Quantcast
Channel: 薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

鷹翔千空、魅せた!堂々の主演、宙組公演「オーシャンズ11」新人公演

$
0
0

鷹翔千空、魅せた!堂々の主演、宙組公演「オーシャンズ11」新人公演

 

真風涼帆、芹香斗亜の息の合ったコンビぶりが楽しめる宙組公演、ミュージカル「オーシャンズ11」(小池修一郎脚本、演出)新人公演(竹田悠一郎担当)が、7日、宝塚大劇場で行われた。真風が演じている主演のダニーは研5で二度目の主演となった鷹翔、芹香のラスティーは研6の優希しおん、さらにベネディクトは研3の亜音有星(あのん・ゆうせい)が大抜擢というフレッシュな組み合わせ。若さ溢れる新人公演となった。

 

一本立ての大作の例にもれず、第二部冒頭の夢魔やダイアナのリハーサルなどがカットされているが、それを感じさせないくらいスムースな展開。新人公演を見ても、男役の見せ場の多さは格別で、ダニーとラスティーが仲間を募っていく一幕など一人一人が登場するたびに拍手が沸き起こる。掛け声が廃止されたころの40年前の宝塚を見ているような錯覚を覚えるほどだった。そう、かつてはスターが登場するたびに客席から掛け声がかかり、それは賑やかだった。あまり賑やかすぎて万博と同時に禁止になったのだが、代わりに爆竹拍手というのが始まり、ごひいきスターが登場すると大きな拍手が巻き起こったものだ。心得たもので演出もきちんと拍手の間が計算されていた。やがて、これも禁止され、今の拍手はトップスターの邪魔にならないように各ファンクラブがファンに拍手どころを指示している。

 

話を「オーシャンズ11」新人公演に戻そう。ダニーに扮した鷹翔は、プログラムの写真を見ても、思わずはっとするほど誰かに似ている。そう、元月組トップスターの龍真咲に雰囲気がそっくりだ。しかし、個性は全く異なっていて、立ち姿の凛々しさ、芯のあるはっきりとした台詞の口跡そしてよく伸びる歌声と、もはや男役として出来上がっている感。

 

登場シーンの銀橋モノローグから堂々たる男ぶり。灰色の囚人服を一瞬で脱ぎ捨ててスーツ姿に変身、男役ダンサーを従えての「FATE CITY」のナンバーに展開していくプロローグから鷹翔のスターオーラがさく裂した。本公演では優希とともにモロイ兄弟を演じていて、弾けた演技を披露しているが、新人公演では成熟した大人の男になりきり、その変わり身が見事だった。キスシーンにもう少し迫力が出れば申し分のないところだ。

 

ラスティーに扮した優希は、鷹翔より一期上級生、その端正な面影から宝塚の貴公子タイプの典型かと思っていたが、今回のラスティーは、これまでのイメージを覆すかのような軽さで新たな魅力を見せてくれた。鷹翔とのコンビネーションは本公演で兄弟を演じていることもあって抜群、演技の幅が広がった優希のこれからの活躍に大いに期待したい。

 

大抜擢となったベネディクトの亜音は、背の高い男役がそろっている宙組の中でもひときわ高く、凪七瑠海を思わせる端正な顔立ちに似合わず、男役としての台詞に迫力があって演技力も確か。ヒロインのテスが信じ込んでしまう表の顔と野望に満ちた裏の顔がきちんと表現できていた。ところどころ若さがのぞくところもあったものの、まだまだ時間があるのでこれからの精進を期待したい。次代を背負うスターに育ってほしい。

 

ヒロインのテス(本役・星風まどか)に扮したのは夢白あや。「神々の土地」新人公演で都のイリナ役の印象が強烈だが「異人たちのルネサンス」新人公演で正式に初ヒロインを演じ、今回が二度目。彫りの深い美貌はもともとアダルトな雰囲気が似合い、今回のテス役は舞台に立っているだけで存在感があった。演技や台詞など、星風とは違ったアプローチが感じられたのもよかった。

 

オーシャンズ11の他のメンバーは元カリスマ詐欺師ソール(寿つかさ)が若翔りつ、ディーラーのフランク(澄輝さやと)が真名瀬みら、元カジノのオーナー、ルーベン(凛城きら)が希峰かなた、マジシャンのバシャー(蒼羽りく)が湖風珀、ジミーの息子ライナス(和希そら)が風色日向、ヨーヨーの達人イエン(秋音光)が愛海ひかる、ハッカーのデル(瑠風輝)がなつ颯都、そして映像加工のプロ、モロイ兄弟のバージル(優希)が碧咲伊織、ダーク(鷹翔)が真白悠希という配役。

 

それぞれが与えられた役を精一杯楽しんで演じていて見ていて気持ちよかったが、湖風と愛海がそれぞれ離れ業を見事に成功させて、公演を盛り上げていた。若翔は本公演でのブルーザーとともにますます達者さを増してきて、元花組の天真みちるをほうふつさせた。

 

あと娘役ではクイーン・ダイアナ(純矢ちとせ)を天彩峰里が演じた。「天は赤い河のほとり」新人公演での主演など期待の娘役だが、どちらかというと清純派タイプなので、作りこみの激しいこの役は大冒険だったと思う。彼女なりに精一杯の熱演でほほえましかったが、かなり無理しているようなところもあった。肩の力を抜いてできるようになればさらに面白くなるだろう。

 

©宝塚歌劇支局プラス5月10日 薮下哲司

 

 

藤咲えりディナーショーのお知らせ

 

元宙組娘役スター、藤咲えりが、8月10日、宝塚ホテル琥珀の間でディナーショー「Sincere」を開催する。歌唱力に定評のあった藤咲が、宝塚のヒットメロディーを中心に生バンドでたっぷりと披露、ゲストに同期生で元花組の男役スター、鳳真由が出演、初舞台以来一緒に舞台に立ったことがないという二人が、仲良くデュエットするのも聴きどころです。当日は同期生や現役生が客席に大挙応援にかけつけるという。

料金は一人18000円(税込み)問い合わせ、申し込みは宝塚ホテル宴会セールス☎0797(85)2638まで。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 575

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>