宝塚初演20周年の掉尾を飾るビッグイベント「エリザベート・スペシャル・ガラ・コンサート」が12月9日、大阪・梅田芸術劇場メインホールを皮切りに、引き続き1月8日からは東京・渋谷のオーチャードホールで、一路真輝ら初演メンバーから退団したばかりの龍真咲、さらには現役の凪七瑠海ら豪華な顔ぶれで上演されることになり、4日、東京都内のホテルで賑やかに制作発表会見が行われた。今回はこの模様をお伝えしよう。
「エリザベート」のガラコンサートは初演後すぐの1998年に初めて行われ、以後2006年、2012年にもあり、今回が4度目。しかし初演20周年のアニバーサリーとあって、かつてない規模と豪華なメンバーが集結した。このため初演の雪組メンバーの思い出話と歌でつづる「モニュメントバージョン」各組メンバーが衣装をつけて舞台を再現する「フルコスチュームバージョン」そして各組各年代がシャッフルして出演する「アニバーサリーバージョン」の3パターンで構成、いずれもフルオーケストラの演奏によるコンサート形式での上演となる。
初演から演出を担当、いまや歌劇団理事の小池修一郎氏は「自分たちの青春を燃焼させてくれていたんだなあ改めて思っている。青春の情熱、さらに加えて厚みのあるエリザベートに、思いを込めて、さらに円熟した味、より新しい発見をもって歌ってくれる。楽しみにしている。それぞれの人生が重ねたエリザベートをご覧いただきたい。」と感慨深げに話し、共同演出を担当する中村一徳氏も「初演のころ助手をして、みなさんが格闘していた姿を肌で感じている、ここ10年は携わっていなかったので、改めてプレッシャーを感じているが、すでに始まっているアンサンブルの稽古がすごい熱気で、素晴らしいメンバーが集まっていると思うので、主演クラスだけでなく全員をみてほしい」と話した。
出演者のあいさつの口火を切ったのはもちろん初演でトートを演じた一路。「この席に座っていて思わず96年初演時の制作発表会見を思い出していました。私がトートのメークと衣装で登場したら、会場から“宝塚のトップスターが死に神”みたいな殺気をビンビン感じたんです。そんな記者会見から始まって、命がけで作ったことをしみじみと思い出しました。青い血をもつトート。それから20年たった今も再びさせて頂けることに本当に幸せを感じます。小池先生長生きしてください」と感慨を込めたユーモアたっぷりの抱負。
再演の麻路さきは「一路さんのあとでやるのは正直プレッシャーで、一度はお断りしたのですが、結局、させて頂くことになり、自分なりに歌と歌の隙間を埋める作業をしました。でも、それが10年後に再びガラで演じたとき、こんな素晴らしい役をさせて頂いていたんだと改めて実感。大好きになったトートを再び頑張りたい」
姿月あさとは「雪、星組とみて作品の大ファンだった私がまさかさせて頂くとは思いもよならず、千秋楽の時はもう二度とこの役をしないだろうなという思いを込めて演じたことを思い出します。でもその後ガラコンサートで2度させて頂き、またできるということに大感激です。当時の衣装もすべてそろっていて改めて宝塚歌劇団のすごさも思い知りました。1公演一回一回を大切にしたい」
このあと彩輝なおが「新人公演とサヨナラ公演で演じたトート、最後まで試練でした」、春野寿美礼が「毎日必死だった」、水夏希が「無我夢中だった」、大鳥れいが「最高に楽しかった」、白羽ゆりの「宙組公演で初舞台を踏んだ私がエリザベートを演じるなんて夢のようでした」などと「エリザベート」への思いを話したあと、今回初めてエリザベートに挑戦する龍があいさつ。金髪のボブカット、白いレース地のミニワンピースにハイヒールという姿の龍は「トート役の麻路さんの包容力、彩輝なおさんの妖しい魅力に身をゆだねてエリザベートを演じたい」と抱負。すでに歌稽古が始まっており「ただ歌うだけではなく、台詞の延長の歌とかがあってキーの取り方が半端ではなく難しい」と目下苦戦中とか。東京公演で演じるルキーニについては「退団して性転換をしようと思っている矢先でまた男役ということで一歩前進一歩後退みたいな感じですが、楽曲のエネルギーに負けないように頑張りたい」と抱負を話していた。退団後最初の大きな仕事となったが、今後は「モデルとかいろんなことに挑戦してみたい」と女優としての抱負も。
一方、歌劇団生として唯一出席した専科の凪七は「再びエリザベートを演じる機会がくるとは思ってもみなかったので本当に幸せ。宙組の男役だった私が月組でエリザベートを演ずるということは私にとってもファンの方にとっても衝撃的なことで、女役としての立ち居振る舞いもわからず、プレッシャーとの闘いの中で公演が終わったような気がしています。精神的にもずいぶん鍛えられて、いまの私があると思うので、新たな気持ちで頑張りたい」と感慨深げに話し、今回の出演への期待感を膨らませていた。
小池氏は「エリザベート」が、初演以来現在まで20年もの人気作となった理由を問われ「エリザベートの人生を調べると暗い話ばかり、それを作者のクンツェさんが、それなら死に神を登場させてエリザベートと死に神のラブストーリーにしたらハッピーエンドになるという逆の発想を思いつかれた、これこそが宝塚と同じ発想、暗い話をハッピーに転換させたことが最大の要因でしょう。あとは「虞美人」「ベルサイユのばら」とこれまでの宝塚の大ヒット作と共通する日本人好みの亡国のプリンセスの話ということもあると思います」と分析していた。
なお公演の詳細は公式ホームページを参照してください。
@宝塚歌劇支局プラス11月4日記 薮下哲司
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参加費は22500円(消費税込み)。先着40名様限定(定員になり次第締め切ります)チケット難が予想される公演です。今ならまだ間に合います。席が確保されているこのツアーのご予約をおすすめします。
詳細・問い合わせは毎日新聞旅行☎06(6346)8800まで。