タカラジェンヌOGとル ヴェルヴェッツが競演「SHOW STOPPERS‼」大阪公演開幕
湖月わたる、彩輝なお、貴城けい、壮一帆らタカラジェンヌOGと男性ボーカルグループ、ベルベッツが競演する「SHOW STOPPERS‼」(三木章雄構成、演出)大阪公演が19日、シアタードラマシティで開幕した。
湖月、彩輝、貴城、壮のほかOGは元星組娘役トップの妃海風、元雪組の牧瀬海、元宙組の珠洲春希、元花組の舞城のどか、同じく桜一花がレギュラー出演、これに「ル ヴェルヴェッツ」の宮原浩暢、佐賀龍彦、日野真一郎、佐藤隆紀の4人が加わり、スペシャルゲストに姿月あさと、春野寿美礼、大和悠河が日替わりで出演するという新しい形のOG公演だ。
第一幕が10年前にOG公演で初演された「SHOWTUNE」の再演。「ラ・カージュ・オ・フォール」や「ハロー!ドーリー」で知られるブロードウェーの作曲家ジェリー・ハーマンの名曲を集めたカタログミュージカルで、もうひとつのヒットミュージカル「メイム」のなかからの曲も含めて、名場面の再現などが綴られていく。我々には結構懐かしい曲や市村正親、鹿賀丈史コンビでつい最近見たばかりの「ラ・カージュ」の曲もふんだんにあって、結構楽しめた。ル ヴェルヴェッツのメンバーの圧倒的な歌唱力が聞きもので、元男役のトップスターたちが女性パートを受け持つという形になり、男役から女優への性転換の成果を各自競うといった感じ。見せ方などタカラジェンヌはさすがにうまいが、男役メンバーが女を競うというのは何か複雑なものがあった。曲も少々古臭い感じは否めず、若い観客にとってはやや盛り上がりに欠いたようだった。そんななか退団後間もないの壮があでやかな女っぷりでひときわ輝いていた。また、妃海のなめらかな歌声が男女バージョンのショーの中では心地よく聞けた。
第二幕は、ル ヴェルヴェッツのメンバーによる「ボラーレ」を皮切りにミュージカル、シャンソン、カンツォーネ、宝塚となんでもありのバラエティーショー。まずはスペシャルゲストスターのコーナーで、私が見た日は大和悠河が黒いマントを翻して颯爽と登場。初舞台が大和のサヨナラ公演だったという妃海が水のボトルをもってかけつけ、すっかりファン目線でインタビューする場面が楽しかった。大和はアルセーヌ・ルパンのあとはル ヴェルヴェッツの4人を従えて「闇に広がる」を初披露。在団中に「エリザベート」には縁がなかった大和の美貌のトートはなかなかのみものだった。
湖月らレギュラーメンバーによるミュージカルメドレーは「エリザベート」はじめ「レ・ミゼラブル」「オペラ座の怪人」「ファントム」「スカーレット・ピンパーネル」などおなじみの曲ばかり。一部と合わせて全57曲約2時間45分のぜいたくなショーだった。初日は湖月、大和らによるアフタートークがあり湖月が「ル ヴェルヴェッツのメンバーの背が高いのですごくやりやすかった」と言えば大和も「わたるさんは男から女まで幅広く歌われてすごいですね」感心しきりだった。大阪公演は24日まで。
©宝塚歌劇支局プラス6月20日記 薮下哲司