©️梅田芸術劇場
花組新トップ、柚香光主演「はいからさんが通る」涙の千秋楽
明日海りお退団後初舞台「ポーの一族」に決定
スタッフと出演者から新型コロナの感染者が出て、8月2日から9月2日まで一か月間休演を余儀なくさせられていた花組宝塚大劇場公演、ミュージカル・ロマン「はいからさんが通る」(小柳奈穂子脚本、演出)が、3日から再開にこぎつけ5日千秋楽を迎えた。5日の千秋楽は全国の映画館でのライブビューイングやライブ配信もあり、大阪市内の映画館でライブビューイングを体験した。
前日の4日には来年前半のラインアップ、退団を発表している雪組の望海風斗と真彩希帆、月組の珠城りょうと美園さくらの退団日確定が発表されるとともに、雪組の新トップコンビが彩風咲奈と花組の朝月希和になることも発表、くわえて宙組の娘役スター、夢白あやの雪組への組替えが発表されるなど、怒涛の展開があったばかり。
もうひとつ元花組のトップスター、明日海りおが来年1月、梅田芸術劇場メインホールで上演される「ポーの一族」(小池修一郎脚本、演出)のエドガー役で退団後初の舞台を踏むことも発表された。まだまだウイズコロナによるソーシャルディスタンス形式の緊張した劇場展開が容易に想像されるなか、期待作が次々と決まっていくのは、楽しみなことではあるものの、公演直前になって休演などという、ぬか喜びにならないことを切に祈りたい。まあ「ポーの一族」の実現が、実はコロナ禍で、明日海の退団後初仕事に予定されていたドラマが中止延期になったことから、降ってわいたように決まったというから、ファンにとってはコロナさまさまかも。ファンの間ではやくもアラン役に誰が決まるか、予想がかまびすしい。いっそのこと全員宝塚OGでやるというのも面白いかも。
そんな大揺れのなか「はいからさんが通る」千秋楽は、滞りなく無事に終了。感染を警戒して、芝居中でもフィナーレでも、一切、銀橋を使わない演出に変更されていた。4か月開演が遅れたうえ、再開後二週間で再び休演、ようやく再開したうえでの千秋楽とあって、出演者たちの熱気は、中継の画面を見ていてもビンビン伝わり、力が入りすぎて見ている方もその熱気に思わずやけどしそうなくらいだった。
柚香の伊集院忍少尉のかっこよさに磨きがかかり、華優希のはいからさん、花村紅緒もさらに魅力的に、そんな二人を中心に充実した舞台に仕上がっていた。
フィナーレでは高翔みずき組長が、まず朝月が雪組トップ娘役に就任が決まったことを報告、吉次役の扮装のまま朝月が深々とお辞儀をすると、客席からは祝福の大きな拍手が起こっていた。続いて柚香が「こうして舞台に立てることのありがたさ、素晴らしさを改めてかみしめています。宝塚が好きなんだということ、お客さまがあってこその自分なのだと改めて思い知りました」などと挨拶。何度も繰り返されるカーテンコールに流れる汗と涙をぬぐおうともせず笑顔で手を振る柚香がなんとも神々しかった。
ライブビューイングは、公演再開が決まってから急きょ発売されたにも関わらず、大阪梅田のTOHOシネマズは、ソーシャルディスタンスで定員の半分とはいうものの完売御礼。ライブ配信も好調だったようで、宝塚がいかに待望されているかを証明していた。
©宝塚歌劇支局プラス9月6日記 薮下哲司