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柚香光、星風まどか 抜群のダンスコンビネーション!花組公演「トップハット」開幕

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©️宝塚歌劇団 撮影:薮下哲司


柚香光、星風まどか 抜群のダンスコンビネーション!花組公演「トップハット」開幕

花組のトップコンビ、柚香光と星風まどか主演によるミュージカル「TOP HAT」(斎藤吉正脚本、演出)が21日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで開幕した。宙組の朝夏まなと、実咲凛音で初演されて以来7年ぶりの再演で、柚香と星風は抜群のダンスコンビネーションで、伝説のコンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの代表作を見事に舞台に甦らせた。

「TOP HAT」は、アステアとロジャースのコンビ4作目のミュージカルで、1936年に日本でも公開され「cheek to cheek(頬よせて)」や主題歌の「TOP HAT」とともに大ヒットしたミュージカル映画の古典。2011年に映画の初公開以来75年ぶりにロンドンで舞台化され、2015年には宙組で日本初演された。その後、坂本昌行と多部未華子の共演でも上演され、その時マッジ役を演じた朝海ひかるがのちに坂本と結婚、二人の出合いとなった作品でもある。

ブロードウェーの人気スター、ジェリー(柚香)が、イギリス人のプロデューサー、ホレス(水美舞斗)の頼みで新作レビューを上演することになりロンドンにやってくるが、ホテルの階下の部屋に宿泊していたモデルの女性デイル(星風)に一目ぼれ、ところがデイルがジェリーをホレスと勘違いしたことから話がこんがらがってとんでもない騒動が持ち上がって……という典型的なシチュエーションコメディで、どちらかというとストーリーはほとんどどうでもよくて、主演二人のダンスを見せるためのミュージカルだ。

私事で恐縮だが41年前に初めてロンドンに行ったときビデオ店で見つけて買って帰ったのが「TOPHAT」だった。当時は日本未発売で宝物のように大事にみたものだった。今ではDVDが管単に手に入り、有料テレビでもいつでも見られる。

それはともかく映画は「ホワイトクリスマス」で有名なアメリカの国民的作曲家アービング・バーリンが全曲を担当した名曲の数々とアステアとロジャースの流麗なデュエットダンスが最大の見どころ。舞台は映画には使用されなかったバーリンの名曲を追加、ショーシーンをふんだんに盛り込んでショーアップしているが、宝塚版はさらにフィナーレをつけてたっぷり3時間のグランドミュージカルに仕上げている。

映画「TOPHAT」を擦り切れるほどみて、アステアを神さまのように崇拝しているという柚香、念願の作品の実現とあってほぼ出ずっぱりで踊りっぱなし歌いっぱなしというハードな舞台なのだが、本人の幸せ感が体中にみちあふれていて、プロローグの軽やかなタップダンスからこれぞ神が降りたというステージング。ホテルの部屋でのタップソロからデイルとの出会いがあって歌に展開するあたりもスムーズ、柚香のしなやかでキレのいいダンスはいつ見ても小気味いい。星風とのデュエットは劇中だけで都合3回あるが、どれもコンビネーション抜群、なかでも二幕の「cheek to cheek」は息をのむ素晴らしさ。映画のアステアとロジャースに決して引けを取らない優雅でダイナミックなダンスデュエットだった。これを毎回完ぺきにこなすのは並大抵ではない。ストーリーの中の一場面というにはあまりにもレベルが高い。見事の一語。もちろんダンスだけでなく恋する男の一途な気持ちの表現も的確で、親友ホレスに扮した水美との息の合ったバディぶりも同期ならでは。初日から余裕のアドリブ連発で舞台が弾んだ。

デイル役の星風も、女性として自信たっぷりのすかした感じを程よく抑えて品よくまとめ、歌に芝居になんともいえない安定感があって、背伸びしているという雰囲気が全くなくうまさの格が違うといった感じ。デュエットダンスの鮮やかなスカートさばきには目を奪われた。ちなみに星風は宙組初演にも最下級生でアンサンブルとして出演していた。

ホレスの水美も柚香と同期ということもあってなんでも対等に話せる相棒的感覚が舞台によく生きていた。デイルの勘違いによって一番被害をこうむり不幸を絵にかいたような役だが、「銀ちゃんの恋」を経験してずいぶん懐が大きくなった感がありあり。ダンスがないのが残念だったが、二幕後半にマッジ役の音くり寿との楽しいかけあいがあり、フィナーレでも二人をメーンにした群舞があって本領発揮ができた。

その音、マッジ役としての登場は二幕から。星風とは100期の同期で、こちらも親友役。柚香、水美に負けず劣らずの呼吸の良さ。クリアなセリフと歌唱力で、夫役の水美を相手にも貫禄たっぷり。一幕では得意のタップで燕尾服のダンサーでも活躍、作品の底上げに大きく貢献した。

宙組初演で愛月ひかるが演じて、ファンを仰天させたイタリア人デザイナー、ベディーニには帆純まひろが挑戦。初演の愛月のイメージがあるので驚きはしなかったが、帆純も突き抜けた演技で一番かわいそうな役を熱演した。

専科から特別出演した輝月ゆうまは初演で寿つかさが演じたホレスの付き人ベイツ役。つねにわけのわからない格言でけむに巻く変わり者で奇妙な七変化で大いに笑わせてくれた。このほかにも作りこんだ脇役が多く、花組生全員が楽しんで舞台づくりをしている様子がありあり。なかでも一幕でヘアメイクのジョージ、二幕でホテル支配人を演じ分けた航琉ひびきのつくり込みがさすが。二幕冒頭のホテルダンサー、一之瀬航季と華雅りりかのダンスデュエットとホテルシンガーの羽立光来の滑らかな歌声も目と耳を酔わせてくれた。歌では一幕のショーシンガー、若草萌香の歌も聴かせた。実力派がそれぞれの持ち味を生かした配役の妙が際立った。

この公演、東京公演がなく梅田芸術劇場のみの公演。4月3日にライブビューイングとライブ配信が発表されているので是非お見逃しなく。

©宝塚歌劇支局プラス2月21日記 薮下哲司
 


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