裏をかく大人の雰囲気充満の女性像を、オープニングこそやや緊張気味だったものの、なかなかの芝居心で見事に演じ切り、大型娘役誕生を予感させた。何より立ち姿が凛として美しく、オペラ歌手という設定にふさわしい歌唱力も強みだ。

芹香が演じたホームズの宿敵モリアーティには研7の鷹翔千空が配された。すでに主演経験があり、演技巧者として定評もある鷹翔にとって、この役は手の内にあるようなもの。役を楽しむ余裕さえ感じさせた。

ほかにホームズの相棒ワトソン(桜木みなと)は優希しおん、その婚約者メアリー(天彩峰里)に有愛(ありあ)きい。レストレード警部(和希そら)に大路りせ、ハドスン夫人(遥羽らら)には前回の新人公演でヒロインを演じた花宮沙羅といった配役、前回主演を務めた風色日向はモリアーティ大佐。なかでは優希のワトソンが亜音との呼吸があっていて感じが出ていた。

一方、ホームズの兄マイクロフト(凛城きら)を演じた真名瀬みらからモリアーティ側にスパイとして送り込まれるフレッド(瑠風輝)を夏南幸休演のため真白悠希が代役で演じたが、ひときわ目立つ個性的な容姿と達者な演技で光っていた。チャンスを生かした運の強さに感服。要注目だ。

©宝塚歌劇支局プラス7月20日記 薮下哲司

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