Quantcast
Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

湖月わたる、和央ようか 大活躍

$
0
0



湖月わたる「CHICAGO」アメトリカ・カンパニーと共演
和央ようかも夫君のコンサートで熱唱

ミュージカル「CHICAGO」のアメリカ・カンパニー来日公演が26、27日の大阪・梅田芸術劇場メインホールで千秋楽を迎え、元星組トップ、湖月わたるが、アメリカ人キャストとともにヴェルマ役で出演、有終の美を飾った。一方、その直前の23日には同ホールで、元宙組トップの和央ようかも今夏結婚した作曲家フランク・ワイルドホーンのコンサートに外国人歌手と共に共演、熱唱した。二人とも予想以上の好演、好唱で、今回は予定を追加してこの模様を報告しよう。

「CHICAGO」は、1924年にシカゴで起きた実際の事件をもとにした舞台劇のミュージカル化。愛人を殺した罪で投獄されたロキシーが、弁護士ビリー・フリンを買収して無実を勝ち取り、刑務所で知り合った女囚ヴェルマとコンビを組んで歌手デビューするまでを描いている。2001年にレニー・ゼルヴィガー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの主演で映画化されて一躍ポピュラーとなった。ブロードウェーで最初にミュージカル化されたのは1975年。このバージョンは上月昇、草笛光子、次いで鳳蘭、麻実れいの主演で日本でも2回上演されている。1996年、ブロードウェーでは演出をがらりと変えて大幅にリニューアルして再演。これが現在もロングラン中の大ヒットとなった。このニューバージョンのアメリカ・カンパニーによる来日公演は、今回が7回目だが、ロキシー役にNHK朝のテレビ小説「マッサン」のヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスが起用されたこと、ヴェルマ役のマチネーに湖月が抜擢されたことで話題を呼んでいた。

シャーロットのロキシーは、ドラマの金髪のイメージを捨ててダークブラウンの髪で登場。一瞬、誰かわからなかったくらい。しかし、ドラマとは違った小悪魔的な雰囲気で魅了した。歌、ダンスの実力もなかなかだった。中盤のソロナンバー「ロキシー」「では、日本語の台詞もサービス、会場を沸かせた。

一方、ヴェルマ役の湖月は、オープニングナンバーの「all that jazz」から、長身が映えてとにかくカッコいい。英語の歌詞が完全に身についていて、すでに宝塚OGバージョンの「CHICAGO」でヴェルマ役を演じているとはいうものの、余裕すら感じられてアメリカ人キャストにまじっても何の違和感もなかった。ロキシーを前に激しいダンスアクトを交えて歌う「I CANT DO IT ALONE」も迫力満点。女看守ママ・モートン役のロズ・ライアンとのかけあいの間も見事で、すぐにでもブロードウェーの舞台に立てるのではないかと思わせた。

一方、「スカーレット・ピンパーネル」や「ジキルとハイド」でおなじみの作曲家フランク・ワイルドホーンのコンサート「フランク・ワイルドホーン&フレンズ」は、ワイルドホーン自身がピアニスト兼指揮者として登場。自らMCも務めながら、トーマス・ボルヒャート(ドイツ)ジャッキー・バーンズ(アメリカ)アダム・パスカル(アメリカ)、サブリナ・ヴェッカリン(ドイツ)そして和央の出演者全員がラインアップして「アリス・イン・ワンダーランド」の「鏡の国へ」を皮切りに和やかなムードで進められた。

「レント」オリジナルキャストのアダムや「エリザベート」のトート役を演じたボルヒャート、「ウィキッド」のエルファバ役を演じたジャッキー、サブリナといったブロードウェーとヨーロッパの第一線のミュージカルスターが集結。欧米をまたにかけて活躍するワイルドホーンらしいグローバルなコンサートだ。

それぞれが持ち歌を見事な歌唱力で歌うなか、和央はワイルドホーンが作曲した「Never Say good-by」の主題歌メドレーやを日本語で熱唱。懐かしさと共に、それが彼女のためのオリジナル曲であることに不思議な感動を覚える。自分の曲であることから無理な音程もなく、しかも歌いこんでいることから、情感がこもって、第一線のスターたちの混じってもそん色がないのだ。ほかにも「CHICAGO」から「all that jazz」を英語で披露、これも宝塚OGバージョンのときに日本語で歌っていた時より数段感じが出ていた。「ドラキュラ」の主題歌もボルヒャートとデュエットで歌ったが、何より、滑らかなロングヘアにロングドレスがよく似合い、ずいぶん女らしくなった和央がそこにいた。ワイルドホーンとのかけあいも照れることなく、なんとも幸せムード、見ているこちらまでが、おもわず頬がゆるむ、そんな幸せムードが漂った。和央は現在、夫君と共にニューヨーク中心の生活。「仕事のときだけ日本に帰る生活。英会話もかなり上達しましたよ」と笑顔で話していた。

「PRINCE OF BROADWAY」で柚希礼音がブロードウェーのメンバーと共演、おおいに気を吐いたが、湖月わたる、和央ようかも大健闘。2016年はタカラジェンヌOGのブロードウェー・デビューもまんざら夢ではなくなってきたようだ。

©宝塚歌劇支局プラス12月29日記  薮下哲司


Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>