月城かなと、永久輝せあ、期待のスター魅力全開!「New Wave!雪」開幕
花組からスタートして4組目となった雪組のバウ・ショーケース「New Wave!雪」(三木章雄作、演出)が9日から宝塚バウホールで開幕した。今回は、月城かなと、永久輝せあと期待のスター2人が競演する話題の公演の模様をお伝えしよう。
月城、永久輝を中心に雪組の若手メンバー20人の出演によるこの公演。プロローグからエンディングまで、月城と永久輝が着替え以外ほぼ出ずっぱりといっていいほどの奮闘公演で、とにかく2人ともスター性抜群で、「いずれあやめかかきつばた」という懐かしいフレーズがぴったりくるほどの美しさ。2人が同時に登場すると、どちらを見ていいのか迷うほどの贅沢なステージだった。一方、月組に組替えが決まっている月城の雪組での最後の公演でもあり、永久輝らが月城を気持ちよく送りだしてあげようという、心遣いも垣間見えるなど、いかにもニューウェーブらしいさわやかな公演だった。
二部構成で一幕は、ラテンやジャズやタンゴなどの名曲にあわせて2人が歌い踊る華やかなショー。オープニングはまずラテンから。永久輝が中央から登場してメンバー全員と「ゴールデンデイズ」を歌い、トリで登場した月城が「キューバン・ファイアー」を歌い上げると永久輝らはダンスで盛り上げる。客席降りもあるプロローグが一段落、月城、永久輝、諏訪サキ、縣千の4人が残って、ラテンで使われるティンバレスというドラムのコーナーへ。特訓したという鮮やかなバチさばきで見事な演奏を披露。
その後「パラダイストロピカーナ」から「Too Darn Hot」までメンバー紹介をはさんで、月城、永久輝はずっと出ずっぱり。下級生の紹介コーナーもあって、フレンドリーな雰囲気だが、2人はまさに汗だくのステージだ。
1幕のみどころは永久輝のタンゴ。「アヴェ・マリア」では研1の娘役、潤花とタンゴデュエット、続いて男役4人と共に名曲「リベルタンゴ」にも挑戦した。ラストは月城の「Once in a Life Time」の熱唱で締めくくった。
2幕は、月城、永久輝、愛すみれの「ラブラブラブ」から始まって、かつての雪組の名作メドレーからスタート。「そして今は」や「TAKE OFF」などの懐かしい曲が次々に登場。永久輝が「朝日の昇る前に」月城が「雨の凱旋門」をしっとりと歌った。ここでは月城の紳士(レット・バトラー)、永久輝のスカーレットで「風と共に去りぬ」のフィナーレナンバー「Night and Day」を踊るという趣向が最大の見せ場。永久輝の女役はスカートさばきがややぎごちなかったがスケールが大きく、その美しさに息をのんだ。続く「CARAVAN」の場面でも「セントルイス・ブルース」を男役デュオで踊るなど、2人の魅力のすべてをみせきった感じ。永久輝の「夢の城」月城の「シャレード」と大曲にも挑戦、クライマックスは月城が歌う「If Its Over」に乗せて永久輝らが踊って、フィナーレに繋いだ。
月城は、かつてのいろんな男役スターをほうふつさせる独特の雰囲気があり、宝塚の男役の系譜を引き継ぐことのできる正統派タイプ。月組に組替えになっても、今後の活躍をおおいに期待したい。一方、永久輝も天性のフェアリー的な美貌の中に、芯の太さもあって、これからの雪組にはなくてはならない存在になっていくだろう。どちらも立ち姿が凛々しく、美しいうえに、歌、ダンスと申し分がない。
この二人があまりにも突出しているので、ほかの出演者がかすんでしまったが、男役では叶ゆうりや諏訪のほか、星加梨音、縣といったところに目が行ったのを始め研1の彩海せらの初々しさに注目。娘役は彩みちるがソロが2曲あって別格的な扱いだったが、一幕で永久輝の相手をした潤が「雨の凱旋門」の時は月城の相手役に起用されていた。個性的な美貌が映え、楽しみな娘役だ。あと「エメ」で永久輝のダンスの相手役に起用された野々花ひまりも印象的。歌では「エメ」やラグーンの歌手などの桜庭舞と研1の有栖妃華の美声が耳に残った。
©宝塚歌劇支局プラス2月10日記 薮下哲司