フォーエバー宝塚ホテル!紫苑ゆう、出雲綾が最後のディナーショー開催
5月14日に宝塚大劇場横に新館がオープン、3月末をもって94年の歴史に幕を閉じる旧宝塚ホテルでは昨年来、タカラジェンヌOGたちが別れを惜しんでフェアウェルディナーショーを行ってきたが、元月組の出雲綾が、1月12日に琥珀の間、19日に元星組の紫苑ゆうが宝寿の間でそれぞれ最後のディナーショーを開催、長年親しまれてきた宝塚ホテルの宴会場に別れを告げた。客室の営業は3月末まで行われるが、宴会場はシャンデリアを5月にオープンする新館に移築するため、それぞれこの日が最後となった。
娘役スターのミュージックサロンなどに使用された琥珀の間のラストとなった12日に行われた出雲のディナーショー「ONE UP‼」(三木章雄構成、演出)は、友麻夏希(元花組)はじめしのぶ紫(元星組)星条海斗(元専科)鶴美舞夕(元星組)ら出雲が宝塚市内で主宰するスタジオで講師を務めるタカラジェンヌOGが大挙ゲスト出演、バレエの生徒であるかわいい少女たちも参加してのにぎやかなステージ。「ロミオとジュリエット」「ME AND MY GIRL」「エリザベート」などのミュージカルメドレーや「アラジン」などディズニーメドレーなどでおおいに盛り上がった。そんななか出雲は「ベルサイユのばら」から「青きドナウの岸辺」などをさすがの歌声で熱唱。シャンソンを英語バージョンにした「I wish you love」やミュージカル「ジキルとハイド」から「This is the moment」を心込めて披露、ファンを魅了した。
一方、トップスターのディナーショーや宝塚100周年のパーティーなどに使われた宝寿の間の最後となった19日の紫苑のディナーショー「FOREVER LOVE」(谷正純構成、演出)は、相手役だった白城あやかをゲストに招いて、当時のコンビ作の一場面を再現するなど、ファンにはこたえられない唯一無二のディナーショーとなった。再現された作品は「紫禁城の落日」「若き日の唄は忘れじ」「うたかたの恋」の3作。名台詞に彩られた名シーンを二人が演じると、30年前に一気にタイムスリップ、客席のファンたちは懐かしさのあまり感極まって泣き出す人も。それにしても退団後四半世紀以上の紫苑の変わらぬ体型と若々しさには驚異としか言いようがない。
カーテンコールには宝塚ホテルのシェフや制服のスタッフたちもピンクのペンライトをもって勢ぞろい、会場全体で「フォーエバー、宝塚ホテル」と大合唱して、長年親しまれた宝塚ホテルの宴会場に別れを告げた。
客席には懐かしい星組OGたちや関係者がずらり勢ぞろい、時ならぬ同窓会のような様相、終演後もいつまでもホテルの名残を惜しんでいた。
©宝塚歌劇支局プラス1月21日記 薮下哲司