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Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
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鳳月杏のジャッキーに乾杯!花組公演「ME&MY GIRL」役替わり公演 と…落語家もミーマイ!

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   ©宝塚歌劇団






    はなしか宝塚ファン倶楽部より @天満天神繁昌亭


鳳月杏のジャッキーに乾杯!花組公演「ME&MY GIRL」役替わり公演

明日海りおを中心にした花組によるミュージカル「ME&MY GIRL」(小原弘稔脚色、三木章雄脚色、演出)の役替わり公演が10日から始まった。今回はこれとタカラヅカ好きがこうじた上方落語家たちが天満天神繁昌亭で上演したはなしかミュージカル「ME&MY GIRL」の模様をあわせて報告しよう。

初日が開いて約二週間、Aパターンの出演者がそれぞれの役になじんできたところでの役替わり。再び緊張感あふれる舞台が繰り広げられた。Bパターンはビルの明日海りお、サリーの花乃まりあはそのままで、ジョン卿が瀬戸かずや、ジェラルドが芹香斗亜、ジャッキーが鳳月杏、弁護士パーチェスターが柚香光、マリア公爵夫人が仙名彩世という顔ぶれ。Aパターンでパーチェスターを演じた鳳真由とジェラルドを演じた水美舞斗は一幕終わりのパーティーの場面に登場するランべスキングとランべスクィーンに入った。

明日海のビルと花乃のサリーは、作品の波に乗っていて、見ていても無理な感じがなくなんとも心地いい。登場シーンから非常にスムースだ。明日海ビルが、貴族になっていく過程がなんとなく早すぎるような気がしたのだが、逆に、花乃サリーがそれにじりじりする感じをよくだしていて、いいコンビになってきたようだ。

そんななか新たに入ったジョン卿の瀬戸は、主人公の2人を温かく見守る大人な雰囲気をうまくだし、そのうえで自身も輝いていて、本来の実力を発揮した。バウ公演「ノクターン」で柚香光の父親役を演じ、その渋い二枚目ぶりが印象的だったが、今回もその延長線上で演じ、自然な大人のジェントルマンだった。

ジョン卿の相手役となるとマリア公爵夫人。こちらは実力派の仙名だが、歌のうまさもさることながら、演技的にももう予想通りで申し分のない出来栄え。凛とした雰囲気と品の良さ、マリアそのもの。明日海とのかけあいも歯切れがよくテンポ抜群。台詞のトーンが高いのがやや気になったのでもう少し抑え気味の方がさらによくなると思う。

一方、ジェラルドの芹香はAパターンのジョン卿の時とはうってかわったはつらつとした若々しさを前面にだしてこちらも好演。何不自由なく暮らしてきた貴族のボンボンぶりも変にコミカルに作らず自然なのがよかった。

男勝りのジャッキーは鳳月が演じたが、この役替わり一番のヒットといっていい素晴らしい出来。登場シーンの「自分のことだけ考えて」で「トップへ登るわ」と歌う声が男役とは思えない自然な高音で、しかも力強くなんともチャーミング。ビルを誘惑するシーンでも明日海とのコンビネーション抜群で、なんともいえない色気がありながら品は保ち、宝塚バージョンでなくとも十分通用するのではないかと思わせた。フィナーレでは燕尾服姿でかっこいい男役のダンスも披露、男女両方で振り幅の広さをみせつけた。

Aパターンでジャッキーを演じた柚香は弁護士パーチェスターに入ったが、これがまたもともと芝居心のある柚香のこと、柚香ならではの面白いパーチェスターを作り込み、しかも、メガネをかけたりひげをつけたりしながらもスターオーラは抜群なので、なんとも華やかなパーチェスターとなった。柚香がやれば役自体がスターに見えてくるから不思議だ。

ということでAパターンがこのうえもなく華やかなイメージとすれば、こちらはそれぞれが役にあって実力で見せるパターンといったところだろうか。花組の層の厚さを見せつけた役替わりだった。AともどもBパターンもぜひおすすめしたい。



宝塚の「ミーマイ」上演中のさなか、上方落語界の「はなしか宝塚ファン倶楽部」による今年で5年目となるはなしかミュージカル「ME AND MY GIRL」が8、9の両日、大阪・天満天神繁昌亭で上演された。歌、ダンス、芝居とも見よう見まねで宝塚そのままに上演するもので3回公演だが新人公演、本公演、役替わり公演と3回ともキャストが違うという凝ったもの。

最終日の役替わり公演を見たが、会場は超満員の大盛況。まず笑福亭松五、笑福亭生喬、桂春雨による宝塚ネタのミニ落語の披露があり、そこから爆笑の連続。みなさん相当の宝塚ファンであることがわかりうれしくも楽しい。

中入り休憩のあと緞帳があがると宝塚と同じ「ME AND MY GIRL」のロゴがでると、早くも場内大歓声。舞台は狭く、装置も笑えるほど粗末なワンセットだが、雰囲気はそれなり。プロローグの「ヘアフォードの週末」から人数は少ないが本家そのままに進行。この日、ビルが桂あやめ、サリーが笑福亭生寿、ジョン卿が桂春雨、ジャッキーが林家染雀、マリア公爵夫人が笑福亭生喬、パーチェスターが月亭天使といったメンバー。男女混合で、なにやらニューハーフショーのようなまがまがしさもあったが、そこは噺家連中、もともと芝居心があるので歌は下手でも、舞台度胸は満点。失敗もギャグでカバーできる強みがあり、楽屋落ちやパロディーもあって終始笑いの絶えない舞台だった。やや大柄だがサリーの生寿の歌がなかなか。聞けば昨年はルキーニ役を演じたとか。「ランべス・ウォーク」では、かけつけた落語家仲間も飛び入り参加して客席おりもあるなど賑やかこの上ない。とはいえ、基本は真面目そのもので本家宝塚への愛があふれているのが見ていて心地よかった。

フィナーレには3段の電飾階段が登場、フィナーレまであっておおいに盛り上がった。男女版ということもあって、なんとなく、ロンドンで見た「ME AND MY GIRL」の下町ならではのがさつな雰囲気も思い出すなど、3時間十分に楽しめた。

会場には宝塚ファンも多くみられ、爆笑に次ぐ爆笑。この日の客席には元星組の娘役スター、青山雪菜の姿もあった。前日には元花組の桜一花も観に来ていたとのことで、本家のタカラジェンヌの間でも人気になりつつあると言う。すでに「ロミオとジュリエット」「エリザベート」を上演。来年は「風と共に去りぬ」か「ノバ・ボサ・ノバ」の上演を目指すと発表された。

©宝塚歌劇支局プラス4月11日記 薮下哲司



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