Quantcast
Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

宝塚は榛名由梨らOG16人が出演、「日本の歌劇、大阪城に集う」開催

$
0
0

 

宝塚は榛名由梨らOG16人が出演、「日本の歌劇、大阪城に集う」開催

 

大阪城公園内にオープンしたクールジャパンパーク大阪TTホールで、4月2日から「史上初‼日本の歌劇 大阪城に集う」が開催され、ハウステンボス歌劇団、OSK日本歌劇団の現役とOGそして宝塚歌劇団OGが集結、それぞれの新作や自信作を持ち寄って連続上演した。榛名由梨を中心とした宝塚歌劇団OGは16、17日に登場、新作ミュージカル「剣と愛の光芒~ナポレオンを愛した女たち~」(岡部優妙作、演出)と「華やかなるレビューショー」(同)でラストを飾った。

 

このイベント、ハウステンボス歌劇団はトップスター、優雅(元宝塚、研ルイス)主演の「蝶々夫人」、OSKは楊琳主演の「新選組」OSKOGは、桜花昇ぼる主演の「霧のかなたに~真田幸村と兄信幸」を上演、そして宝塚歌劇団OGが「剣と愛と光芒〜ナポレオンを愛した女たち」という内容。ハウステンボス、OSKと宝塚が並列に登場することだけでもめったにないイベントで、宝塚歌劇団は一切関与していないが、OGのプロデューサー兼演出家、岡部優妙(宮つかさ)の呼びかけでなかなか豪華なメンバーがそろった。

 

ナポレオンは元星組の久城彬、妻ジョセフィーヌが元月組娘役トップ、麻乃佳世、愛人マリーが元雪組娘役トップ、舞風りら、母親のレティーツィアが榛名由梨といった配役で未央一、あづみれいかといった芸達者がわきを固めナポレオンの弟リュシアンに扮した元星組の千珠晄がストーリーテラーを務めた。ほかに元星組の鳴海じゅん、綺華れいら総勢16人の出演。

 

「剣-」は、2021年に没後200年を迎えるナポレオンの、エジプト遠征からロシア侵攻、エルバ島時代までの光と影の半生をたどりながら、ナポレオンをめぐる女性たちにスポットをあてて描いた作品。宝塚でも2014年に上演された星組公演「眠らない男ナポレオン」と同じ題材だが、1時間30分弱で要領よくナポレオンの人生を浮き上がらせている。装置がないので転換はすべて映像だが、衣装は豪華で、戦闘シーンや舞踏会など時代の雰囲気はうまく出ていた。

 

なにより先日の「ベルばら45」の時にも感じたが、出演者たちのなりきりぶりの素晴らしさ。男役も娘役も、退団してずいぶん年月がたっているのにその初々しさ、そして凛々しさにさらに磨きがかかり、現役となんら変わりのない美しさの維持には感服あるのみだった。歌唱に味が出てきて、それぞれが充実しているのもOGの強みだ。

 

二部のレビューは未央の絶妙の司会で始まり、「ベルサイユのばら」「エリザベート」と宝塚の新旧2大ヒット作からのメドレーと男役の黒燕尾と娘役の純白のドレスによる「桜」の群舞と宝塚ならではの代表的な名場面を抜粋、ラストは「すみれの花咲くころ」と「宝塚フォーエバー」で締めくくった。

 

客席はいつもの宝塚ファンではない一般の観客が多く、そんななかで初代オスカル榛名による「ベルばら」の「愛あればこそ」麻乃が「エリザベート」から「私だけに」(在団中にバウ公演「ロスト・エンジェル」で歌ったことがある)を歌うなど宝塚を代表する名曲を、宝塚を見たことがない観客に聴いてもらうことができたことが大きな収穫だった。本体が主催するこの手の催しはスターの序列やさまざまな縛りがあってなかなかここまでストレートにできないのだが、本当に見たい聴きたいものがここにあったように思った。

 

この公演6月13日にチャリティイベントとして福岡シンフォニーホールでも上演される。

 

©宝塚歌劇支局プラス4月18日記 薮下哲司

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

Trending Articles