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早霧せいな、男前な魅力が爆発!退団後初ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」開幕

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早霧せいな、男前な魅力が爆発!退団後初ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」開幕

 

元雪組トップスター、早霧せいなの退団後初ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」(板垣恭一演出)が19日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕した。早霧のキュートで男前な魅力が全開したこの公演の初日の模様をお伝えしよう。

 

「ウーマン-」は「キャバレー」「CHICAGO」などのジョン・カンダー作曲、フレッド・エブ作詞のコンビが、ハンフリー・ボガート夫人としても知られた個性派女優ローレン・バコールのためにキャサリン・ヘプバーン主演のコメディー映画「女性№1」をもとに1981年に書き下ろしたミュージカル。風刺漫画作家サムと再婚したバツイチの人気女性ニュースキャスター、テスが、いかに仕事と家庭の両立に成功するかを描いた都会派のミュージカルコメディ。1982年に鳳蘭、古谷一行の主演で日本でも初演されており、それ以来36年ぶりの再演となる。

 

 初演版は、鳳の圧倒的なスターオーラとミュージカルスターとしての稀有な魅力が横溢、その天性のエンターテナ-ぶりを心底楽しませてもらった記憶があるが、共演者の男性陣が今ほどミュージカルにふさわしい歌やダンスの素養にたけた俳優がおらず、鳳のワンマンショーのようなミュージカルだった。そんななかで鳳とテスの前夫の妻ジャンにふんした松金よね子とのかけあいのデュエットが心にしみる名シーンでいまだにしっかりと覚えているほどだ。

 

 今回、早霧がこの作品に挑戦すると聞いたとき、正直、鳳のおおらかで華やかな舞台姿が鮮明に浮かび、早霧がそれを超えられるか期待と不安が半々だったのだが、舞台に早霧が登場したとたんその不安は一気に消え去った。思い切りクールでキュートな男前な感覚が、鳳とはまた違った魅力にあふれて、久々にミュージカルの楽しさが満喫できる快作に仕上がった。

 

舞台は、ウーマン・オブ・ザ・イヤーの授賞式の場面から始まる。名前を呼ばれて黒とゴールドが半々になっているロングドレスで登場した早霧ふんするテスは喜びの場と言うのになにやら様子がおかしい。どうやら夫のサムが家を出て行ったらしい。そこでテスはサムとの出会いのころを回想、2人に過去にさかのぼっていく。授賞式のロングドレスがいまいち地味で舞台映えしないのが惜しいが、一転、スーツにタイトスカートというキャスタースタイルはなかなかかっこいい。ナンバーでは一幕なら「女だけど男」が、いまの早霧にぴったりの楽しい歌。男性ダンサーを従えてのダンスナンバーはスタイリッシュでありながら迫力満点。初演で鳳と松金が歌った二幕後半の「隣の芝生は青い」は、今回は早霧と樹里咲穂が歌ったが、どちらも芝居心があるので、間合いが抜群でなかなか面白いナンバーになった。装置はシンプルだがサムが描くネコの漫画をプロジェクションマップで自由自在に登場させ、全体がとにかくスマート。9人編成の生オーケストラも弾んでいた。

 

早霧以外の出演者では、相手役の相葉裕樹が、さすがの歌唱力で聞かせたほか、キャスターの相棒チップの原田優一が、笑いのツボを押さえた好演で、コメディーリリーフを一手に引き受けた。ロシアの亡命バレエダンサー役はKバレエの宮尾俊太郎が特別出演、華麗なバレエシーンだけでなく美声も披露した。

 

初演と同じく時代は1980年代初頭に設定してあり、早霧ふんするテスが取材するのもマザーテレサやシンディー・ローパー、カーター大統領などなど時代を反映した懐かしい大物ばかり。男性による女性へのセクハラやパワハラが問題になっている昨今、男性や女性などの性意識を通り越して堂々とキャリアを積み重ねるテスの言動は、まさに小さなことを吹き飛ばすほどのかっこよさ。ラストのテスの選択には異論もあるが、すべてテス本人の決断、自分にとって何が大事か、すべてはそこに回帰する。

 

まあ、そんな理屈はともかく、男役以上に魅力的な早霧のクールビューティーぶりをとくとごらんあれ。初日のカーテンコールは満員の観客がスタンディングで祝福。早霧は「お客様の笑い声や手拍子に後ろを押されて無事終えることが出来ました。何度でも見に来てください」と明るい笑顔で挨拶していた。大阪公演は27日まで。東京は6月1日から10日までTBS赤坂ACTシアターで。

 

初日直前に、早霧が再び剣心役に挑む「るろうに剣心」の再演が発表された。東京は10月、大阪は11月。早霧の新たな挑戦にも注目したい。

 

©宝塚歌劇支局プラス5月21日記 薮下哲司

 

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