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星組の新星、天飛華音「GOD OF STARS」新人公演で初主演

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  ©宝塚歌劇団(新人公演プログラムより)

 

 

星組の新星、天飛華音「GOD OF STARS」新人公演で初主演

 

 

星組期待の新星、天飛華音(あまと・かのん)が初主演した、ミュージカル・フルコース「GOD OF STARS食聖」(小柳奈穂子作、演出)新人公演(生駒怜子担当)が、30日、宝塚大劇場で行われた。トップスター、紅ゆずるのサヨナラ公演に挑んだ天飛が、初主演と思えない舞台度胸とはつらつとした演技で新人公演らしいフレッシュな舞台となった。

 

「-食聖」は、シンガポールで開かれていた食聖コンテストで優勝間違いなしと思われていた上海の人気シェフ、ホンが詐欺と脱税と食中毒で逮捕され、無一文になったところを屋台でラーメン屋を営むアイリーンに救われ、シェフとして一からスタートするというお話。ホンは実は天界から地上にやってきた紅孩児であるとか、アイリーンと離婚した両親との劇的な再会などのサイドストーリーなど、いろんな話が詰め込まれたごった煮の満腹コメディ。いろんな小ネタが隠されていて新人公演でもそれらがあちこちで爆発、小林寺の場面で主演の天飛がまじめな芝居をしている後ろで老僧に扮した天路そらがおかしな動きをして客席を笑わせるので「ちょっとそれはあとにして」と芝居を中断して注意するなど爆笑の連続。もちろんこれはアドリブではなく決まり事なのだが、絶妙の間で笑わせた。

 

 

ホン(紅)を演じた天飛は2016年初舞台の102期生(研4)。一昨年の「ベルリン、わが愛」新人公演で瀬央ゆりあが演じたロルフに起用され、その後「アナザーワールド」新人公演では礼真琴が演じた徳三郎、そして今年の「霧深きエルベのほとり」新人公演では七海ひろきが演じたトビアスと公演ごとにジャンプアップ、今回、主演の座を射止めた。登場するだけで周囲がパッと明るくなるような華やかな笑顔が印象的。紅のような柔軟さはまだまだだが、やんちゃな感じがよくでていてほほえましかった。セリフがクリアで聞きやすいのも高得点。これからの活躍が楽しみな逸材だ。

 

アイリーン(綺咲愛里)は舞空瞳。本公演でも礼真琴の相手役としてクリスティーナを演じているので新人公演のヒロインは卒業かと思ったのだが、組替えして最初の舞台ということで星組生とのスキンシップの意味あいも含まれていたのだろう。それにしてもすっかり星組生としてなじみ、カンフーの身のこなしも得意のダンス力を生かして軽快そのもの。天性の愛くるしさはこの公演でも最大限に生きて、天飛とのコンビぶりも息ぴったりだった。

 

礼真琴が演じたリーは、100期生の朱紫令真(あかし・れいま)が演じた。実力がありながら新人公演もふくめてあまり大きな役では見たことがなかったが、ここへきて満を持しての大役への起用。これまでの蓄積を一気に噴出するかのようなパワー全開ぶりだった。眼鏡をかけているときは小心者、クリスティーナの前では自信たっぷりの青年に豹変するおかしさなど、とにかく変身ぶりが鮮やかで、その堂々たる舞台姿が好ましかった。小器用にまとまらずこれからもおおいに弾けてほしい。

 

あと目立った役としては売れないアイドルグループのボーカル、ニコラス(瀬央ゆりあ)に扮した極美慎、リーの思い人であるアジアを代表するアーチスト、クリスティーナ(舞空)の水乃ゆり、アイリーンの友人、タン・ヤン(有沙瞳)の小桜ほのかといったところ。極美と水乃のスターオーラはさすがで、どこにいても立ち姿の美しさは際立っているが、いずれも歌がやや弱いのが惜しい。歌が聴かせどころなのでここはもうひと踏ん張りしてほしい。そんなに大きな役ではないが小桜のワンポイント芝居に心がこもり印象的だった。

 

星組に配属された研1生8人のうち中卒の大希楓以外7人が出演。話題の人、稀惺かずとはコンテストのカメラマン役に起用されていてセリフはないがカメラをもって舞台を走り回った。このためエピローグの子供の数が本公演より少なく6人になっているのには笑ってしまった。

 

©宝塚歌劇支局プラス7月31日記 薮下哲司


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