Quantcast
Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

井上芳雄、咲妃みゆ主演「シャボン玉とんだ宙までとんだ」大阪で千秋楽

$
0
0




井上芳雄、咲妃みゆ主演「シャボン玉とんだ宙までとんだ」大阪で千秋楽

ミュージカル界のプリンス、井上芳雄と元雪組の娘役トップ、咲妃みゆが主演したミュージカル「シャボン玉とんだ宙までとんだ」(小林香演出)が1月から東京、シアタークリエでスタート、2月15日の大阪新歌舞伎座で千秋楽を迎えた。伝説のミュージカルが新たなキャストによって8年ぶりに鮮やかに甦り、客席は、連日、熱いスタンディングオベーションに包まれ、井上は「近いうちにまたお会い出来たら」と再演を約していた。

「シャボン玉―」は、筒井広志原作「アルファ・ケンタウリからの客」の舞台化で、遊園地で出会った作曲家志望の青年、三浦ユウスケ(井上)とスリの少女かよ(咲妃)の愛しくも切ないピュアなラブストーリーに、時空を超えたSFチックな設定をくわえたオリジナルミュージカル。

1998年音楽座ミュージカルとして下北沢の本多劇場で初演、数多くの賞を受賞、その後も再演を重ねていたが、今回は音楽座の協力のもと東宝のプロダクションで、井上はじめ多彩なキャストでの上演。初演を踏襲しながら現代的に改変を加えた演出で、宇宙船の装置など豪華に生まれ変わった。とはいえ、中身のスピリットは変わらず、初演以来30年という年月が経っているにもかかわらず、見た後のさわやかですがすがしい感覚は今も全く変わらなかった。

その珠玉のようなミュージカルに咲妃はじめ元花組トップ娘役で退団後ミュージカル初出演となった仙名彩世、元雪組娘役トップ、月影瞳、元雪組の娘役スター、大月さゆといった新旧タカラジェンヌ娘役スターが大挙出演、華をそえた。井上扮するユウスケが作曲家として最初に大きな仕事をするのが宝塚の作曲という設定になっており、宝塚との縁が深い舞台だ。

ユウスケ役の井上は、真面目で作曲の才能はあるが、なにごとにも不器用な青年を、翻訳ミュージカルの時とは一味違う感じで、生き生きと演じていて、新たなミュージカルの代表作になりそうだ。一幕終わりのかよにプロポーズする場面は誰が演じても涙を禁じ得ないが、井上もユウスケになりきっていた。

かよ役の咲妃は、宝塚時代から天性の資質の持ち主だったが、退団後女優として再出発してからもさらに磨きがかかり、とりわけ「ゴーストニューヨークの幻」のヒロイン役が印象的だったが、今回のかよ役は、初演の土居裕子に優るとも劣らない素晴らしい演技で、薄幸のヒロインを体現した。大阪弁のセリフに違和感がないのに驚いたが、人の温かみを知らずに育ったかよが、ユウスケを知ってからどんどん変わっていくあたりの心情を痛いほど透明に演じ見事だった。持ち前のなめらかな美声も健在、また新たな世界を切り開いたようだ。

 

井上と咲妃は、それぞれ紆余曲折をへてこの作品を演じるためにミュージカルの世界に入り、奇跡のようにめぐりあったといっていいほど。それはあたかもユウスケとかよとのような運命的なものさえ感じられた。

一方、この作品が退団後初舞台となった仙名も、ユウスケの初デート相手のお嬢さんや宝塚のスターなどいくつかの役で共演しているが、肩の力を抜いたリラックスした感じが見ていてとても心地よかった。宝塚で比較的地味といわれたが、化粧が宝塚メイクではなく素顔に近いのにすっきりした美貌が映え、改めてその華やかな個性を再認識した。

音楽座のオリジナルメンバー、土居裕子、畠中洋も宇宙人役で出演しているのがミソで、30年前と変わらない土居のリリカルな歌声に感慨無量だった。

©宝塚歌劇支局プラス2月15日記 薮下哲司

彩吹真央さんが毎日文化センターのゲスト講師に

4月15日、ビルボード大阪を皮切りに「ジュディ・ガーランド・ソングブック2020」と題したライブツアーを開く元雪組の彩吹真央さんが、26日、大阪の毎日文化センター「宝塚歌劇講座」にゲスト講師として参加してくれることになりました。彼女が主演した舞台「ジュディ虹の彼方に」が映画化され、主演したレネー・ゼルウィガーがアカデミー賞の主演女優賞を受賞するなど、宝塚のことや近況など幅広い話題が聴けそうです。文化センターではこの日のみの一日会員(3500円税抜き)を若干名受け付け中。受講ご希望の方は毎日文化センター☎06(6346)8700まで。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>