企画、制作、主催:梅田芸術劇場の公演チラシより
湖月わたるの婚活ミュージカル「わたるのいじらしい婚活」宝塚公演開幕
元星組トップスター、湖月わたるが、舞台生活30年を記念したドキュメンタリーミュージカル「わたるのいじらしい婚活」(竹村武司脚本、永野拓也振付、演出)が東京公演に続いて19日から湖月のかつてのホームグラウンドである宝塚バウホールで始まった。湖月本人のこの半年の婚活をドキュメンタリータッチで追ったオリジナルミュージカルだ。
湖月の舞台生活30年にあたってどんな企画がいいだろうかという企画会議の場面から始まるオープニングからユニークな展開。実際のマネージャーや企画に賛同した親友で下級生の朝海ひかるが本人自身として登場、この半年の湖月のオフや公演舞台に密着しながら湖月の婚活を見守っていこうという内容。
相談を受けた朝海が、まずは合コンからとセッティングしたのだが、湖月が同伴した友人の方に男性陣の注目が集まり見事に大失敗、次に出会い系サイトを使って年下の男性とデートを敢行、見事成功するのだが、その前の合コンで湖月が気に入ったバツイチの男性からも食事の誘いがあって、なんと二股交際がスタートする…。という展開。結果は見てのお楽しみだが、男役トップスターとしていまでもすぐに男役に戻れるほどの体型を維持する湖月が、婚活している姿はなんともおかしくていじらしい。
どこまでがリアルでどこまでがフィクションなのか、かなりユニークなミュージカルであることは事実だ。最後まで見て、結局は、何事も真摯に考えて、ファンや周囲の人々に対する思いやりなど湖月の生来の人柄の良さがひしひしと伝わるさわやかなミュージカルに仕上がっていた。
朝海との自然体の会話は実際でもこんな感じなのかと思わせたり、交際する二人の男性に扮した広瀬友祐と迫田孝也とのぎごちなくもほほえましいデートは実際でもそうだったのかと想像させたり、現実と虚構のはざまを巧みに描いている。
ただユニークではあるが、男役湖月のファンたちが、こんな限りなく生に近い湖月を舞台で見たいのだろうか。素朴な疑問は最後まで頭をよぎった。ちなみに舞台の映像に登場する超豪華な湖月の自宅マンションは実際の本人のものではない。まあその辺からこのミュージカルがどこまで現実でどこからがフィクションなのか想像するのも面白いかも。公演は21日まで。
湖月の舞台生活30周年記念公演はこのあと紫苑ゆうや真琴つばさらをゲストに招いてのダンス&ソングスのコンサートも東京、大阪で予定されている。
©宝塚歌劇支局プラス7月19日記 薮下哲司