©宝塚歌劇団
瀬央ゆりあ、バウ初主演！星組公演「デビュタント」開幕
瀬央ゆりあを中心にした星組若手メンバーによる「デビュタント」（正塚晴彦作、演出）が11日、宝塚バウホールで開幕した。台湾公演の残留組による公演で、95期の瀬央のバウ単独初主演公演。正塚氏としては昨年の宙組公演「パーシャルタイム・トラベル」以来の新作だが、正塚氏ならではのコメディータッチのミュージカルサスペンス。なんということはないストーリーだが、肩の力を抜いた軽さがなんともいえず、理屈抜きにすっきりと楽しめる。
舞台は19世紀フランス。とはいうが、いつでもいいようないいかげんな設定。男爵家の次男として生まれたイヴ（瀬央）は、家督を継ぐ必要もなく、早くに実家を出てはいるが、定職にもつかず、上流階級の便利屋のようなことをしている。この辺はすべてイヴの声として説明される。あるとき、イヴは社交界デビューの場となる舞踏会“デビュタント・ボール”を取り仕切るリーズ伯爵夫人（音波みのり）から、人前にでたことのないひきこもりの伯爵令嬢ミレーユ（星蘭ひとみ）のエスコートを頼まれる。断り切れず、依頼を受けたものの、それがもとで、とんだ事件に巻き込まれていくという展開。どうやら「デビュタント」は瀬央の初主演をかけているらしい。事件はそのついでみたいなもの。でもそんな軽いタッチが見ている方も肩ひじはらずに安心してみていられるのがいい。
イヴの友人で古美術商のビュレットが紫藤りゅう、その妹でかねてからイヴに思いを寄せているナタリーに桜庭舞、ビュレットの恋人ニコールに水乃ゆり、事件を捜査する刑事オットーに極美慎といったところが主要人物。これにミレーユの両親、バルタザール伯爵夫妻の漣レイラと華鳥礼良がからむ。
初主演の瀬央をとにかくかっこよく美しく、瀬央に続く星組の期待の男役、紫藤と極美の見せ場もたっぷり見せ、この3人に星蘭、桜庭、水乃を配してトリプルヒロイン的な扱いでそれぞれの個性をきわだたせたあたりはさすがベテラン座付き作者の手練れの技。宝塚ファンのツボを押さえたコミカルな作りで、場内は明るい笑いに満ち溢れた。
「New Wave星」に続くバウ連続登場で、単独初主演となった瀬央は、黒のタキシード、白シャツといったスタイルがことのほかよく似合い、何不自由のない貴族のボンボンという主人公イヴをスマートに演じて期待に応えた。歌唱に不安定なところがあるのが課題だが、蘭寿とむを思わせる独特の目力が強みで、すっきりした立ち姿も申し分がない。
友人役ビュレットの紫藤は、「New Wave星」の好調ぶりをそのまま引き継いださわやかな演技で初主演の瀬央を好サポート。明日海りおタイプの清新な雰囲気がなんとも好ましい。役柄的には古美術商という職業が、後半の伏線になっていて、それが見せ場になるのがいきなはからいで心憎い。
刑事役の極美は、瀬央、紫藤とはまた違ったタイプの二枚目男役。小顔ですらりとした長身にスーツがよく似合う。演技的にはまだまだ幼いところもあるが、二幕の瀬央、紫藤、極美のトリオによるナンバーは近来まれにみる眼福だった。
娘役はミレーユの星蘭が清楚で口数の少ない令嬢、ナタリーの桜庭がちょっぴり勝ち気で積極的、ニコールの水乃が明るいがしとやかな感じ、三人三様それぞれぴったりの個性で甲乙つけがたい。星蘭のはかなさが捨てがたく、芝居的には桜庭がうまいが、水乃の立ち姿の美しさがひときわ目立ち、歌唱に課題があり、役的には二人より小さいのだが一番印象に残った。
漣レイラと華鳥礼良のレイラ夫妻は、この作品のカギを握る大役。オーバーアクトをそのままギャグにしてしまう熱演で場面をさらう。あとリーズ邸の召使ラサール役の天路そらの絶妙の間がなんともおかしく、おおいにわかせた。ポスト天真みちるの登場といっていいだろう。
©宝塚歌劇支局プラス10月12日記 薮下哲司
管理人よりお知らせ
管理人の永岡俊哉です。
10月15日月曜深夜24時11分（正確には16日火曜0時11分）から放送の毎日放送テレビ「明石家電視台」に永岡が出演しております。
明石家さんまさん司会の公開収録番組で、今回はタカラヅカファン特集。ゲストは紫吹淳さん、実咲凜音さんです。
また、毎週ご観劇の元阪急ブレーブス、世界の盗塁王、福本豊さんもゲスト出演されております。
関西の方はぜひ、ご覧ください。その他の地域の方も毎日放送のスマホアプリで放送日以降に見られるようです。
ちなみに、以下の番組宣伝にも永岡が出ております。(笑)