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Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
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龍真咲 プレサヨナラ公演、コンサート「VOICE」大阪公演開幕

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     ©宝塚歌劇団



龍真咲 プレサヨナラ公演、コンサート「VOICE」大阪公演開幕

9月4日付退団を発表している月組トップスター、龍真咲の大劇場サヨナラ公演を前にしたコンサート「VOICE」(小柳奈穂子作、演出)大阪公演が、8日、シアタードラマシティで開幕した。今回はこの模様を報告しよう。

龍のコンサートは、昨年の「DRAGON NIGHT!」の記憶がまだ新しく、まだそれほど日にちも立っておらず、最初、聞いたときは思わず「またか」と思ったのだが、「ルパン三世」「オイディプス王」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」とこのところ絶好調、愛希れいかのディナーショーも好評だった小柳氏の初のショー演出ということで、龍の新たな魅力がうまく引き出されるのではとおおいに期待したが、「VOICE」のタイトルで龍独特の声をテーマに、龍の個性をストレートにだした濃いコンサートだった。


コンサートは二幕構成。一幕は「WE ARE VOICE」というタイトルのミュージカル構成。遠い未来、ルリ(美弥るりか)とミツキ(海乃美月)のカップルが劇場通路から登場。真っ暗な舞台に向かって懐中電灯をもって探索にやってくる。何かの廃工場(二村周作装置)らしいが、そこには何体もの人間の形をしたロボットが眠っていた。二人が声をかけると起き上がったROBOTたちは、ここは劇場で、自分たちは未来に声を届けるために作られた「VOICE ROBOT」だといい、リーダーのMASA-O(龍)を呼び出す。中央から光り輝く照明に照らされて現れたMASA-Oは妖精パックの扮装で「PUCK」の主題歌「ミッドサマー・ラブ」を歌いながら登場。歌を知らない2人を教育するために一夜限りのステージを展開する。

「ロミオとジュリエット」はじめ「明日への指針」「1789」「舞音」にショーなど龍が大劇場で主演した作品の主題歌を歌い継ぎながらのステージ。歌うこと、踊ることを学んだルリとミツキは最後に「ロミオとジュリエット」の「いつか」をデュエットする。使命を果たしたMASA―Oは「PUCK」の「ラバーズグリーン」を歌いながら去っていく。龍の宝塚生活の集大成にもなっていて、プレサヨナラにふさわしい選曲。そして、歌うことは自由の表現だというテーマも短い中に鮮明に表現されていて、見終わった後、さわやかな気持ちになれるショーに仕上がっていた。


二部は5部に分かれていて、古い劇場からカラフルでモダンなステージに変身した舞台で展開する最初の「VIVID」は、紫のジャケットを着た龍を中心にした華やかなプロローグ。続いて、メンバー紹介があって各自が特技を披露するという趣向が面白い。千海華蘭の一輪車、光月るうの縄跳び、海乃のバク天、白雪さち花の男役連を飛び越えて走るアスリートぶり、紫門ゆりやのクラリネットなどなど。時々失敗するのがご愛嬌。それを、龍が鋭く指摘「何やってんのん。そんなん特技ちゃうやん」と大阪弁でチャチャを入れるのも楽しい。
このあと龍が全員を並ばせて採点、一人だけ「えこひいき」する場面があって、毎回そのメンバーが変わり、龍がアドリブでほめ殺しする楽しみもある。

続く「VOYAGE」は「80日間世界一周」のテーマ曲に乗って、龍がオスカルからはじまってビル、仁、スカーレットとさまざまな国のヒーロー、ヒロインを演じる七変化。舞台上でドタバタと早変わりするコミックな場面だ。最後は、龍がいま一番行きたい場所というコンセプトで「大阪」をテーマに、阪神タイガースファンやヒョウ柄のおばちゃんたちをバックにべたな大阪ソングで盛り上がった。この辺はまさに龍ならではノリだ。

続く「VARIETY」は、「キャッツ」のラムタムタガーよろしく純白の百獣の王ライオンに扮した龍が、ロックに編曲した「鏡獅子」の音楽にあわせて毛ぶりよろしくしっぽ回し?に挑戦するというユニークな場面。相手役の海乃のほかに美弥、紫門、千海、朝美の4人が女役でからむ。

ショーが最高潮になった後、ここから客席のファンもダンスパフォーマンスに参加する「VIBRATION」へ。紫門らが客席に向かって振りの指導をしたあと龍が登場、客席に向かって突っ込みをいれながらの楽しいコーナー。おおいに盛り上がった後は、いよいよフィナーレ。出演者全員がラインアップするなか龍がこのコンサートの主題歌「VOICE」を歌い上げて幕となる。

龍は「えこひいきと説教が9月までの私のテーマ。好き放題、言いたい放題、やりたい放題。最後まで私らしく元気にやっていきたい」と宣言、天衣無縫な龍を前面に押し出したコンサートだった。

一方、この日、宝塚大劇場では4月29日から開幕する花組公演「ME AND MY GIRL」の前夜祭が行われ、花組の明日海りお、花乃まりあらのパフォーマンスのあと、初演の剣幸、こだま愛、再演の麻乃佳世、再々演の瀬奈じゅん、彩乃かなみが弁護士パーチェスター役を当たり役とした未沙のえるの司会で登場、思い出話に花を咲かせた。剣とこだまは主題歌も披露、当時と変わらぬ素晴らしい歌声で満員のファンを魅了した。フィナーレはもちろん「ランべス・ウォーク」を全員で合唱、初日を前に、花組公演をおおいに盛り上げた。
今回の花組公演はビルとサリー以外の主要配役がダブルキャストでAB両パターンあるが、前夜祭では両パターンそれぞれの主要配役がその衣装で勢ぞろい、ジャッキーを演じる柚香光と鳳月杏はピンクのドレス姿で登場、柚香がすらりとしたプロポーションで魅了すれば、鳳月はなんともいえない女っぽさで対抗と、いずれ劣らぬ美しさを競い合っていた。どちらのバージョンも必見だ。

©宝塚歌劇支局プラス4月9日記 薮下哲司

◎…「毎日文化センター(大阪)」では「宝塚歌劇講座~花の道伝説~」(講師・薮下哲司)春季講座(4月~9月)の受講生を募集中です。毎月第4水曜日の午後1時半から3時、大阪・西梅田の毎日新聞3階の毎日文化センターで、「宝塚歌劇支局」でおなじみの宝塚取材歴35年の薮下講師による最新の宝塚情報や公演評、時にはゲストをまじえての楽しいトークなど、宝塚ファンなら聞き逃せないマル秘情報満載の講座です。4月は25日が開講日。7月には受講者のみなさんとともに宙組公演「エリザベート」観劇ツアーも予定しています(別料金)。ふるってご参加ください。受講料(6回分18150円)。詳細問い合わせは☎06(6346)8700同センターまで。





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