春野寿美礼、大鳥れい、17年ぶりのコンビ再現、ディナーショー開催
元花組のトップスター、春野寿美礼が、12月14日、宝塚ホテルで「THE NIGHT BEFORE」(酒井澄夫構成、演出)と題したディナーショーを開いた。来年3月末で閉業、生まれ変わる宝塚ホテルのフェアウェルにちなんだショーシリーズの一環で、春野が宝塚時代を振りかえって、自分の出演作から主題歌を次々に披露するという宝塚オンリーの内容。新人時代やトップ就任時に相手役を務めた元花組娘役トップ、大鳥れいをゲストに迎えて、懐かしいトークや主題歌をデュエットしてファンを喜ばせた。
ショーは、2004年正月のレビュー「アプローズ・タカラヅカ」の主題歌「永遠のボレロ」からスタート。バシッと決めたところで、最初のトークは、春野が宝塚ホテルに音楽学校受験の時に宿泊した思い出話。牧勢海、桜一花、初姫さあやの3人のコーラスメンバーにも彼らと宝塚ホテルの思い出を聞くなど。まずは宝塚ホテルがタカラジェンヌにとっていかに身近な存在であったかを語り合い、近づいてきた旧館の閉館を惜しんだ。
トークの後は、春野の初舞台「ベルサイユのばら」から「わが心のオスカル」など2曲、自身ものちに演じることになるが、初舞台の公演が強烈なインパクトで、宝塚のすばらしさを改めて認識したという。
続いて、下手から大鳥が「エリザベート」から「私だけに」を歌いながら登場。春野と合流して「私が踊るとき」をデュエット。この曲は2002年の花組公演から歌われた曲で、その元祖デュエットの再現となった。
ここからは、春野と大鳥のゲストトーク。春野のトップ披露であり大鳥のサヨナラ公演が「エリザベート」。トップコンビとしてはこの一本だけなのだが、その前のプレトップ披露公演「あかねさす紫の花」博多座公演で共演、また匠ひびきが病気休演した「琥珀色の雨にぬれて」東京公演で代役を演じた春野と共演している。この日「琥珀色の雨にぬれて」から「セラビ」をデュエット、そしてオープニングの出会いのシーンを再現、久々の春野の男役だが、長い年月のブランクを感じさせないかっこよさ。タイムスリップしたかのような夢の時間にファンの興奮ぶりは最高潮に達した。春野いわく「大好きな作品だけれど、あの時はあまりにもやることが多くて、じっくり味わう余裕がなかった」と振り返ったが、実際、今もういちど見られたらと思った。次いで、春野、大鳥が異色のコンビに扮したバウ公演「ヴェロニック」からの珍しいデュエットの再現も。
ゲストコーナーの後は春野が在団中の一番思い出深い公演というバウ公演「冬物語」そして大劇場公演の大作「落陽のパレルモ」などをしっとりと歌いこみ大作「ファントム」で締めくくった。カーテンコールは光源氏を演じた「あさきゆめみし」。懐かしい宝塚の曲ばかりでまとめたディナーショーのうえ、最後には明日海りおに引き継がれた花組ポーズも決めるなどサービス満点。翌日が春野の誕生日で、4人が用意したバースデーケーキのローソクを「ハッピーバースデー」を歌いながら春野が吹き消すハプニングもあって、終始和やかなディナーショーだった。
©宝塚歌劇支プラス12月15日記 薮下哲司
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