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激動の2020年、宝塚グランプリ決定! 望海風斗、真彩希帆の雪組コンビが最優秀主演賞!

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©️宝塚歌劇団


激動の2020年、宝塚グランプリ決定!
望海風斗、真彩希帆の雪組コンビが最優秀主演賞!
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」が6部門で受賞、
「ピガール狂騒曲」も4部門受賞と大健闘!



★最優秀作品賞
ミュージカル部門(大劇場)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(雪組公演、小池修一郎作、演出)

ミュージカル部門(大劇場以外)
シラノ・ド・ベルジュラック(星組公演、大野拓史脚本、演出)

レビュー部門
WELCOME TO TAKARAZUKA(月組公演、植田紳爾作、演出)

再演部門
はいからさんが通る(花組公演、小柳奈穂子脚本、演出)

★最優秀演出賞
原田諒(「ピガール狂騒曲」の演出に対して)

★最優秀主演男役賞
望海風斗(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の演技に対して)

★最優秀主演娘役賞
真彩希帆(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の演技に対して)

★最優秀助演男役賞
月城かなと(「ピガール狂騒曲」の演技に対して)

★最優秀助演娘(女)役賞
和希そら(「アナスタシア」の演技に対して)

★最優秀歌唱賞
望海風斗(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の歌唱に対して)

★最優秀ダンス賞
柚香光(「DANCE OLYMPIA」のダンスに対して)

★最優秀新人賞
諏訪さき(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」新人公演の演技に対して)

★最優秀主題歌賞
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より「愛は枯れない」
(小池修一郎作詞、太田健作曲)

★最優秀振付賞
麻咲梨乃(「ピガール狂騒曲」ムーランルージュの場面)

★最優秀衣装デザイン賞
有村淳(「ピガール狂騒曲」の衣装に対して)

★最優秀美術賞
大橋泰弘(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の装置に対して)

★特別賞
松本悠里(長年の宝塚歌劇での活躍と功績に対して)


選考経過

恒例の「宝塚グランプリ」の発表です。誰もが体験したことのない激動の2020年。宝塚歌劇も4月から7月まで休演を余儀なくさせられましたが、以後は感染予防に万全の態勢を取りながら再開、緊張感あふれる公演が続いています。当たり前のように行われていた1月ごろの公演と、休演期間を過ぎてからの公演とでは、演じる方も見る方も明らかに心構えが違って見えます。宝塚という演劇の底力を改めて感じさせる1年でした。

さて、そんななか宝塚歌劇は、例年より公演数は少ないのですが、レベルの高い作品群が上演されました。毎日文化センター(大阪)の宝塚歌劇講座受講者のみなさんを中心に今年最も印象に残った作品や出演者を選ぶ「宝塚グランプリ」の投票をお願いしたところ、以上のような結果となりました。

最優秀作品(大劇場部門)は、小池修一郎脚本、演出による大作、雪組公演「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」が選ばれました。セルジオ・レオーネ監督によるオリジナルは、かなり男臭い映画で、宝塚の題材ではないと思われたのですが、男同士の絆に加えて主人公のヌードルスの初恋の女性デボラに対する不器用でピュアなラブストーリーを芯にすえた脚色が見事で、望海風斗と真彩希帆の素晴らしい歌唱力ともあいまって見ごたえのある作品に生まれ変わりました。シェイクスピアの「十二夜」をベルエポックのパリに置き換えた月組公演「ピガール狂騒曲」も根強い人気で猛追しましたが、3票差で「ワンス‐」が栄冠に輝きました。続いて、皇女アナスタシア伝説をミュージカル化した宙組公演「アナスタシア」にも票が入りました。

大劇場以外の作品群のなかからは、年末に大阪のシアタードラマシティで上演された轟悠主演の星組公演「シラノ・ド・ベルジュラック」が最優秀作品に。次点は、年初の花組公演「マスカレードホテル」月組公演「出島小宇宙戦争」そして宙組公演「壮麗帝」が続きました。

レビュー部門は、公演数が少なく危惧したのですが、坂東玉三郎監修、植田紳爾演出による唯一の日本物、月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA」が圧倒的な票数を獲得、ダントツで栄冠を勝ち取りました。宝塚ならではの伝統的な日本物レビューの魅力が評価されたのはうれしい限りです。柚香光が主演した花組公演「DANCE OLYMPIA」がこれに続き、星組公演「Ray!」凪七瑠海主演の「パッションダムール」にも票が入りました。

再演部門は、月組公演「赤と黒」花組公演「はいからさんが通る」雪組公演「炎のボレロ」星組公演「エル・アルコン」の4本がノミネート。再開後初公演となった「はいからさん―」の印象がやはり強烈で、ダントツのトップ。「エル・アルコン」「炎のボレロ」の順となりました。

