純矢ちとせ、艶やかな花魁姿で登場!革新的ステージ「サクラヒメ」開幕
元宙組の娘役スター、純矢ちとせの退団後初主演となる異色のステージ、イマーシブシアター「サクラヒメ」(DAZZLE演出)が、24日、京都南座で開幕した。
「サクラヒメ」は鶴屋南北原作の「桜姫東文章」をモチーフにした新感覚のステージ。南座の一階席を取り払って舞台とフラットにした広い空間をつくり、出演者はそのすべてをステージとして使って歌、ダンス、アクションなどのパフォーマンスを行い、一階席の観客は「都人」として歩きながら見物、二階、三階席の観客はそれを上から眺めながらストーリーの結末を投票するという究極の観客参加型ライブパフォーマンス。サブタイトルのイマーシブシアターとは没入型演劇という意味とか。
純矢扮するサクラヒメは意に添わぬ縁談から逃れるために心中したが、転生して花魁となり、前世の記憶を頼りに運命の相手との再会を望んでいるという設定。そこに現れるのが神秘的な陰陽師(川原一馬)剣術の達人である浪人(荒木健太朗)自由に生きる義賊(世界)アクロバティックな鳶(平野泰新)心優しき町医者(Toyotaka)の5人。サクラヒメはこの5人が繰り広げるパフォーマンスを眺めながらさまよい歩く。そして観客の投票によって選ばれた運命の男と結ばれる。
オープニングはきらびやかな衣装をきた花魁姿のサクラヒメ(純矢)が大勢のおつきを従えて舞台中央奥に登場、回り舞台で一回りしたところで舞台前面から二階席前までお練りが始まる。スケール感あふれるスペクタキュラーな演出に圧倒される。純矢の艶やかな花魁姿もみものだ。その後、劇場空間のあちこちで5人のパフォーマンスが前触れなく始まり、タップ、アクロバット、殺陣などそれぞれ素晴らしいテクニックで魅了する。しかし、同時多発的に行われるので、一人に集中してみていると他のパフォーマンスが見られないというジレンマに。5人以外に新里宏太という白装束の雲上の導者が3階席や舞台袖に突然現れて歌ったり、盗賊に扮した高田秀文が出演者をかき回すものだから見る方は混乱の極に陥っていく。
約一時間が過ぎたころに二、三階席の観客の投票が始まり、集計の結果、5人のうち一番多くの票を稼いだ男性が選ばれてフィナーレとなる。テーマパークの体験型パフォーマンスをさらに大掛かりにしたような感覚。一度見ただけでは全貌をつかみにくく何度も見るリピーターが増えそうだ。一階席の観客(約100人)が全員黒の羽織を着ているので、二、三階席の観客からはスタッフと見分けがつかず、実際にお祭りに参加した都人に見えるのが面白かった。
5人の男性パフォーマーたちは全員が第一線のプロフェッショナル、宝塚退団後初舞台となった純矢は、そんな男性軍の迫力にも決して気圧されることなく堂々とした舞台姿で圧倒的な存在感をみせつけた。さすが男役出身の娘役パワー。加えて洗練された美貌にも磨きがかかり在団時よりもひとまわり大きく見えたのがさすがだった。公演は2月4日まで。
©宝塚歌劇支局プラス1月27日記 薮下哲司
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