轟&珠城、美園、サヨナラ特集 OGインタビューは和央ようか
「宝塚イズム43」好評発売中
新型コロナウィルスの感染拡大は一向に収まる気配がなく東京は4度目の緊急事態宣言発出中。前代未聞の混乱状態ですが、宝塚歌劇は公演時間を変更するなど感染拡大に細心の注意を払いながら東西ともなんとか通常通り上演中。そんななか、半年に一回刊行される宝塚歌劇唯一の評論誌「宝塚イズム43」(薮下哲司、鶴岡英理子編。青弓社刊、定価1600円+税)がこのたび無事刊行の運びとなり、全国大型書店で好評発売中です。
今号は、トップ・オブ・トップとして20年間、宝塚に君臨した専科のスター、轟悠の突然の退団発表を受けて、すでに退団を発表していた月組トップコンビの珠城りょう、美園さくら、花組の娘役トップ、華優希に加えて、轟の退団をメインに据えた特集を組みました。轟の存在が宝塚歌劇にとっていかに大きいものであったか、どんな影響を与えてきたか、などなどを執筆メンバーに考察してもらい、単に惜別の特集というわけではなく、轟の存在しない宝塚歌劇が今後どんなふうに展開していくのか将来の展望も見据えた特集になっています。
そして、昨年3月、退団を発表していながらコロナ禍の休演で半年遅れとなった月組の珠城と美園、そして、7月の「アウグストゥス」東京公演で退団した花組の娘役トップ、華の3人の退団には、通常の惜別特集を組みました。華の大劇場千秋楽は無観客のライブ配信という不運に見舞われましたが、珠城と美園は退団の時期はずれたものの「桜嵐記」という素晴らしい作品で見送ってもらうことができた幸せなカップルでした。
小特集は、今年は花組、月組が誕生して100周年という節目の年に当たることから花組と月組にまつわるさまざまな思い出やスターの話題をピックアップしてみました。本来は4月に宝塚大劇場で、歴代のスターたちが勢ぞろいしての祝祭イベントがあるはずだったのですが。コロナ禍で中止になってしまい、せめて誌面で応援しようと企画したのですが、11月に大劇場花組公演と梅田芸術劇場で100周年記念公演が決定、タイムリーな企画になりました。
今年はミュージカル「エリザベート」の日本初演25周年の記念の年にもあたり、4~5月に歴代出演者が勢ぞろいしたガラコンサートが開催されましたが、全日程出演するアンサンブルキャストには在団中には出演がかなわなかったメンバーが選ばれるなど、これまでにないフレッシュなキャストで上演されました。そんなメンバーのなかから宇月颯ら3人に橘涼香さんが貴重な話をきいてくださいました。「エリザベート」がいかに宝塚の演目の中でカリスマになっているか、3人の鼎談を読むとよくわかります。
OGロングインタビューは2000年から2006年までトップを務め絶大な人気を誇った元宙組の和央ようかの登場。滞在中のハワイからのリモート取材で、7月に開催する予定だった宝塚ホテルでの里帰りディナーショーの話を中心に「エリザベート」初演時の苦労話などを聞くことができました。肝心のディナーショーが新型コロナの感染拡大がおさまらず、緊急事態宣言は解除されたものの、その後に発出された兵庫県独自の蔓延防止措置のため7月の開催を断念、10月23、24の両日に延期され、ゲストも実咲凛音から綺咲愛里に交代するなど、インタビューの内容とはずいぶん変わってしまいました、そのあたりはご了承の上お楽しみください。
ほかにもこの半年間に上演された宝塚歌劇全公演の評、「ポーの一族」はじめOGが活躍した公演の成果など読み応え満載の最新号です。ぜひ一冊、お求めください!
©宝塚歌劇支局プラス7月15日記 薮下哲司