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Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
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水美舞斗、魅力全開!花組バウホール公演「Dream On!」開幕

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©宝塚歌劇団

 

水美舞斗、魅力全開!花組バウホール公演「Dream On!」開幕

 

花組の人気スター、マイティこと水美舞斗を中心としたショーケース「Dream On!」(三木章雄作、演出)が20日、宝塚バウホールで開幕した。

 

水美が中心とはいうものの特別出演で、帆純まひろと一之瀬航季の2人とともに27日までの出演。その後は綺城ひか理と飛龍つかさが水美の場面を分け合って公演するという変則的な公演。3人が6月25、26日の横浜アリーナ公演に出演するためだが、トップスター、明日海りお退団後の来年以降の花組を占ううえでは格好のステージとなった。

 

ショーは“夢”をテーマに、第一幕が、フランスだけではなくブロードウェーから取り入れた戦前、戦後のタカラヅカレビューのなかから名曲をメドレーでつなぎ、鴨川清作のショーの主題歌、そして「キッチュ」などミュージカルメドレーとつないだ。

 

二幕はガーシュインから始まってJポップやスパニッシュと続けてジャズピアニストの巨匠デューク・エリントンの交友関係をスケッチ風に描いた後はロックでしめくくるというバラエティーショー。

 

20日から始まった水美特別出演バージョンは、水美が一部、二部ともほぼ出ずっぱりで水美のワンマンショーのような印象。なかでも1幕後半のミュージカルメドレーは、水美が客席から登場。新人公演で好評だった「エリザベート」のルキーニを再現して「キッチュ」を歌い始めると水美ファンで満員の客席からは大歓声。続いて「WEST SIDE STORY」から「マリア」そして「ハウ・トゥー・サクシード」さらに「ロミオとジュリエット」から「エメ」を咲乃深音とデュエット、そして「ミー&マイガール」ではビルに扮しサリー役に春妃うららを配して「ランべス・ウォーク」で賑やかに客席おりして、そのまま休憩になだれ込むというツボを押さえた演出でファンは大満足だった。水美自身も歌の聞かせどころの押し出し方がずいぶんとうまくなり、持ち前の迫力あるダンスパフォーマンスもキレッキレ、歌って踊って汗だくの熱演だがすっかりスターの風格が出てきた。オープニングのダンスからタップに自然に移行していく場面など大浦みずきの全盛期を思い出したほど。

 

2幕のデューク・エリントンのコーナーでもスーツ姿が成熟した大人の雰囲気を醸し、続くタンゴでは女役に回った千幸あきを相手に濃厚なダンスを見せるなど、文字通り水美の魅力の集大成といった感じ。昨年のバウのショーで、二部構成のショーを立派にこなす力量があることは証明されていたが、ショースター水美はそれ以上にさらに大きく成長したようだ。

 

31日以降、水美のパートを分け合う綺城と飛龍は、水美出演中は二番手的な立場となっているが、それでも二人の見せ場も多く、綺城の歌の実力、飛龍のパワフルなダンスは十分感じられた。

 

綺城は「エリザベート」でエーヤンの歌手に抜擢されたころから注目してきたが、バウのショーで、しかもこんな形でセンターに立つことになるとは感慨深いものがある。1幕の「アマール、アマール」2幕のスパニッシュが聞かせどころと見せ場だった。すっきりした立ち姿とくっきりとした目鼻立ち、高音までよく伸びる透き通った歌声は大きな武器、外見で男役としては線が細いと思われがちだが、実際はそうでもないので、その辺の先入観を払しょくできるような役にめぐりあえること期待したい。

 

飛龍は、綺城とは対照的に腰の据わった安定感みたいなものを感じさせる男役。Jポップやロックエージなど、飛龍らしさがよく出る場面に起用されていて、その躍動感あるダンス力が冴えた。「ファニー、フィーリング」だけはオリジナルを知っているだけに優等生的で面白くない。もっとビートを効かせて歌ってほしかった。

 

特別出演組の帆純と一之瀬は一緒に登場することが多く、様々な場面で水美と絡む。2幕では綺城を囲んで2人が女役でタンゴを踊るという場面があって、ここはさすがに綺城が細く見えた。帆純も一之瀬も男役としての資質に優れ、わきで踊っていても目が行くのはさすがだった。

 

ほかに若手がふんだんに活躍、舞月なぎさ、澄月菜音ら美形ぞろいでポスト明日海りおの宝庫といった感じ。娘役は春妃がヒロイン格のような形だったが、最下級生の愛蘭みこまでほぼ同じように登場。愛蘭の愛らしさが印象的だった。

 

休憩をはさんで約2時間5分、バウホールとしては短い公演だったが、水美の充実したパフォーマンスとともに清新なキャストのはつらつとした躍動感で、見ごたえのあるショーだった。

 

©宝塚歌劇支局プラス5月21日 薮下哲司

 

 

岡田敬二×薮下哲司の歌劇トークと鳴海じゅんらのミニライブ開催

 

宝塚文化創造館開館8周年記念「TAKARZUKA TALK & LIVE」が7月14日(日)14時から宝塚文化創造館で開催されます。「ル・ポアゾン」「シトラスの風」などロマンティックレビューシリーズはじめ「グランドホテル」や「キスミーケイト」などを創り続けている宝塚歌劇の演出家、岡田敬二先生と映画、演劇評論家の薮下哲司による宝塚歌劇にちなんだスペシャルトークと元宝塚歌劇団の鳴海じゅん、綺華れい、毬穂えりなの出演によるミニコンサートです。ツタのからまる宝塚音楽学校旧校舎を利用した由緒ある会場でのトークANDライブにぜひご参加ください。

 

料金は前売り4000円(当日4500円)全席指定。ローソンチケットやセブンチケットで発売中。問い合わせは宝塚文化創造館☎0797(87)1136まで。

 

 


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