綺咲愛里×花乃まりあ 同期トップ娘役同士がディナーショー
元星組の綺咲愛里と元花組の花乃まりあの同期生トップ娘役同士が12月4日、宝塚ホテルでディナーショー「breath」(音楽監督宮崎誠)を開いた。二人の相手役だった紅ゆずると明日海りお、それぞれの愛称が同じ「さゆみ」という偶然をうまくパロディにした歌も登場、美形二人のゴージャスなショーだった。本番の前に行われた舞台稽古をのぞかせてもらった。
おそろいのチェックの上着とスカートで登場した二人、まずはクリスマスソングメドレーから。ふたりで一気に4曲を歌ったあと「お待たせしました」とコロナ禍第4波で開催が二か月遅れたことへのお詫びのコメント。このため構成も手直ししてのプロローグとなった。
続いて、松任谷由実の「ルージュの伝言」から始まった和声ポップスコーナーは、女性デュエットメドレー。ピンクレディーの「ペッパー警部」Winkの「淋しい熱帯魚」ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」とおなじみの曲。
バンド紹介があって、ミュージカルメドレーへ。綺咲が「キャッチミーイフユーキャン」から「フライフライアウェイ」花乃が「ME AND MY GIRL」から「一度ハートを失ったら」を歌うと、豪華な紺色のドレスに着替えた綺咲が「スカーレットピンパーネル」から「忘れましょう」をしっとりと。そして真っ赤ドレスに着替えた花乃は「エリザベート」から「私だけに」を朗々と歌い継いだ。コーナーの最後は「サイドショー」から「どんな時も離れはしない」をデュエット。これがこの仲良しコンビの二人にぴったりでなかなかいいい選曲だった。「女性二人で歌える曲を探していたら音楽監督の宮崎誠さんがこれを教えてくださった」とか。「サイドショー」は、貴城けいと樹里咲穂の主演で上演されたシャム双生児の歌手の半生を描いた感動作だ。
宝塚の思い出コーナーは綺咲がまず「GOD OF STARS食聖」から「千里花」を歌い花乃は「アーネスト・イン・ラブ」から「帽子」。そしてそれぞれの相手役の愛称が二人とも「さゆみ」であったことから「アーネスト・イン・ラブ」の「初めて見た時から」を使って二人の相手役を思う気持ちを歌った楽しい工夫も。それぞれの相手役への思いを二人が語るコーナーへと続けた。
続いてそれぞれの持ち歌をシャッフルして歌うコーナーは綺咲が「ME AND MY GIRL」から「顎で受け止めて」花乃が綺咲の見事なピアノ演奏で「スカーレットピンパーネル」から「あなたをみつめると」を歌うというディナーショーならではの素敵なスペシャルも。同期同士の仲の良さが見ていても気持ちがいい。
最後は二人が今一番歌いたい曲ということで花乃は「MOZART!」から大曲「星から降る金」を、綺咲はミーシャの「逢いたくていま」を熱唱。最後は「ベストフレンド」をデュエットしてショーを締めくくった。在団中は二人とも特に歌に定評があるとはいえなかったのだが、退団後は娘役としてではなく自分の声で歌える自由さからかどの曲も非常に滑らかで聞きやすかった。綺咲がアイドルっぽくキュートなら花乃はアダルトでノーブル。二人ともステージに立つだけでオーラが立ち込める。アンコール曲は「スカーレットピンパーネル」から「ひとかけらの勇気」豪華な白いドレスの二人が輝いて見えた。
このディナーショー、第一ホテル東京では12月25日に開かれる。クリスマスとあって東京では客席が華やかになりそうだ。
©宝塚歌劇支局プラス12月5日記 薮下哲司
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