留依まきせ、新たな誕生、宝塚ホテルで退団後初ディナーショー
元宙組の留依蒔世が退団後初のディナーショー「REBORN」(音楽監督 麓朝光)を、新たな芸名、留依まきせとして4月16日、宝塚ホテルで開いた。昨年11月「HIGH&LOW」を最後に惜しまれながら退団、歌唱には定評があっただけにすぐに芸能活動を再開、コンサートなどにゲスト出演していたが、今回初の里帰りディナーショーとなった。
再生を意味する「REBORN」というタイトルのディナーショー。97期の首席入学という実力にふさわしい抜群の歌唱力を武器に、在団中には歌えなかったさまざまなジャンルの曲を歌いこんだ。
新生留依は、真っ黒なロングコートにショートパンツ、ストッキングというスタイリッシュなスタイルで登場、ミュージカル「バーレスク」から「タフラバー」を英語でかっこよく披露、いきなりウタウマ留依まきせを強調するオープニング。
歌い終えると「ただいま宝塚」と第一声。「温かい雰囲気がなんともいえません」と明るい笑顔でトーク。すぐにJポップメドレーへ。椎名林檎の「丸の内サディスティック」など3曲、Office髭男dismの「宿命」など3曲、男女のポップスを一気に6曲。
続くミュージカルメドレーは「CHICAGO」から「オール・ザット・ジャズ」と「RENT」から「Out Tonight」。会場の「RENT」の反応のなさに「大好きなミュージカル。観たら人生変わりますよ」とおすすめの一幕も。
「ミスサイゴン」と「DREAM GIRL」ではゲストの晴音アキを迎えてデュエット。昨年10月「グレートギャツビー」を最後に退団した晴音は元月組の娘役。95期生で在団中、舞台での接点はなかったのだがオフで仲良しだったそうで、退団後、偶然一緒に仕事をする機会に恵まれ、「声の相性がよくて出演をお願いした」と留依。何度もエトワールを経験した歌の実力派、晴音とのデュエットは耳福だった。
続く宝塚メドレーも留依ならではの選曲。「プロミセスプロミセス」と「夢千鳥」そして極めつけ「NEVER SAY GOODBYE」から「NO PASARAN!」といえばもう納得しかない。「Never」主題歌も彼女らしく感情をこめてしっとりと歌い切った。
宝塚メドレーのあとは山口百恵の「イミテーションゴールド」「プレイバックパート2」宇多田ヒカルの「ファーストラブ」という想定外の選曲が続き、ラストは「大好きな曲」という和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」を圧倒的な迫力で歌った。カーテンコールはこのディナーショーのオリジナル曲で、自身が作詞した「REBORN」で現在の心境をさらっと吐露、留依らしさ満載の退団後初ディナーショーだった。
歌いたい曲をすべて網羅した欲張った構成で、やや印象が散漫になったきらいはあるが、どの曲も自分のものとしてパワフルに歌いこんだのはさすがだった。5月にはビルボード大阪でのライブも開催、今後の歌手としての活躍が大い期待される留依のディナーショーだった。東京は23日に第一ホテル東京で開催される。
©宝塚歌劇支局プラス4月16日記 薮下哲司