楊琳ら32人パワー全開、OSK100周年記念レビュー開幕!
OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」が、18日、大阪松竹座で開幕した。5日に開幕するはずが関係者にコロナ感染者がでて開幕が延期され、感染対策をクリアしたうえで18日からようやく開幕にこぎつけた。
トップスターの楊琳のほか特別専科の桐生麻耶ら総勢32人の出演者による「レビュー春のおどり」は第一部が日本物「光」(山村友五郎、藤間勘十郎、尾上菊之丞振付、演出)第二部がショー「INFINITY」(荻田浩一作、演出)の二本立て。日本物、洋物ともに音楽、振付などスタッフに宝塚でもおなじみの顔ぶれがずらりとそろった豪華版。劇団の力の入れ方がこれだけみてもよくわかる。
日本物の幕開き定番の「チョンパ―」から。舞台がパッと明るくなると松竹と鶴をバックに楊ら出演者が紋付き袴に金色のセンスを持って勢ぞろい。第一章「花の巻」(山村友五郎振付)からオープニング。100周年を寿ぐ「春の彼方」に合わせて艶やかな舞を披露。桐生の翁、千歳の朝香櫻子、そして楊の三番叟でお祝いムードは最高潮。
第二章「夢の巻」(藤間勘十郎振付)江戸は吉原仲之町。虹架路万の闇太郎、名古屋山三の愛瀬光、不破伴左衛門の華月奏らOSKが誇る美形の男役スターが次々に登場、鳶のはしご乗りやかっこいい大立ち回りを見せた後、写楽の翼和希と白夜大夫の唯城ありす、そして楊があでやかな琥珀大夫で登場。ここで楊と唯城が花魁姿から一瞬で黒燕尾の紳士とドレス姿の淑女に早変わり。舞台は吉原から一気にパリのムーランルージュにワープするという大胆な構成。すべて写楽の夢というオチ。楊の花魁から黒燕尾の紳士への早変わりは客席から「アッ!」という驚きの声が漏れるほどの鮮やかさ。
第三章「光の巻」(尾上菊之丞振付)は夜空に浮かぶ月がテーマ。楊を中心に一糸乱れぬ群舞が少人数から徐々に増えていき、白と黒のはっきりしたコントラストのモノトーンで息をのむ壮大な群舞に発展していく。
山村、藤間、尾上3人それぞれの個性豊かな場面構成で100周年にふさわしいハイブローで素晴らしい日本物のレビューだった。
二部の「INFINITY」はダンスのOSKの伝統にオマージュを捧げながらも荻田氏らしい遊び心にあふれた楽しいショー。オープニングは青を中心に赤、オレンジ、黄色と鮮やかな色使いによる賑やかなラテンからMr OSK楊の「ビバ!OSK」で大いに盛り上げた後、OSKの第一回公演「アルルの女」を、舞美りらのダンスで現代的に再現という展開。
続くパリの場面はピンクと黒をメーンに「パリの空の下」「パリパナム」などパリムードあふれる中、OSK名物ラインダンスも。
笠置シヅ子が歌ってヒットした「恋のステップ」やすっかりOSKレビューの呼び物となった名倉加代子振付の「ジャストダンス」などOSKならではのショーシーンを楊中心にダイナミックに再現。人数は多くはないのだが、人数以上の迫力と華やかさがあり、OSKの充実ぶりを見せつけた公演だった。なかでも歌よしダンスよしの楊の明るい個性が全体をさわやかにまとめ、次代を担う若手スターの台頭も頼もしかった。
公演は21日まで。東京公演は3月25日から27日まで新橋演舞場で。
©宝塚歌劇支局プラス2月18日記 薮下哲司