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ダンシングスター、彩風咲奈の魅力爆発「ODYSSEY」7か月ぶり開幕

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©️宝塚歌劇団

ダンシングスター、彩風咲奈の魅力爆発「ODYSSEY」7か月ぶり開幕

1月の東京国際フォーラム公演が初日開幕直前に中止となり結局全公演休演となった雪組トップスター、彩風咲奈を中心としたショーステージ「ODYSSEY(オデッセイ)」‐The Age of Discovery-(野口幸作作、演出)がMidsummer Spectacularと冠を変え、出演者も入れ替えて21日、梅田芸術劇場メインホールで7か月ぶりによみがえった。海賊船の船長が世界をめぐるというコンセプトで彩風のショースターとしての魅力を存分に見せつけるとともに、ダイナミックかつロマンチックな要素もふんだんに盛り込み、宝塚愛に満ちた洗練されたステージを彩風らが2時間45分全身全霊で取り組み、感動の初日となった。

「ODYSSEY」というタイトルから古代ギリシャを舞台にしたコスチュームプレイかと思っていたのだが、あにはからんや15世紀の大航海時代にカリブ海で消息を絶ったという海賊船「ODYSSEY」号が現代に甦り、彩風扮する船長のブルームら美しい海賊たちが世界各地で歌とダンスの華やかなパフォーマンスを展開していくという豪華絢爛、大迫力のショーステージ。ACT1「海風(Sea Breeze)」が20場、ACT2「彩風(Colors of the Wind)」が24場というアナウンスを聞いただけでもどれだけ内容が濃いかわかろうというもの。

場面ごとに書いていたら膨大なことになるので、かいつまんで印象に残ったシーンだけを書きだそうと思うがこれがなかなか難しい。どの場面も素晴らしいからだ。オープニングは舞台中央ブルーのドレスに身を包んだティティス(音彩唯)登場から。専科の美穂圭子が本役だが現在星組東京公演中。28日までは音彩が起用されたがこれがまた透きとおった素晴らしい歌声。一気にショーの世界に誘う。彩風の船長ブルームは宙づりで出現。海賊たちとの甲板でのダイナミックなダンスシーンへと展開していく。1月東京公演での綾凰華のところに眞ノ宮るい、和希そらのところに縣千が入った。赤い小旗を振って客席のファンとの交流する場面もあってプロローグから一気に盛り上がる。

続くニューヨークの場面は一転して手島恭子音楽、三井聡振付のジャジーなムードに。海賊姿のブルームとクラブのドアボーイ(縣千)のコントは「ノバ・ボサノバ」をほうふつとさせる。黒の燕尾服にケーン姿に華麗に変身したブルームはニューヨークの女に変身したセレネ(朝月)と軽くデュエットダンスを披露。「ビッグスペンダー」へとホットに展開。

朝美絢がメーンとなる中国の恋物語のあとドイツのバレエ団で芸術監督を務めた森優貴氏の宝塚初振付担当となるカルメンも素晴らしい。真っ赤なドレスを着た縣千のカルメンは迫力満点、歌がか細くてそのアンバランス感が絶妙、彩風ドンホセの初々しい感じもパワフルな縣とうまくかみあった。場面としてもエスカミリオの眞ノ宮、ミカエラの野々花ひまりがからんでのカルメンの悲劇をたった数分間のダンスに集約させて見事だった。森振付はそのままアラビアに続き「ストレンジャー・イン・パラダイス」をバックに彩風の金の奴隷と華世京の囚われた王妃のドラマチックなダンスに。そして三井聡振付の「ロシュフォールの恋人たち」から「キャラバンの到着」につないだ。彩風ブルームたちが軽快に踊って地中海に到着。ACT1が終わるという寸法。

ACT1だけで充分おなかがいっぱい。出演者34人では早変わりが大変なのは見ていてもわかるほど、激しいダンスの連続で舞台裏はさぞ混乱状態だろうと推察される。ところがまだまだ序の口ACT2はさらにハードに続くのだからタカラジェンヌのパワーは底知れずだ。

ACT2はカンツオーネメドレーからはじまって、ウィーンのオペレッタ、一転、美空ひばりの「お祭りマンボ」(音彩)から朝美絢中心で東京力車のナンバーから雪祭男子、リオのカーニバルからフランスの美男俳優ジェラール・フィリップのオマージュと続いて最後は宝塚へ。カンツォーネでは彩風がダルマ姿で登場、見事な脚線美を披露、一方、ウィーンの場面では朝美のソロで彩風と朝月が優雅なデュエットダンスとまさにレビューてんこもりだが、宝塚に帰着するところが野口ワールドの世界。選曲がどれも的を得ていて演出がスマート、一つ間違えばべたになるところをぎりぎりのところで修正するあたり、センスの良さが際立つ。

それにしても彩風のショースターとしての稀有なタレント性には正直驚かされた。野口氏の彩風本来の魅力を見出した力に感服するとともに、自身のスターオーラを最大限に発揮しきった本人の努力もたたえたい。初日の挨拶は彩風が1月の公演が中止になったことの無念さを切々と語り、この日をどれほど待っていたか、そして初日を迎えられたことの喜びをしみじみと吐露、舞台上の出演者、満員の客席も涙、涙。鳴りやまない拍手に「この初日が終わってほしくない」とまで感極まりながら最後は気丈に雪組名物「どっせい」で幕を閉じ、感動の初日を終えた。8月7日の千秋楽まで無事に完走できることを切に祈りたい。


©宝塚歌劇支局プラス7月21日記 薮下哲司

追記 彩風のダルマ姿の写真はNG指示が出てお見せできないのが残念、ぜひ劇場でご覧あれ。

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