和央ようか 芸能生活30周年記念コンサートを開催
元宙組トップスター、和央ようかが、宝塚での初舞台から30周年を迎えたのを機に、12月2日に東京・コットンクラブ、4日に大阪・ビルボード大阪で「YW Memories and Melodies」と題したコンサートを行った。いずれも狭いライブハウスなので熱心なファンクラブのメンバーで満員の盛況。退団後12年、すっかり女っぽくなったが、男役時代のかっこよさもそのまま健在、根強い人気をうかがわせた。
「スカーレット・ピンパーネル」などの作曲家フランク・ワイルドホーンと結婚、現在はニューヨーク住まいだが、このコンサートと来年1〜2月にかけての「ベルサイユのばら45」出演のため久々の長期里帰り中。
コンサートは初舞台の「キス・ミー・ケイト」の「ショーが始まる」と「So in Love」からスタート。出演作の主題歌を一気に歌いながら当時の思い出トークを交えるという構成でファンならずとも当時のことを思い出しながら懐かしい気分に浸れた。
まずは研2で出演した「ベルサイユのばら」のオープニングから。本公演は小公子だったが新人公演でオスカル役に大抜擢され、「私の運命を大きく変えた」という当時のエピソードから始まってバウ初主演の「大上海」宙組トップ時代の「カステル・ミラージュ」と続き、現在、雪組で上演中の「ファントム」からも3曲を披露、元祖の貫録を示した。「聖なる夜の奇跡」「BOX MAN」などのドラマシティ公演の主題歌も忘れず、全国ツアーでレット・バトラーを演じた「風と共に去りぬ」やルドルフを演じた「うたかたの恋」からもそれぞれ一曲と、出演作の主要曲をほぼすべて網羅。ワイルドホーンとの出会いともなったサヨナラ公演「NEVER SAY GOODBYE」からの曲で宝塚時代をしめくくり、退団後の作品からは「CHICAGO」「マレーネ・ディートリッヒ」「ドラキュラ」と続けた。ワイルドホーンが彼女のためにプレゼントしたクリスマスソングで季節感も演出するというサービスも。
アンコールでは12月1日からNHK「みんなのうた」でオンエアされている「しんかいぎょのまち」(徳永美奈子作曲、すずきかなこ作詞)を「歌っているのが私じゃないといわれているみたいなので」と初めて生歌で披露。なるほどこれまでの和央のイメージとは全く違ったかわいい歌で意外な新境地といったところ。1月末までオンエアされるという。そして最後はやはり「NEVER SAY GOODBYE」の同名主題歌で30年アニバーサリーコンサートの幕を閉じた。黒のシンプルなパンツスーツに長い髪が印象的、肩の力の抜けた男前のかっこいい女性がそこにいた。
コンサートは18日にも東京・コットンクラブで開催される。
©宝塚歌劇支局プラス12月5日記 薮下哲司