剣幸、安寿ミラ、杜けあき、姿月あさと、湖月わたるという80年代から2000年代までの宝塚で一時代を築いたトップスターを中心にOGが一堂に集う梅田芸術劇場10周年記念イベント「SUPERGIFT!」(三木章雄構成、演出)が、12日、東京国際フォーラムで初日の幕を開けた。今回は11日に行われた、この公演の舞台稽古の模様を報告しよう。
劇場飛天としてオープンしたのが1992年、途中、旧名の梅田コマ劇場と名称を変えたのち梅田芸術劇場として再オープンして今年で10年目、宝塚の大阪での拠点劇場としてすっかり定着した感があるが、「SUPERGIFT!」はそれを支えてきたファンに対するスペシャルな贈り物。101周年を迎えた宝塚歌劇への応援歌でもある。
剣以下5人の男役トップとこだま愛、森奈みはる、星奈優里、彩乃かなみの4人の娘役トップの9人がメーンレギュラーで、退団したばかりの鶴美舞夕や音花ゆりら12人がアンサンブルで出演。ほかに日替わりでトップスターOGがゲスト出演する。舞台稽古は12、13日に出演する壮一帆が務め、客席で14日に出演する稔幸が見守った。
ステージは二部構成、一幕は湖月をトップバッターにレギュラートップが真っ赤なおそろいの衣装で勢ぞろい。各自が在団中の代表作の主題歌を歌いながら登場、早くも懐かしさでいっぱい。安寿が「哀しみのコルドバ」杜が「ヴァレンチノ」といった具合。全員が揃ったところで「コパカバーナ」の賑やかなメドレーでミュージカル特集へ。剣が「南太平洋」から「魅惑の宵」を歌えば、姿月は「CHICAGO」の主題歌、杜が「TOPHAT」と各自がおなじみの曲に挑戦。湖月の「スイート・チャリティ」からのダンスナンバーもみものだった。
そして第一幕の目玉は剣のビルとこだまのサリーという宝塚初演版「ミー&マイガール」(1986年)の再現へ。なんとジェラルドが姿月、ジャッキーが星奈、ジョン卿が杜、マリアが安寿という豪華版。主題歌を歌い継ぐダイジェスト版でラストはもちろん「ランべスウォーク」。全員が客席降りしてにぎやかに締めくくった。それにしても剣、こだまコンビの達者なこと。一気に初演当時にタイムスリップした。
二幕は日本物からスタート。剣、こだまが山本周五郎原作「柳橋物語」をもとにした「川霧の橋」の名場面の再現、杜、星奈のコンビで「深川マンボ」と続いた。いずれも宝塚史上に残る日本物の芝居とショーの一場面。剣、杜という二人の実力メンバーならではの見ごたえたっぷりの再現シーンだった
日本物のあとはがらりと変わってディズニーメドレー。安寿、森奈、彩乃が「リトルマーメイド」などの主題歌を歌い継いだ。続くコーナーは日替わり変わるジャズとラテンのコーナー。この日はジャズで「バードランドの子守歌」から始まって「ニューヨークの秋」などムーディーなジャズから始まって「シングシングシング」で総踊り、おおいに盛り上がった。
宝塚が生んだ不世出の大スター、大浦みずき追悼のコーナーもある。同期生の剣が大浦のトップ披露公演だった「キス・ミー・ケイト」の主題歌「ソー・イン・ラブ」を心こめて歌い、安寿がソロで踊った。大浦への愛があふれた場面となり「ミー&マイガール」再現と共に観客にとっても「SUPERGIFT!」ならではの感動的な贈り物となった。
ここでスペシャルゲストコーナー。壮が黒のタイトなパンツに白のブラウスというシンプルな衣装で「アンダー・マイ・スキン」そして「ベルサイユのばら」から「愛のかたち」「愛の面影」とフェルゼンの歌を現役時代そのままに披露。
そしてフィナーレは全員が勢ぞろい、トップがそれぞれの自信曲を披露、剣がドレスアップして「ショーチューン」からの主題歌を高らかに歌い上げた。カーテンコールはこだまのリードで「すみれの花咲く頃」を大合唱して記念イベントを締めくくった。3時間たっぷり、せっかく音花が出演しているのにソロがなかったのが残念だったが、トップでなければ歌えない、これもOG公演の宿命?とはいえ、ファンにとってはまさしく「SUPERGIFT!」なステージだった。
スペシャルゲストは壮のほかに紫苑ゆう、涼風真世、一路真輝ら9人が日替わりで出演。
10月3日からの大阪公演には専科の美穂圭子、華形ひかる、沙央くらまが特別出演することになっている。
©宝塚歌劇支局プラス9月12日記 薮下哲司