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望海トート、明日海エリザベート、夢の競演実現 真風涼帆、潤花、新トップコンビ、ライブ配信で披露

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©️宝塚歌劇団

望海トート、明日海エリザベート、夢の競演実現
真風涼帆、潤花、新トップコンビ、ライブ配信で披露

ミュージカル「エリザベート」TAKARAZUKA25周年記念スペシャル・ガラ・コンサートの掉尾を飾るアニバーサリー・スペシャルバージョンが5日、無観客の東京、渋谷の東急シアターオーブで上演され、全国の映画館でのライブビューイングとライブ配信された。

ガラ・コンサートの東京公演は24日から開幕、27日まで上演されたが、その後の公演は緊急事態宣言が発出されたため中止となり28日から5日までの5公演が無観客で行われるという異常事態となった。今回のガラ・コンサートの一番の呼び物だった元雪組のトップスター、望海風斗が退団後の初舞台として登場、在団時にはかなわなかったトートを歌い、同期生の元花組トップスター、明日海りおと元星組の娘役トップスター、夢咲ねねとダブルキャストでエリザべートで相手を務めるという夢の競演が幻の終わるかと思われたのだが、無観客公演という形ではあるものの実現、5日の千秋楽の模様をライブ配信で観劇した。

望海のトートは黒髪にシルバーのメッシュをあしらったロングヘアを左に分け、能面のようなメークで登場、第一声から吸い込まれるような歌声で聞くものを一気に「エリザベート」の世界に誘い込んだ。高低差の激しい「最後のダンス」も余裕で歌い切り、フィニッシュの切れも見事だった。この日のタイミングで8月の退団後初コンサートが発表され、今後の活躍が楽しみだ。

 

第一部のエリザベートは夢咲。2005年の月組新人公演で演じて以来16年ぶりのエリザベートだったが、純白のドレス姿のまばゆいこと、娘役として女優としての蓄積が花開いた感があって感慨が深かった。「私だけに」の歌詞を丁寧にかみくだいて歌う夢咲にもういちど本公演で聞いてみたいと思わせた。

明日海は休憩後の第二部から登場。薄いブルーのドレスがことのほかよく似合い、舞台に登場しただけで周囲の空気が変わる圧倒的なオーラはさすが。ついこの前までトートとして歌った「私が踊るとき」を、今度は望海トートを相手にエリザベートとして裏声を使った高音で歌いこんだ。男役の声に慣れているので別人の歌を聴いているような感覚だったが、ガラ・コンサートならではの豪華共演はまさに眼福だった。明日海もこの日のタイミングで10月のミュージカル「マドモアゼルモーツァルト」主演が発表された。かつて土居裕子が音楽座で主演した作品、モーツァルトが女性だったというお話で、これは明日海にはぴったりのミュージカルになりそうだ。

フランツの鳳真由、ルキーニの宇月颯、ルドルフの七海ひろきと本公演では経験のない大役を任され、それぞれが堂々と歌いこんでいたのも印象的。この25年でタカラジェンヌたるもの「エリザベート」なら、どの役のパートでも歌えるというくらいの財産になっていることを改めて実証したステージだった。鳳の端正なフランツ、宇月のすっかり手の内に入ったルキーニ、そして七海のルドルフはビジュアルよし、凝った衣装もよし、望海トートとの「闇に広がる」は呼吸ぴったりだった。

望海、明日海、夢咲、七海そしてゾフィー役の純矢ちとせと89期生がずらりそろった贅沢なスペシャルコンサートだった。

一方、真風涼帆と潤花の宙組新トップコンビお披露目公演となった「ホテルスヴィッツラハウス」(植田景子作、演出)は、4月の東京公演は無事上演されたが5月1日からの大阪公演は全期間中止となり、5日のライブビューイングとライブ配信のみ無観客で上演された。

第二次世界大戦のさなか、中立国スイスの保養地サンモリッツにあるリゾートホテルでのバレエイベント開催をめぐる連合国側とナチスドイツのスパイ合戦を縦軸に、英国情報部のスパイキャッチャー、ロベルトとバレエダンサー、ニーナの恋を横軸にからめながら、有事でも芸術の尊さを説いた植田景子氏らしいラブサスペンス。コロナ禍で劇場が次々に閉鎖されていく現状を憂いたとも見える野心作だった。

真風は、ソフト帽にスーツ、ロングコートという、これ以上ない究極のかっこよさで登場。ニーナ役の潤とのコンビはずいぶんアダルトなムードが漂い、しっとりとした大人のカップルといった感じ。雪組時代に彩風咲奈と組んでいた時はそんな風には見えなかったのだが、相手が代わるだけでこうも違うのかと思うほどとがらりと雰囲気が変わった。

そんな二人とは別にドラマのカギを握る人物、ヘルマン役の芹香斗亜とその恋人アルマ役の遥羽ららのコンビも華やかで素敵なコンビだった。桜木みなとはバレエ界のスターダンサー役でクライマックスのバレエシーンで見事なダンスを披露してくれた。

終演後、真風が「大阪公演は中止になりましたが、この日のために前向きにモチベーションを上げることができました。無観客でもたくさんの方に見てくださることができて本当にうれしかった」とカメラに向かって挨拶。深々とお辞儀をしたのが印象的だった。

「エリザベート」ガラ・コンサートと「ホテルスヴィッツラハウス」と2作品続けてのライブ配信鑑賞。緊急事態宣言解除が長引きそうで、今後もしばらくはこういう鑑賞体制が続きそうだ。一刻も早く通常の形態にもどることを祈りたい。



★春風弥里×野々すみ花 オンラインイベントのお知らせ
宙組と花組で男役として活躍した春風弥里と、元宙組トップ娘役の野々すみ花による約2時間の生配信イベント『あなたに夢を~元タカラジェンヌ春風弥里×野々すみ花トーク&ストレッチ』が5月7日(金)夜にライブ配信される。
仲良し2人の楽しいトークセッションと自宅でできる簡単ストレッチの2本立てで、元星組トップスター北翔海莉もビデオ出演。イベントは2部制で、後日アーカイブ視聴も可能。
◆開催日時 5月7日(金)19:00~21:00
◆参加費 税込み1,800円
◆参加方法 申し込みはこちらhttp://t.asahi.com/wkca
申し込みされた方に、視聴用URLが送られる。
◆申込締切 5月7日(金)18:00
※申し込みの際は、朝日IDの登録(無料)が必要。
◆お問い合わせ 朝日新聞生活文化部 o-geinou@asahi.comまで。


©️宝塚歌劇支局プラス5月5日記 薮下哲司


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