個人部門のトップを飾る最優秀主演男役賞は、大方の予想通り圧倒的な票数を獲得して「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の望海風斗に決まりました。来年4月に退団が決まっていますが、歌唱といい演技といい退団を決意するのに十分な置き土産となったといえるでしょう。ほかに月組の珠城りょう、星組の礼真琴、そして花組の柚香光にも票が入りました。

主演娘役賞は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で望海の相手役を務めた真彩希帆が選ばれました。歌唱力が魅力の彼女も望海と同時退団が決まっています。宙組の星風まどかが「アナスタシア」の好演で僅差の次点。「はいからさんー」の花組、華優希が続きました。「エル・アルコン」の舞空瞳「マスカレードホテル」の朝月希和も票がはいっています。

助演男役賞は候補者が多く注目の部門でしたがふたを開ければ月組公演「ピガール狂騒曲」の月城かなとがダントツの人気。次点は「ワンス―」の彩風咲奈、「ピガール―」の風間柚乃が同点でしたが、大きく引き離して1位に輝きました。「ピガール‐」は鳳月杏も票がはいり「ピガール」はこの部門で大健闘。宙組の芹香斗亜も「フライングサパ」の演技で票を獲得しています。

助演娘役(女役)賞は、男役が女役で出演すると得票が増える部門ですが、今年も宙組「アナスタシア」の和希そら、「ワンス―」の朝美絢が白熱のデッドヒート。僅差で和希が栄冠を獲得。「マスカレードホテル」の犯人役を好演した音くり寿がこれに続きました。

最優秀歌唱賞は、文句なしで雪組の望海風斗に決定。「宝塚グランプリ」が始まって以来6年連続の受賞。ほかには星組の礼真琴に3票入っただけで、他の追随を許しませんでした。

一方、最優秀ダンス賞は混戦。花組公演「DANCE OLYMPIA」の柚香光が、星組「Ray!」の礼真琴と一票差で抜け出しました。昨年の受賞者、花組の水美舞斗は「DANCE OLYMPIA」で3位でした。

 新人公演が2公演しかなく新人賞の選考が難航を極めましたが、やはり新人公演があった雪組公演「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で主演を演じ、好演した諏訪サキが最優秀新人賞に。ほかに宙組「フライングサパ」の夢白あや、星組「エル・アルコン」の天飛華音、雪組「パッションダムール」の有栖妃華。そして、残念ながら退団を発表した星組の桜庭舞にも票が入りました。

主題歌賞は、雪組「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の数多い楽曲の中から第一幕最後に主人公ヌードルスが歌う「愛は枯れない」(太田健作曲)が選ばれました。望海の絶唱が印象的でした。月組「WELCOME TO TAKARAZUKA」の「それが宝塚」(𠮷田優子作曲)は惜しくも一票差で次点になりましたが、シンプルで覚えやすいいい曲でした。ほかに星組「眩耀の谷」の「生命をつなぐ」宙組「アナスタシア」の「彼女が来たら」と続きました。

振付賞は、月組公演「ピガール狂騒曲」で暁千星がセンターで踊った麻咲梨乃振付によるムーランルージュの華やかなカンカンの場面が選ばれました。ほかに柚香光が華優希を片手でリフトするという離れ業を見せた花組「DANCE OLYMPIA」(佐藤浩希)や宙組「フライングサパ」のクールなプロローグ(前田清実)にも票が入っています。

衣装デザイン賞は混戦でしたが有村淳が、ベルエポックのパリの雰囲気を見事に再現した月組公演「ピガール狂騒曲」一歩抜け出しました。とはいえほかの候補で票を獲得した「アナスタシア」や「ワンス・アポンー」「フライングサパ」もすべて有村の担当でした。

美術賞(装置)部門は雪組「ワンス・アポンー」を担当したベテラン、大橋泰弘に輝きました。大劇場サイズにぴったりあった装置で1920年代のニューヨークの再現はさすがベテランの仕事でした。次点は「WELCOME TO TAKARAZUKA」の関谷敏雄。最後の作品でした。

特別賞は、宝塚生活64年、退団を決意した日舞の名手、専科の松本悠里に満場一致で決定。その永遠の宝塚おとめぶりは「WELCOME TO TAKARAZUKA」でも健在でした。

公演数が少ないにもかかわらずレベルの高い作品群がひしめき、どれが賞をとってもおかしくない状態の中、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」が総合力で一歩抜きんでたというところでしょうか。ただ演出賞が小池修一郎ではなく原田諒というのが、選者のみなさんの次世代への期待を物語っているようで興味深いところでした。来年は、望海風斗、真彩希帆のサヨナラ公演、雪組公演「fff」から宝塚大劇場の幕が開きます。まだまだ大変な状態は続いていますが、無事幕があくことを祈念して、元日初日を待ちたいと思います。

©宝塚歌劇支局プラス12月24日記 薮下哲司

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