麻実れいはじめゆかりのスター大集合!
雪組pre100thAnniversary Greatest Dream
来年創設100周年を迎える雪組の記念コンサート「Greatest Dream」(三木章雄構成、演出)が14日、梅田芸術劇場メインホールで千秋楽を迎え、ゆかりのスターが勢ぞろいしたスペシャルバージョンが開催されライブ配信された。公演の同時間帯に宝塚歌劇団の会見があり、ライブ配信と会見を生中継したテレビ局のニュースを同時に見るという事態となった。
歌劇団本体が深刻な問題を抱えるなか、お祭り騒ぎをしている場合ではないのだが、雪組歴代のトップスターを中心に繰り広げるショーはそんな暗いムードをはねのけるだけの幸福感にあふれ、不幸な出来事を一瞬忘れさせてくれる夢空間を創出した。
緞帳が上がると舞台中央の階段に平みち、杜けあき、一路真輝の3人が板付きで並び、両サイドに高嶺ふぶき、えまおゆう、和央ようか、安蘭けい、朝海ひかる、貴城けい、水夏希、彩吹真央、壮一帆と歴代の男役スターがずらりとラインアップ。これに紫ともを筆頭とする娘役スターが加わるのだからさすがに豪華絢爛。
歴代トップが、在団時の自分の持ち歌を歌い継ぐ一部、稀代のショースター、眞帆志ぶき追悼コーナーなど雪組の輝かしい歴史を振り返る二部とオールドファンには懐かしさがいっぱい、ファン歴が浅い人には星組でトップになった安蘭や宙組のイメージが強い和央が雪組というところに新鮮さを感じたのではないだろうか。
二部後半には寿ひずるの紹介でレジェンド、麻実れいが登場。「うたかたの恋」を熱唱、初代ルドルフの圧倒的な存在感で満員の会場を魅了した。麻実は、体調が思わしくなく欠場した汀夏子について「いつも背中を見て舞台に立たせていただいていたのでいらっしゃらないのが寂しい」と残念がっていた。
麻実が登場したころにテレビ各局が生中継したのが歌劇団の会見。公演中に亡くなった宙組生の弁護士が会見したことに対して、外部とされる弁護士チームが調査を行った結果を発表した。結論的には、過重労働については一部認めて謝罪、上級生からのパワハラはなかったと否定。事態を招いたことに対して木場健之理事長が12月1日付で辞任するという内容。
遺族側が求めていた上級生からの謝罪と補償については触れられず、遺族側と全面対決という結果になってしまった。調査した弁護士事務所が実は阪急グループと密接な関係のある事務所だったり、ヒアリングを拒否した生徒が4人いたりと、次々にほころびが明るみに出て、マスコミ報道も遺族側に同情的。歌劇団と親会社の阪急は分が悪い様相。宙組以外の生徒の反発もあって大劇場公演再開の見通しがさらに不透明になってきた。
110年の歴史でも前代未聞、公演中の生徒の自死という大事を、真摯に受け止め、心からの謝罪と再発防止のための対策を一刻も早く打ち出し、生徒たちが安心して舞台に立ち、ファンも心静かに着席できる日を待ちたい。
雪組100年コンサートは、歴代トップスター大集合といういわば宝塚での勝ち組が勢ぞろいしたイベント。彼らが歌う宝塚讃歌のちょうど真っ最中に行われた謝罪会見、宝塚の光と影を見る思いだった。