星組新トップコンビ、紅ゆずる、綺咲愛里が初お目見得、「タカラヅカスペシャル2016」華やかに開催
年に一度のタカラジェンヌの祭典、タカラヅカスペシャル2016「Music Succession to Next」(石田昌也監修、構成、演出、中村一徳、藤井大介構成、演出)が22、23の両日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで開かれた。全国50カ所と台湾、香港でも生中継されたが今回はこの模様をお伝えしよう。
梅芸から目と鼻の先、TOHOシネマズ梅田でのライブ中継をのぞいたが、昨年は定員800のスクリーン1だったが、今年は二番目に大きいスクリーン2での上映。約500席は満席の盛況だった。今回は、雪組が東京公演中で欠場、花、月、星、宙と専科の選抜メンバー52人と宙組からは6人がコーラスで参加した。
内容的には、今年は小林公平元理事長の7回忌、宝塚のモーツァルトと言われた作曲家寺田瀧雄氏の17回忌、それに「エリザベート」初演20周年、くわえて来年がレビュー第一作「モン・パリ」初演90周年とメモリアルが重なって、恒例の各組コントはお休み。ひたすら歌でつづる2時間。顔ぶれ的には星組の紅ゆずる、綺咲愛里が新トップコンビとして初めて登場したのが話題で、それにともなって礼真琴が二番手に昇格、次いで七海ひろき。また月組も珠城りょうがトップとしてタカスぺ初登場、二番手、美弥るりか、次いで暁千星という現状のラインが示された。
オープニングは轟悠をセンターに全員がラインアップして「サ・セ・パリ」の大合唱から。次いで明日海りおはじめ4組トップが中心となっての「セ・シ・ボン」と続く。轟が「パダン・パダン」を歌い継ぐと、芹香斗亜はじめ各組2番手4人が「パリ・カナイユ」を軽快に。最後に客席降りで「New Century、Next Dream」を全員で歌って華やかにプロローグを締めくくった。轟を中心にトップ4人が残ってカーテン前でのMCとなったが、轟以外は一気に若返った感じ。朝夏まなとと紅が同期で、昨年の龍真咲と早霧せいなの同期トーク同様、大いに盛り上がったが、轟が寺田氏の17回忌を紹介して「寺田先生にお稽古をしてもらった人」といっても誰もいないことが分かり、これは隔世の感があった。
その寺田トリビュートコーナーは、専科勢の歌に合わせて各組若手男役がシャッフルして男女カップルで競演するという今回のタカスぺ最大の見せ場。専科の凪七瑠海の「セ・マニフィーク」から始まり、ダンスで絡む柚香光のお相手は朝美絢。沙央くらまの「アマール・アマール」は暁千星と瀬央ゆりあ、星条海斗の「そして、今」は愛月ひかると水美舞斗、華形ひかるの「DANCE WITH ME」は七海ひろきと桜木みなと、といった具合。凪七や沙央の歌がなかなか聴かせたが、ダンサーを追わないといけないし、これはなかなか酷な場面だった。朝美の女役は似合っていたがちょっとびっくりな女役さんもいて、これはご愛嬌。「愛の宝石」「TAKARAZUKA・オーレ」では客席降りもあり、近くで見たらぎょっとしたかも。最後は轟の「雨の凱旋門」そして全員で「いのち」でしめくくったが、改めて寺田メロディーの多彩さに感服。その前の今年を振り返る各組コーナーにも「仮面のロマネスク」や「バレンシアの熱い花」などの寺田メロディーがふくまれており、いまさらながら宝塚になくてはならない存在であることが強く印象付けられた。
第二部は、極め付け轟ルキーニの「キッチュ」から始まる「エリザベート」コーナーから。芹香、真風涼帆トートの「愛と死の輪舞」。娘役トップ4人が歌い継ぐ「私だけに」。紅、珠城トート×美弥、礼ルドルフによる「闇に広がる」。そして明日海、朝夏トートによる「最後のダンス」。これはもうそれぞれがバトルのような歌合戦だった。轟「キッチュ」は別格にして明日海、朝夏の「最後のダンス」はさすがに聴きごたえがあった。
あとは各組若手も参加、シャッフルして歌い継ぐスタンダード&ポップスメドレー、そして来るべき「モン・パリ」90周年に向けた「モン・パリ」メドレーでフィナーレとなった。ラストはもちろん「TAKARAZUKA FOREVER」を全員で。
スター勢ぞろいで華やか極まりないが、さすがに歌だけというのは単調で、特に後半がやや散漫だったが、凪七と仙名彩世や柚香と星風まどかの組み合わせなど、えっと思うコンビが見られたりして、タカスぺならではの楽しさにあふれた舞台だった。
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©宝塚歌劇支局プラス12月23日記 薮下哲司