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松岡恵さん、未来にはばたく!105期生文化祭開催

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  photo by スポニチ

 

松岡恵さん、未来にはばたく!105期生文化祭開催

 

宝塚音楽学校の第105期生文化祭が22日、宝塚バウホールで始まった。105期生は40人。音楽学校で学んだ二年間の成果を披露した。

 

文化祭は、三部構成で、一部が日舞、声楽(クラシック、ポピュラー)二部が演劇、三部がダンス(モダン、バレエ、タップなど)で休憩を含めて約2時間45分。それぞれ成績順にソロや役がつくという分かりやすい発表会だ。昨年までは2日間だったが今年から3日間の開催となった。

 

1042人が受験、倍率26・1倍という難関を突破して入学した105期生のなかで話題の人は創始者小林一三翁の玄孫にあたり、元プロテニスプレイヤーでスポーツキャスターの松岡修造氏の長女、松岡恵さん。入学時からマスコミに大きく取り上げられ、その舞台姿の初披露とあって、前日の舞台稽古から報道陣が殺到する騒ぎに。オールドファンにとっては男役として将来を嘱望されながら早くに退団した千波静の孫ということで否が応でも期待が高まっている。

 

かつてないほどの注目の文化祭となったわけだが、舞台自体はこれまでどおりに進行。日舞「清く正しく美しく」は黒の紋付に緑の袴という正装に扇子を持って格調の高い群舞が繰り広げられた。ソロは田坂芽久さん。透き通った美しい声を披露した。

 

予科生40人のコーラスのあと声楽は、クラシックボーカルが上川莉央さんの「ラ・ボエーム」とハーバート真唯さんの「ヴィリアの歌」。どちらも緊張気味で本来の歌声ではないような気がしたが、なかでは彫りの深い目鼻立ちが印象的な真唯さんに余裕が感じられた。

 

ポピュラーは宝塚のヒット曲メドレー。船戸万友香さんと数見百音さんによる「タカラジェンヌに栄光あれ」から。彩輝直を思わせる愛くるしい顔立ちの船戸さんに注目。土山はる奈さんら3人の娘役による「ムーンライトロマンス」倉田美優さんをメーンにした「小さな花がひらいた」と続き「エクスカリバー」からの「未来へ」で期待の松岡さんがソロで登場。

大きな手の動きとなめらかな余裕の歌声で全員をリード、早くもスターオーラが充満した男役としてはやや上背がないのが意外だった。あと「風と共に去りぬ」から「さよならは夕映えの中で」を貫録たっぷりに歌った山川愛未さんも要注目だった。

 

 第二部の演劇は「黒い風の物語」(正塚晴彦作、演出)で、ナポレオンに敗れフランスに支配されたスペインでそれに抵抗する人々の物語を劇中劇としてみせる凝った構成の舞台。

絵麻緒ゆうが主演した2000年の雪組公演「追憶のバルセロナ」をベースにした作品だ。B組を観劇したが、主演のフランシスコを演じた新井紀香さんは宙組の愛海ひかるの妹。すっきりとした二枚目で芝居心のある丁寧な演技が好ましかった。ほかに成瀬こうきが演じた親友のアントニオが葦澤牧さん。白羽ゆりが扮した婚約者のセシリアが村上香乃さん。紺野まひるが演じた相手役のロマの娘イサベルは土井山吹さんという配役。土井さんが雰囲気をよくにじませていた。

 

 イサベルの兄ロベルト(朝海ひかる)を演じた早崎実奈さんと未沙のえるが演じたイアーゴーの船戸さんがちょっと崩した男役演技が早くも身についていてどちらも魅力的だった。語り手のアドナシオンを演じた大澤サラさんの落ち着いた長セリフにも注目、舞台全体を立派に引き締めていた。

 

A組はフランシスコを松岡さん、イサベルを真唯さん、ロベルトを山川さんが演じた。A組についてはまた後日、記す。

 

第三部のダンスは尚すみれ振付による全員によるスタイリッシュなジャズダンスからオープニング。「メリーウィドウ」からのバレエ、ジャズダンス、タップダンス、バレエ「韃靼人の踊り」、ヒップホップ風のジャズダンス、全員によるフィナーレと続いた。タップソロの葦沢さんと「韃靼人-」のメーンを踊った岡本結衣さん、新井さんの優雅でダイナミックな動きが印象的だった。

 

松岡さん人気にわく105期生だが、全体的にレベルが高く、全員、歌も芝居もダンスもそつなくこなしている。発表会とあって全員が緊張気味、一生懸命なところが見ていて初々しくもありまだまだ未知数なところも多い。しかし磨けば光る原石がごろごろ。10年後にはこのなかからトップスターが何人か生まれていることだろう。

 

©宝塚歌劇支局プラス2月22日記 薮下哲司

 


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