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Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
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月組トップコンビ、珠城りょう、美園さくらが大劇場でサヨナラショー

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©️宝塚歌劇団

月組トップコンビ、珠城りょう、美園さくらが大劇場でサヨナラショー

月組のトップスター、珠城りょうが、ロマントラジック「桜嵐記」スーパーファンタジー「Dream Chaser」千秋楽の21日、同時に退団する娘役トップの美園さくらはじめ8人の退団者とともにサヨナラショーを行い、宝塚大劇場に別れを告げた。この模様は全国の映画館でライブ中継そしてライブ配信された。

サヨナラショーは本公演終了後、午後4時半ごろから始まった。緞帳が上がると電飾に彩られた大階段中央に黒を基調にシルバーの模様が入った珠城が登場。まずはトップお披露目だったドラマシティ公演「アーサー王伝説」の主題歌から。「王として生き抜く!」というラストのセリフも力強く大階段を下りて「カンパニー」の主題歌へと歌い継ぎ、舞台袖に置かれた真っ赤な薔薇の花束を取って銀橋で「グランドホテル」の主題歌を熱唱した。

ここで香咲蘭をはじめとする7人の退団者が珠城と入れ替わりに現れて「カルーセル輪舞曲」の主題歌で盛り上がると、美園が登場。ヒロインを演じた「アイアムフロムオーストリア」の主題歌「ブロンド」を披露。

曲終わりで赤を基調にした衣装に着替えた珠城が、鳳月杏、月城かなと、暁千星ら月組男役メンバーを従えて「エリザベート」のフィナーレ「闇が広がる」のダンスシーンを再現、珠城のパワフルなダンスが最大限に生かされた場面だが、意表を突くクールな選曲だった。

群舞終わりで珠城が残り、真紅のドレスに着替えた美園とのデュエットへ。これは二人の初コンビ作「夢限無双」から「同じ星空の下に」が選ばれ、しっとりと歌いこむ。

続いては美園が残り、暁と風間柚乃とともに「ピガール狂騒曲」から「ラ・ベルエポック・ド・パリ」を華やかに。

その間にブルーの衣装に着替えた珠城は、鳳月と「幽霊刑事」の「世界最強のコンビ」と一場面を再現、続いて極めつけ二人が兄弟役で共演した「月雲の皇子」の名セリフも。鳳月はこの二作の間に花組に組替えになっていたのだが、珠城のかけがえのない相手役だったことが改めて浮き上がり、ここでこの二人の場面が再現され「月雲」の主題歌「花のうた」を歌う珠城の姿はちょっとした感動ものだった。

ここで月城が登場、7人の退団者を引き連れて「クルンテープ」を披露。歌終わりで今度は純白にゴールドを散りばめた衣装に着替えた珠城がせり上がり「ALL FOR ONE」の「この地上の何処かに」を歌い始めると大劇場の客席は黄色いペンライトの洪水。2曲目の「明日を信じて」の歌詞が珠城のこれからの人生とコロナ禍に生きる人々へのエールにだぶってまさにこの日のための曲のようで胸に迫った。そしてラストは月組生全員が登場するなか珠城が黒のサングラスを取り出して「BADDY」を全員で大合唱。なんとも珠城らしい突き抜けたラストステージだった。

香咲、楓ゆき、桜奈あい、颯希有翔、蒼真せれん、夏風季々、摩耶裕の退団あいさつの後、美園が「アイアムフロム―ストリア」にひっかけて「今こうして故郷に別れを告げるとき、みなさまに感謝の言葉しかありません」と涙ぐめば、紋付き袴姿で大階段を下りた珠城は「月組の千秋楽にこのような状況下観劇くださり心から幸せです」といきなり千秋楽の挨拶からはじめ、サヨナラの挨拶を期待していた客席からは思わず笑い声が。「サヨナラのあいさつで笑われるとは」とあとで苦笑いだったが「私は宝塚が大好き、14年間の男役人生は最高に幸せでした。珠城りょうとしてすべての皆さんにありがとうございました」と凛々しく締めくくった。カーテンコールでも「身体が限界状態で、サヨナラショーまで務められるか心配だったのですが、あっという間でした。今日で最後という実感がありません」と明るく話していたが、専科に異動する輝月ゆうまと紫門ゆりやの名前を出した時には思わず涙ぐんで後ろを向く一幕も。最後は美園をエスコートして幕前に姿を見せ、ファンへの感謝の言葉とともに大劇場との別れを惜しんでいた。

この日、本公演での「桜嵐記」楠木正行役も千秋楽にふさわしい素晴らしい出来ばえ。男役として最高の時に退団していく珠城の去り際の潔さをいつまでも目に焼き付けておきたい。


©宝塚歌劇支局プラス6月21日記 薮下哲司
 


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