真飛×壮×愛音 懐かしの花組トリオ勢ぞろい&安蘭けい退団10周年ディナーショー
真飛聖、壮一帆そして愛音羽麗の元花組トリオが11月3日、大阪新阪急ホテルの「真飛聖、壮一帆トークサロン2019」で勢ぞろい、懐かしくも楽しいトークを繰り広げた。
真飛、壮、愛音の3人は、2007年壮が雪組から花組に組替えになって「明智小五郎の事件簿・黒蜥蜴」に出演した時から真飛が2011年に「愛のプレリュード」で退団するまでの4年間一緒に舞台に立ったが、なかでも真飛がトップになってからの3年間がトップ、二番手、三番手という並びで息の合ったところを披露、とりわけ濃いものがあった。
今でも時々観劇などでそれぞれは会っているというが、3人一緒というのは退団後初めてというくらいの奇跡的な出会い。当初は夜一回の予定だったのだが、チケットが即日完売、急きょ昼を追加、計530人の熱いファンが、北は北海道、南は九州から駆け付けた。
総合司会を担当した私がまず、今回のトークサロン実現の経緯を説明、司会役の愛音にバトンを渡してトークサロンがスタート。愛音が二人を呼ぶと、真飛、壮コンビのヒット作「メランコリックジゴロ」(夜は「ル・パラディ」)の主題歌に乗って客席後方から二人が登場。会場からは歓声が上がり早くも興奮状態。
トークはその「メランコリックジゴロ」の思い出から。真飛が「それまでは同じ舞台に立ちながらあまり絡まなかったけれど、初めて親友役で組んだんだよね」と壮にふると「歯車ががっちりあった感じで、そこから絆ができて、すごく楽しかった」と答え、のっけからいいムード。愛音のてきぱきした運びで次から次へと話題が盛り上がるが、壮と愛音ははっきり覚えているのに真飛が全然思い出せないエピソードがあったりして、会場は大爆笑の連続。
退団発表会見での「結婚のご予定はありますか」の質問に二人がどう答えたかの質問には真飛が「絶対聞かれると思って用意していたのに、結婚願望はありますかと聞かれて、ついありませんと答えてしまったら、翌日、真飛結婚願望なしと書かれてしまった。予定がないのと願望がないのとでは全然違うじゃん」とまあ、こんな調子の面白トークが連発、一時間半のトークサロンは爆笑のうちにあっという間だった。
色紙プレゼントの後、3人がファンのためのスペシャルプレゼントとして「EXCITER!」のテーマ曲をオリジナルの振りつきで披露、まさかの元祖3人の「EXCITER!」再現に、満員の会場のファンは大歓声、熱い手拍子とともに、あまりの感激に号泣の嵐。客席に降りて会場から去っていく3人を見送ったファンは客電が点いた後も席を立つことができず、しばし呆然。「いまのは夢だったのだろうか」と現実とは思えないようだった。奇跡の同窓会にふさわしい見事なエンディングだった。それにしてもほとんど稽古なしのぶっつけ本番で本公演そのままの再現力。「歌詞も振りも体が覚えてるんですね」と愛音。タカラジェンヌのパワー恐るべし!
一方、元星組の安蘭けいが退団10周年を記念して10月31日、宝塚ホテルで「Again」と題したディナーショー(原田諒構成、演出)を行った。「宝塚我が心の故郷」から始まって全曲を宝塚時代に自分が出演した作品から時系列通りに主題歌を歌うというファンにとっては垂涎の選曲。
「今、女優として活動できるのは宝塚で勉強したおかげ。大好きな宝塚ホテルで原点を振り返ってみたい」と安蘭。バウ公演で石川五右衛門を演じた「花吹雪恋吹雪」と宝塚らしくないヒールな主人公を演じた「エル・アルコン」で盛り上げたあとサヨナラ公演の「ア・ビヤント」までメドレーも含めて懐かしい19曲を心を込めて披露。
真っ赤なロングドレスに着替えたアンコールでは来年再再演が決まったミュージカル「サンセット大通り」からテーマ曲と「これを歌うと本当に終わってしまうので歌いたくないんですが」と笑わせながら「スカーレットピンパーネル」から「ひとかけらの勇気」を歌いこんで、ディナーショーを締めくくった。衰えない美声にいろどられた懐かしい曲の数々に、当時のさまざまな思い出がよみがえった一時間半だった。
©宝塚歌劇支局プラス11月4日記 薮下哲司