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瑠風輝、有終の美飾る、宙組「異人たちのルネサンス」新人公演

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    新人公演プログラムより

 

瑠風輝、有終の美飾る、宙組「異人たちのルネサンス」新人公演

 

歌唱力で早くから注目された瑠風輝の「神々の土地」以来四度目にして最後の主演となった「異人たちのルネサンス」-ダ・ヴィンチが描いた記憶―(田淵大輔作、演出)新人公演(同担当)が23日、宝塚大劇場で行われた。今回はこの公演の模様をお伝えしよう。

 

「異人たち―」は、中世イタリアであらゆる分野に卓越した才能を発揮した天才レオナルド・ダ・ヴィンチが名画「モナ・リザ」を描くに至った経緯を描いた物語で、そのモデルとなったカテリーナという自由奔放な女性との愛を中心に、ダ・ヴィンチの才能を利用しようとする二つの対立する権力の争いをからめた意欲作。新人公演を見ると本公演ではみえなかった脚本の粗さがさらに見え隠れし、作者の意図はわかるのだが、舞台面にそれが有機的にうまく表現できていないもどかしさが随所に感じられた。一例をあげると、ダ・ヴィンチとカテリーナが再会して、工房で愛を確かめるくだりの描写のつめが甘いこと、一方、対立する二つの権力があって、それらとダ・ヴィンチがどうかかわっているのか、恋敵であり色悪のロレンツォと本来のヒール役のグイド司教との差がわかりにくいことだろう。

 

とはいえ、新人公演は瑠風はじめ、それぞれが真摯に役に向き合い、十分な成果は上がっていた。

 

ダ・ヴィンチ(本役・真風涼帆)を演じたのは4度目の新人公演主演となった瑠風。その豊かな歌唱力で注目を浴び、男役にふさわしい長身と優しさがにじみでる柔和な雰囲気で順調にここまで育ってきた感がある。頭脳明晰というより人間的なダ・ヴィンチというこの役柄にはぴったりで、持ち前の歌唱力も十二分に生かされた。ただ、舞台で遠慮みたいなものが見えて何か物足りない。せっかくいい資質があるのだから、もっと、前に出るパワーが全身から見えれば一皮むけるのではないかと思う。今後の活躍に期待したい。

 

相手役のカテリーナ(星風まどか)は夢白あや。「神々の土地」新人公演で伶美うららが演じたイリナ役を演じ、その美貌ぶりで一躍注目を浴び、以来、今回のヒロイン役挑戦となった。今回もその凛とした立ち姿とともに美貌ぶりは舞台のどこにいても映える。修道女だったときに権力者ロレンツォに見初められ、愛のない結婚をしたのちにダ・ヴィンチと再会、肖像画のモデルとなる。グイド司教やロレンツォの弟ジュリアーノからも言い寄られる、絶世の美女という納得性は十分。翻弄されるヒロインをあでやかに演じた。化粧で損をしているきらいがあるのでその辺をクリアすればもっと良くなると思う。

 

ロレンツォ(芹香斗亜)を演じたのはなつ颯都(はやと)。研2の新人で今回の大抜擢ナンバーワン的存在。堂々たる押し出しと豊かな歌唱力、ひときわ目立つ長身ということのない大型新人である。ただこの人も化粧映えがしない。そのあたりを工夫して洗練された雰囲気を身に着けると化ける可能性は十分。これからの精進にかかるだろう。

 

スタークラスではジュリアーノ(桜木みなと)の優希しおんが筆頭格。人物像的には一番よくかけているのでそれなりにいい雰囲気を見せたが、優希自身とすればやや物足りなかった。もっとできる人なので次回に期待しよう。

 

グイド司教(愛月ひかる)役は若翔りつ。前回の新人公演でも愛月のところに入っていたが、今回は見せ場の多い役で、さぞやりがいがあっただろう。レベル的には今回最高の出来と言っていい。

 

ほかに目立ったところでは、ジュリアーノ役の婚約者イザベラ(遥羽らら)のところにはいった天彩峰里と工房の仲間の一人、ペルジーノ(澄輝さやと)役の鷹翔千空が、これまでの大役経験を生かした自然体の演技で好演だった。少年サライ(天彩峰里)役の花宮沙羅も要注目の存在だった。

 

©宝塚歌劇支局プラス10月25日 薮下哲司記

 

 

 


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